【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編
「髪が乱れてるよ」
「触るな!」
伸びてきた手を、慌てて振り払った。体を二つ折りにして笑いを堪えるジェネラルに、蒼雪はふてくされてそっぽを向く。
くそ、何でこんな奴に・・・・・・!
やっと笑いが収まったのか、ジェネラルは体を伸ばし、
「じゃあ、僕はノアールの様子を見てくる。全員出動停止を食らったからね。あの子の精神状態が心配だ」
「え?」
「今、異形が出ても、誰も助けに行けない。放っておいたら、あの子は罪悪感に押し潰されてしまう」
その言葉にハッとした。ジェネラルは常に、誰かのことを考えている。
「俺も」
「君は支部長のとこ。あっちも、色々抱え込みすぎてるから。後、保管庫に回って、苦情を聞いてきて。相当な数が持ち込まれたからさ。今頃、パンクしてるかも」
「でも」
「モモなら大丈夫。ヴァイスが礼拝に連れていくのは、何かあった時にすぐ対処する為だよ。あの子は、君が考える以上にしっかりしてる。もっと信用しな」
「・・・・・・分かった」
「じゃ、後でね」
ひらひらと手を振って出ていこうとするジェネラルを、蒼雪は呼び止めた。「何?」と振り向いた相手に、蒼雪は一呼吸おいて、
「お前も、もっと信用しろ。一人で抱え込むな」
じっと注がれる視線は、いつもの小馬鹿にしたものではなく。
「ありがと」
ぽつりと呟いて、ジェネラルは部屋を出ていった。
作品名:【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編 作家名:シャオ