二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編

INDEX|5ページ/29ページ|

次のページ前のページ
 

「やあ、蒼雪。もう動けるのかい?」

疲れた笑顔で、シアンが机の向こうから声を掛けてきた。僅か一日で、十歳は老け込んだように見える。撫でつけた黒髪に、幾筋もの白が混じっていた。薬指に光るリングに目を留めた蒼雪は、ジェネラルの言葉を思い返す。

『あっちも、色々抱え込みすぎてるから』

全員出動停止という決断は、どれだけの波紋を広げただろう。彼が最後に自宅に戻ったのは、一体何時のことだろうか。

「お疲れのようですね」

蒼雪の視線に気づいたのか、シアンは指輪に目を落として、

「さあ・・・・・・僕よりも、僕の周りのほうが、余程疲れているよ。僕は実に頼りないからね。支部長としても、夫としても」

乾いた笑いをあげる相手に、蒼雪は首を振った。

「貴方が支部長で、幸運です」

シアンはぼんやりと視線を宙に向けてから、「もしもの話だけど」と呟く。

「モモが目の前で異形に襲われてて、君には助ける手段がなくて、助けられるはずの者達は都合で来られませんと言われたら、蒼雪は納得するかい?」

蒼雪は身を堅くして、シアンを見つめた。その例え話が荒唐無稽なことではないと、分かっていたから。
今、異形が出現しても、誰も助けに行けない。

「・・・・・・僕の決断は、誰かを不幸にする。確実に」
「ですが」

蒼雪の言葉を、シアンは手で遮った。

「君が動けるということは、モモは大分回復したということだね。ヴァイスが医務室へ連れていってくれたんだ」

ヴァイスの名前を出されて、蒼雪はハッとする。サイレンスがあれだけのダメージを受けたのだから、彼も無事では済まないだろう。