【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編
蒼雪が自分の部屋に戻ると、ジェネラルがベッドに寝転がっている。
「・・・・・・何をしている」
「君を待ってたんだよ。支部長はどうだった? 自分のせいで誰かが不幸になるーとか、うじうじしてた?」
「何でもお見通しだな」
ベッドの端に腰を下ろして、シアンの様子を話した。ジェネラルは体を起こし、「人間は、矛盾した生き物だね」と呟く。
「ノアールに謝られたよ。自分が知らせたせいで、僕に無茶をさせたと。異常な気配を感じて、いてもたってもいられなくなったって。でも、あの子にとって一番大切なのは、シザーズだ。シザーズを助ける為に、僕に知らせた。皆、そうだ」
ふっと笑って、紅葉をミドリと会わせたのは、グレイの判断だと続けた。
「紅葉が欠けたままでは、戦力的に不利だからね。本当は、まだ出動できる状態じゃないんだよ。でも、多少無理しないと、近いうちに行き詰まる。支部長が知ったら、怒るだろうけど」
赤い瞳が、じっと蒼雪を見つめる。
「皆、同じだよ」
蒼雪は、落ち着かない気持ちで身じろぎした。ジェネラルの大切な相手は、今、何処で、何をしているのだろう。自分は、彼のことを何も知らない。
「保管庫はどうだった?」
聞かれて、蒼雪は我に返る。大変な騒ぎだったが何とか収まりそうだと言い、
「それと、保管庫に入る時は声を掛けてくれと言われた。管理の都合があるのだから、勝手に消したりするな」
「はあ?」
ジェネラルは訝しげな顔をしてから、急に顔色を変えた。口を開きかけたが、思い直したように首を振る。
「そう、分かった。ありがと」
「待て」
蒼雪は、ベッドから滑り降りようとした相手の腕を掴み、引き留めた。顔を上げたジェネラルの不安げな眼差しに、一瞬怯む。
「何か気がかりなことでも、あるのか?」
「えっ・・・・・・いや、別に」
作品名:【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編 作家名:シャオ