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妖アパ 千晶x夕士 過去捏造

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「え?師匠…今なんて言いました?」
「なんだよ。聞いてなかったのか?夕士」
「いえ…聞こえましたが一応確認の為、もう一度お願いします」

「ん〜だからさ。この空間、閉鎖されちゃったみたいで、俺達閉じ込められたみたい」
テヘッと可愛らしく舌をだし、自分の頭を軽くぺしっと叩く。

「……だぁぁぁぁぁ!!!なんスかそれ!師匠どうにかしてくださいよ!」

「えぇ〜無理だよぉ〜。向こう側から開くのを待つしかないんじゃない?」

「……開かなかったら俺達どうなるんですか?」
「ん〜このまま時空の狭間で一生を終える?かな?」

「……マジっスか?」
「マジマジ」



俺「稲葉夕士」は今、未曾有の窮地に立たされている。
寿荘の住人「古本屋」に誘われ、世界旅行の旅に出たのが19歳の秋

あれから二年半が経過していた。

俺達の旅は毎回波乱万丈に満ちていた。

最初のメキシコにおいて、早速機関銃を持った民族に追いかけられ、
どこぞの部族の方からは、「婿に来い」と言い寄られ、
野宿は当然、食糧はミミズやら芋虫などサバイバル生活が繰り広げられていた。

数ヶ月後にはその生活にも慣れてしまい、古本屋からの生暖かい洗礼を受けたと感じている。

なので、ちょっとやそっとのトラブルには動じない。
そもそも、古本屋と一緒に旅をする時点で、無事には済まないことぐらい分かっていた。

そう…分かっていたが、今回は非常にピンチな状態だ。



現在の状況に至る経緯を簡単に説明すると、
今回向かう先には、飛行機で移動をする必要があった。
しかし、俺達は貧乏旅行者。
少しでもお金を浮かすために、古本屋は前回の旅先で仕入れた古びた本を使い、
一気に移動が出来る「時空を駆ける扉」を開いた。
国民的猫型ロボットアニメの秘密道具『どこでもドア』の様なことだと考えてほしい。

そして、俺達は閉じ込められた。



かの有名な秘密道具と違う点は、
『扉を開ければ、目的地に到着』ということではなく、
扉を開ければ、薄暗い闇の中に幾重もの細い道があり、示された光に向かって徒歩で進む。

上空には見たこともない鳥っぽい影(どうみても恐竜っぽい)が飛び交い、
時折何処からともなく唸り声(叫び声?)が聴こえる。

幽霊や妖怪にはある程度の耐性があるものの、
この空間に取り残されては、何時上空に飛び交う影達の餌食になるか不安だ。

チラリと横目で古本屋を見れば、
鞄の上に座り、チビ煙草を吹かしながら呑気にあくびをしている。

神経が図太いのか、それとも単に頭がイカレているのか…
できれば前者であって欲しい。



「何か困りのご様子で。」
「ん。フール。お前はこの状況を困ってないように見えるのか?」
「古本屋殿は随分と落ち着いておられますが?」
「……場数の差だろう」
「なるほど!ではご主人様も古本屋殿のように落ち着いては如何でしょうか?」
「……」
「まずはシレネーの歌でも…「いらんわ!」…そうですか残念です。」

フールは肩を落とし、少しガッカリしている様子に見える。(多分演技だ)

縁あって小(プチ)ヒエロゾイコンのマスターになり、
一時は俺の命を救うべく、もっている力をすべて使い果たし封印状態になった。
しかし、世界旅行中の最中、アフリカにて地元の怪しい集団に追われていた際、
突然の復活を遂げ、俺達は命からがら助かった。

普段は全然使えない「プチ」だが、いざという時は多少なりとも役に立つ。
が、しかし、
現状において、「プチ」を使う必要性を感じない。

俺は道(?)の真ん中に背負っていたリュックを降ろし、脱力気味に地べたへ座った