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妖アパ 千晶x夕士 過去捏造

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「…ゆ…し…夕士!!おい!起きろ!!」
頬を叩かれ、「うっ」と込み上げてくる胃液を抑え込みながら目を開けると、
眼前に古本屋が覗き込んでいた

「近い!近い!!近いッス!!」
慌てて後ずさりし、車酔いでもしたかのような吐き気を堪えて古本屋から距離を置いた

「なんだよぉー急に人の気配がしたかと思ったら、お前倒れてるから心配してやったのにぃー」
と悪戯が成功したかのような口ぶりで話しかけてきた

「師匠…ここって時空の狭間っスか?」
「おうよ」
「ってことは…俺、戻ってきたんスね?」
「そう…なるのかな?」
古本屋は不思議そうに首を傾げている

「穴に落ちてからどのぐらい時間過ぎたッスか?」
「いや、今しがたお前を突き落したばかりだが?」
「へ?」

どうやら俺は古本屋に穴へ突き落されてから間もなく戻ってきているらしい
時間の流れなど無視した展開だ。

「ところでお前、どうやって穴から戻ってきたんだ?」
古本屋はちょいちょいと手招きし、近づく俺の肩を組んだ

「あーーー思い出した!酷いッスよ!師匠!!自由落下で危うく地面直撃ッスよ!」
「まぁまぁ、無事だったんだからいいだろう?」
「よくないッス!!」
「そう怒るなよ。ここ出たら美味い店でも行こうな!!な?」
「……固くない肉が食べたいッス」
「おう!任せとけ!」ドンと胸を叩き、ケホケホと咳をする

どうやって戻ったか…仕掛けはわからないが、骨董屋から貰った古書と挟まっていた写真の話をした
写真の方は手元に無いが、古書はしっかりと握られていた

古本屋が興味深そうに古書を見ると、目を輝かせながら「凄いぞ!!久々の大物だ!イェッーーフ!」
と飛び跳ね、古書にキスをしている

「骨董屋さん曰く、天界の文字で書かれているらしいッス」
「だろうな!これはヴァチカンの奇跡狩りも追ってくるわなー」
「でも、奪われなかったスよ?」
「ほんと、夕士、運が強いな!流石俺の弟子!」
「…勘弁してください…」

古本屋は慎重にページを開きながら、時折「なるほど」と頷いていた

「読めるッスか?」
「いや、読めるんじゃねーよ。感じるんだよ。」
「感じる?」
「そう。古書に封じられている思いやオーラを身体で感じるんだ。」
「流石は古本屋殿。『七賢人の書』のブックマスターで御座いまする」
「もっと褒めていいよ♪」
「…フール、調子に乗るからこれ以上喋るな」

その後も古本屋が丁寧にページを捲る間、俺は大人しく待っていた



「よし!終わった!夕士、行くぞ!」
肩に手を当て「凝ったなぁー」と首を回す

「ウッス!」
俺はリュックを背負い、古本屋の後を着いていく

「空間からの脱出方法分かったッスか?」
歩き始めたということは、何かしらの手ごたえがあったのだろうと思い、古本屋へ質問してみる

「ああ。解ったぞ。取りあえず、歩くのみだ!」
「へ?」
「まぁー焦らず、ゆっくり行こう!道は必ず開かれる!」
「なんスか…結局、すぐには出れないってことッスね?」
「おう!」

妙にテンションの高い古本屋の後ろを、気の滅入った俺が続く

この空間の中で、どれほどの時間が経ったのだろうか…
永遠に続く道を、俺達はひたすら歩いて行った



「さて、この辺でいいか。夕士、少し下がってろ」
ドカッとトランクを地面に置くと、「もう少し離れろ」と言って、俺を遠ざける

「なにをするんスか?」

「まぁー見てろって」とニヤリと笑うと、左手を差し出した

「七賢人の書!!(セブンセイジ)」と古本屋が叫ぶと、左手の空間がカッと光り、
一冊の本が浮かび上がる

「オク!!」
宙に浮いた本のまた先に、金色に輝く魔法円が現れた
魔法円は複雑な模様を浮かび上がらせながら、カーッと輝くと、バリバリッと音を立て、
衝撃が空間を震わせた

次の瞬間、まるで壁紙をビリビリに裂いたかのように、突如割れ目が出現した
そう、実際にこの空間を裂いたのだ

「お見事でございまする。古本屋殿」
パチパチと手を叩くフールとは反対に、俺は「すげー」とただ関心するのみだった

「まー俺にかかればこんなもんよ!どーよ、夕士!お前の師匠はすごいだろ?」
「ウス!久々に痺れたッス!」

古本屋は俺の肩を抱き、「そうだろう、そうだろう」と首を上下に動かす

「ヨシ!ゆっくりもしてられないから、とっととズラかるぞ!」
「ウッス!」

俺達は亀裂の入った別の空間に飛び込み、なんとか無事(?)脱出することができた。