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流れ星 2

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  「今日、式場、決めて来ちゃった…っていうか決められちゃった。南部くんが
   お父さんの所に連れて行ってくれて…。でね、招待客がすごい人数だって。
   なんだか式挙げたくなくなっちゃった。式の後、披露宴、っていうのがあって
   私達の立場上、やらないわけにいかないだろう、って…。で、南部くんが
   9/8押さえてくれたの。多分、沖田艦長の命日の後で、って思ったみたい。
   式挙げた後ご飯食べて終り、じゃないのね。そうそう、二次会、っていうのを
   やるって言ってた。地上に建設中のホテルの最上階にバーを作るんですって。
   で、披露宴じゃ飲み足りないだろうからクルーはそのままそのバーで一晩中、
   飲んでいい、って。時間制限なしの飲み会みたいよ?
   それでスイートを取っておく…らしいの。お金、いくらかかるかわからない。
   多分、今日、見積もってくれてると思うから少し日を置いて南部くんの
   お父さんの所へ行ってみるね。」





ユキはため息をつきながら進にメールをした。

  (結婚式って大変なんだ…。)

考えてみたら結婚する時はドレスを着る、って事ぐらいしか知識がなかった事に気付いてユキは端末で結婚式、と検索する事にした。
















進は航海の途中だった。一日の仕事を終えて艦長室に戻ると真っ先にプライベートの端末を立ち上げてメールを確認する。

  「ん?今日はなんだ?」

タイトルは“もう大変”とあった。ユキのメールのあとに南部からのメールが入っている。とりあえずユキのメールを読むと返事は後にして南部のメールを読む事にした。

  <よう、今頃どのへんだ?輸送船団抱えると普通の航海よりゆっくりだから
   もどかしいよな。きっと一番島がイライラしてるんじゃないか?

   ところで今日地球に帰還したんだけど偶然ユキさんに会っちゃって。で、そのまま
   秘書室で話してたら長官が真田さんに渡すものをユキさんに預けてそのまま
   帰っていい、って事になってさ。で、話の流れで親父のホテルに行って式場、
   抑えてきた。9/8を抑えたから予定入れるなよ?9/5が沖田艦長の命日だから
   その周辺でみんな地球にもどってくるはずと踏んでる。ちなみに同じ内容を
   相原にメールしておいた。多分今頃ヤマト新聞でみんなに日にちが決まった、
   って連絡してるはずだ。古代も自分で連絡する手間が省けていいだろう?
   結構ひとりひとり連絡取るの面倒だからな。その当たり相原に頼めば出席から
   欠席、全部取りまとめてくれるはずだ。人間得手不得手があるからうまく
   人を使えよ?>

進はここまで読んで一気に疲れが倍増した。

  「全く…誰の結婚式だと思ってるんだ?南部は遊びの延長だと思ってるだろう?」

…その通り…

  <ま、ユキさんは結婚式の事何も知らないから任せられないし…段取りは俺に
   任せろ。誰にも負けないいい式にしてやるからな!相原には俺から披露宴で
   呼ぶリストを送ったんだけど古代にも送ったから添付資料を見てくれな。
   絶対呼ばないとヤバイ、と呼ばないとマズイ、呼んだ方がいいんじゃないか
   呼ばなくてもいいだろう、と色で分けてあるからちゃんと見ろよ!>

進はそのまま添付書類を見た。しばらく画面を眺めてどんだけの人数なんだかと頭を抱える。

  (結婚式、ってどんだけ人来るんだよ!)

進は端末を持って相原の部屋に向かった。













  「いらっしゃい~そろそろ来るかな、って思ってところですよ。」

やたら笑顔で相原が進を迎える。進の視線の先には相原の端末があった。

  「いや~いい友人を持つと至れり尽くせりですねぇ。」

相原が端末に向かう。

  「同じもの送られてきたでしょう?どうですか?リストみて呼んでほしいリスト
   足りない人いませんか?」

とにかく嬉しそうな相原。

  「相原、なんだか楽しそうだな。」

少しむっとしたような声に相原は唖然とした。

  「古代くん、ユキさんのドレス姿見たくないの?見せびらかしたくない?
   きっときれいだよ?みんなユキさんに惚れちゃうよ?その誰もが惚れちゃう
   ようなきれいな人がお嫁さんになってくれる記念の日なんだから喜ばないと
   ダメだよ。僕なんかユキさんの晴れ舞台を見れるけど向こうに逝っちゃった
   クルー達は見れないんだからせめて…ね。」

相原の言葉に進は言葉を飲んだ。

  「古代くんだって知ってるでしょう?ユキさんがめちゃくちゃモテてた事。
   だったらさ、独り占めしようとしないでみんなに見せてあげなよ。」

そう話してる相原の両手は軽やかに動いている。


作品名:流れ星 2 作家名:kei