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【カイハク】ファム・ファタール

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トレイルがいなくなった後、ハクは恐る恐る視線をカイトに向ける。カイトは微笑んで、「もう大丈夫」と言った。

「ごめんなさい、私が勝手に動き回ったから」

差し出された手を取りながら、ハクは目を伏せる。自分の考えなしな行動のせいで、カイトに迷惑を掛けてしまった。

「気にしなくていい。あの刑事には気の毒だが、ちょっとした余興だな」
「村で、噂になっているのでしょうか」
「私は目立つからな。注目の的だ」

悪戯っぽく笑うカイトに、ハクもつられて笑う。確かに、カイトの鮮やかな髪色は、注目の的だろう。

「お茶にしよう。おいで、ハク」

カイトに手を引かれるまま、ハクはホールに出た。しんとした空間に、密やかな足音が響く。

「ライ、お茶を淹れてくれ」

カイトの呼びかけに、何処からかくぐもった声が聞こえた。ハクが視線を巡らせていたら、階段下の収納扉が薄く開く。

「自分で淹れろ」
「ハクが気にしている。いい加減、顔を合わせたらどうだ」
「・・・・・・同士で、か」

前半部分は聞き取れなかったが、扉の影から男が顔を出した。
彼が、カイトの友人なのだろうか。無遠慮な視線を投げてくる相手に、ハクは身を縮める。

「あの・・・・・・初めまして」

恐る恐る声を掛けると、相手は一瞬顔を強ばらせた。何か失礼なことをしたかと、ハクがオロオロしていたら、ライはふいっと顔を背ける。

「お茶、ね。もうそんな時間か」

そう言って、すたすたと台所へ消えてしまった。残されたハクは、ライの消えた方向とカイトを交互に見やりながら、

「あの、私、何か」
「気にしなくていい。直ぐに慣れる」
「でも」
「彼は人見知りなんだ」

カイトは笑いながら付け加えると、ハクの手を取る。

「おいで。彼のことは気にしなくていい」

促されるままに、ハクは居間へと向かった。