【カイハク】ファム・ファタール
カイトの向かいに腰掛けると、テーブルの上にバラバラになった知恵の輪が置いてある。ハクは手に取り、元のように組み直せるかと試していたら、ライが一人分のティーセットを運んできた。
ライの視線がハクの手元に向けられたので、ハクは「あの、その」と慌てる。相手はそのままカイトへと顔を向け、
「ハクの分はいらないんだろう?」
「たまには、お前も付き合ったらどうだ」
「俺は猫舌なんだ」
ライが慣れた手つきでお茶を注ぎ、部屋の中にふわりと香りが漂う。ハクは、自分も何か手伝おうかと手を伸ばすが、代わりに組み合わされた知恵の輪を落とされた。
「油断すると、カイトが外すから。気をつけな」
戸惑うハクにライはそう言うと、さっさと居間を出て行ってしまう。ハクは腰を浮かしかけるが、カイトに手で制された。
「焦らなくていい。時間は無限にある」
作品名:【カイハク】ファム・ファタール 作家名:シャオ