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【カイハク】ファム・ファタール

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数日後、クラーラからカイト宛に手紙が届く。
うんざりした様子のカイトが要約した内容は、ハクのことで相談したいことがある為、屋敷に来てくれないかというものだった。

「一々回りくどい表現をしないと、手紙も書けないのか」
「自分の要望をはっきり書いたら、死ぬ病気なんだろ」

ぶつぶつ文句を言うカイトに、ライが気のない声で言う。

「夫への言い訳でも、相談したいのかもな」
「まだ面会も制限されているというのに、気の早いことだ」
「退院してからじゃ、手遅れだろ」
「あの・・・・・・私」

ハクはおずおずと話しかけるが、カイトが手を挙げて遮ってきた。

「心配しなくて良い。夫人としても、今のハクが戻ってきたら困るだろう」
「伯爵は喜ぶかもな」

ライの混ぜっ返しを聞き流して、カイトは立ち上がる。

「気は進まないが、さっさと片づけてしまおう。出掛けてくる」
「こんな時間に?」
「夕飯には早い時間だ」