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【カイハク】ファム・ファタール

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シャンピニオン伯爵の屋敷で開催されたハクの披露パーティーの様子が、新聞の社交面を賑わせる。オートマタの完璧な美しさを讃え、女性陣のドレスについて品評し、密かに婚約間近と噂されている若き二人のロマンスについてほのめかしていた。

「盛大なパーティーだったようだ」

カイトは新聞から目を上げて、新しい知恵の輪に挑戦しているライを見やる。

「物好きだな」
「うるさい馬鹿。あっちいけ」

カイトが新聞を脇に置くと、ライは警戒する目つきで、手元を背中に回した。

「ハクの披露パーティーが催されたそうだ」
「泥棒でも混じってたか? 金持ちが集まったんだろう?」
「ブローチの一つもなくなれば、新聞が大喜びだな」
「ネタに困ってるとは知らなかった。先日の強盗事件は、もう解決したのか?」

ライはもぞもぞと身を捩って、カイトから手元が死角になるよう体勢を変える。

「あの薬局も災難だったな。狙うなら・・・・・・もっと大きな店に・・・・・・すれば・・・・・・」

カチャカチャと金属の触れ合う音が、ライの言葉に混じって響いた。

「大通りに面した店は、屈強な店員を配置しているのだろう」

カイトはそう言いながら、隙をついてライの脇腹をくすぐってやる。ライは弾かれたように身を起こし、知恵の輪が勢いよく飛んでいった。

「ひゃあっ!! 何しやがる!!」
「ただの暇つぶしだ」
「ふざけんな!」