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こらぼでほすと 二人1

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 坊主たちが、出勤すると家は静かなものだ。あれでも起きないのだから、疲れているのだろう。そろそろ気温が下がる時間だから、タオルケットをロックオンにかけて、ニールのほうは買ってきた雑誌を捲る。奥様向けのタウン誌なんてものは、なかなか情報満載で侮れない。家事の裏技ちっくなものから、手抜き料理なんかも掲載されているし、家族で行ける行楽地の特集が毎月されているので、それらを眺めるのは、なかなか有意義だ。寺に居着いて数年は経過したが、体調の加減で、ほとんど特区の内も移動していないから、目新しい行楽地を知るのは楽しい。
 しばらくして、雑誌を読んでいたが、実弟は一向に目が覚める気配がない。布団の準備をして本格的に寝かせたほうが良いかな、と、脇部屋に布団を敷きに行く。リジェネが留守をしているが、ハイネが居候しているので、ニールの部屋にはふたつ布団が置いてある。とりあえず、ハイネを、もうひとつの脇部屋に移動させて実弟を自分のところに寝かせようと、準備した。あとは、着替えを風呂場に運び、一度起こして寝かせようと思っていたら、ニールを呼ぶ声だ。

 脱衣所から顔を出したら、廊下を実弟が血相変えて走っていた。
「ここだ、ロックオン。」
 ニールを確認すると、ヘロヘロとロックオンは廊下に座り込む。なんじゃ、その態度は、と、ニールが近付いたら、両足をガバリと腕で締め付ける。
「どうした? 」
「どこ行ってたんだよーーーっっ。具合悪くて本宅にでも拉致されてるのかと思ったじゃないかっっ。」
「ごめんごめん。散歩に出てたんだよ。公園のベンチで居眠りして遅くなったんだ。」
 上目遣いにロックオンが怒鳴るので、留守していた理由を告げると、「誘拐されたら、どーすんだよっっ。」 と、亭主と似たようなことを言う。おまえらは、俺をなんだと思ってるんだ? と、ツッコミのひとつも入れたくなる。
「・・・なあ、ロックオン。俺、三十路越えたおっさんで、身長180オーバーだって理解してるよな? 」
「どこにでも変態っていうのは存在してんだよ。そいつが2メーター近い男だったら、兄さんぐらいは担げるだろ? あんたさ、虚弱体質で抵抗もできないんだぞ? なんかあったら、どーすんだよっっ。」
 本気で叱ってくる実弟の言葉が、とても痛いと思うのは、気のせいだろうか。だいたい、昼日中の公園で、そんなことをするバカはいないだろう。
「あんた、男はイヤなんだろ? 暗がりに引き摺られて、いいようにされたら、どうすんだ? 貞操の危機だ。」
「・・・あのさ、おまえの中の俺って、どーいうイメージなの? そこまでされる前に逃げられるぐらいのことはできるんだけど? 」
「わかるもんかっっ。・・・あ、でも・・・それで男の味を知ったら、義兄さんとエッチできるか・・・うーん・・・でも、最初が強姦はキツイしなあ・・・・下準備なしだとトラウマものだし・・・」
 さらに訳のわからない妄想に発展したので、拳骨を落として実弟を廊下に転がす。どこの世界に、実の兄の強姦シーンを妄想するバカがいるだろう。刹那たちが、あほライル、あほライルと呼ぶのは、こういうところかもしれない。
「目が覚めたんなら、風呂に入れ。パジャマは俺のでいいだろ? 下着は新品を出してある。」
 いちいち、ツッコミするのも疲れるので、実弟を動かすことにした。連絡がなかったので、着替え一式がない。とりあえず、背丈はニールと一緒だから、今日はニールのものを着せておくことにする。明日、マンションまで自力で行って運んでもらえばいい。
「腹減った。」
「なんでもいいのか? 」
「肉食いたい。」
「しょうが焼きならできる。」
「じゃあ、それ。あと、生野菜たっぷり。それでギネス。」
「ギネス? それはない。明日にしろ。今日は、ラガーかバドワイザー。」
「ん、バドで。ギネス呑んでないのか? 兄さん。」
「酒は、あんまり呑んでないんだ。明日、買って来る。」
「ギネスの黒もいいなあ。なあ、ギネスの各種呑み比べとかやらねぇー? 組織だと普通のしか呑めなくてさ。」
「わかったから、さっさと風呂に入れ。」
「兄さんは入らないの? 」
「俺は寝る前。」
「じゃあ、俺も、そうする。」
「いや、疲れてんだろ? おまえ、三時間ぐらい寝てたぞ? 」
「そうなんだ。ものすごくハードでさ。うちのダーリンってさ、仕事となると厳しいから降りるまでバタバタして。・・・あ、いや、前日のエッチが激しかったってのもあるんだけど・・・」
「ああ、もう、聞きたくないっっ。風呂っっ。」
 久しぶりで、いろいろと実弟は喋りたいらしいが、面倒になってきたので、大型犬に、「ハウス。」 と、命じるように怒鳴ると、ぶぅーっと膨れっ面で風呂に進んだ。


・・・なんで、一番年上の実弟が、一番手間がかかるんだろう・・・


 マイスターが降りても、それほど手間がかかると思ったことはない。どちらかといえば、あれもして、これもして、と、ニールは楽しいのだが、実弟の弾丸トークは浴びると疲れる。とりあえず、食事の準備して話は、それからだ、と、ニールも台所に移動した。
 ボリュームのあるほうがいいだろうと、チャーハンとしょうが焼きのワンプレートと、ワカメとじゃこときゅうりの酢の物と生野菜サラダを用意する。足りないなら、適当にチンすればいい。

 料理を卓袱台に並べ終わる頃に、風呂から実弟が戻って来た。さっぱりして目は覚めたらしい。そうなると空腹のほうが勝る。腹減ったーと缶ビールのプルトップを捻り上げ、ごくごくと一気飲みだ。
「ぷはぁー生き返るぅぅぅぅ。」
 それから、すぐに料理に手をつける。がつがつとワンプレートを片付けていくので、ニールのほうも無言で、同じように口をつける。
「足りるか? 」
「・・・うん・・・」
「俺のも食っていいぞ? 」
 なんだか、えらい勢いなので、ニールのワンプレートも差し出した。すでに実弟のプレートは空だ。
「兄さんは? 」
「俺は、別のものを用意する。それは食ってもいいよ。」
「サンキュー。これ、スパイス効いてて最高っっ。」
 さらに、ニールのプレートにも手を出しているので、足りないかな、と、冷蔵庫と相談するために台所に向かった。
「兄さん、これで十分だぜ。あと、デザートに果物とかある? 」
「えーっと、パイナップルとオレンジぐらいだが? 」
「じゃあ、オレンジッッ。」
「呑まないのか? 」
「ビールもうひとつ。」
「はいはい。」
 悟空ほどの威力はないが、本当に空腹だったというのは、よくわかる。茹でて冷凍しておいたじゃがいもを解凍して、ざっくりとニンニクで炒めて、チーズをかけて出す。酒の肴になるように、ちょっと鷹の爪も足しておいた。どうせ、亭主も帰ったら呑むだろうから、大目に用意しておく。
「これ、追加。」
「サンキュー。あんたは? 」
「うん、食べるよ。」
「ちゃんと食べないとダメだぞ? 兄さん。あんた、きちんと食事して栄養補給しないとダメなんだからな。」
「うっせぇーよ。」
「だいたい、風邪なんてさ。体調が悪いからかかるんだよ。それもインフルエンザだったんだろ? 刹那が叱っとけって言ってた。」
作品名:こらぼでほすと 二人1 作家名:篠義