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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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閉じていた目を開き、声をかけたところで、少年が硬直した。

「ちょっと──」
雪姫が、赤い顔をして計佑を見つめている。
「やっぱりキミは──」
困ったように、眉を八の字にしてもいる。
「……ワザとやってるよね……?」
──計佑に押し倒される形で、胸を鷲掴みにされた雪姫がそこにいた。


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<第3話のあとがき>

3話と4話は、雪姫の計佑への気持ちがある程度固まる大事な話。
なので、雪姫の心理描写とか頑張ってみたつもりです。

植物園にいったシーンはばっさりカットです。続くまくらとのシーンもぎゅっと短縮……

真っ当な小説なら、雪姫の私服姿の描写とかも入れるべきなんでしょうけど、
僕は服装にはとんと疎くておざなりにでも描写できる能力はないので(T_T)
そのへんは割愛させていただきました……

「演技上手かった?」は、なんとなく拘りのポイントです。
仮面生活に嫌気のさしてる雪姫ですが、計佑がハマってくれるのはそれはそれで楽しい……みたいな感じですかねー。

手紙を見つけないのは雪姫フラグを高めてみたポイントのつもり。
原作では「目覚めない……」の一節がまくらの状態への
不安をふくらませてしまい、結果先輩のコト考える余地が減ってた訳ですから、
それを削るというのは雪姫ポイントに繋がるかなと。

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第4話『何もかもが例外の少年「……別に、怒ってるわけじゃないのに」』


04話

──ミーミー──ジージー──

開け放たれた窓から聞こえてくる蝉の声。

チリーン……

時折、風鈴の音も混じってくる。
その中で、硬直しつづける一組の少年少女。
少女──白井雪姫は、両手を頭の上にあげた格好のまま動かない。
赤い顔をして唇を引き結んだまま、じっと少年の顔を見上げている。

雪姫は熱くなる顔を自覚しながらも、どこか冷静に今の自分を不思議がっていた。
押し倒されて、胸を掴まれて──なのに、不思議と嫌悪感はない。

──カワイく思えるコだけど、それでも男のコ相手なのに……何でこのヒトだけは平気なのかなぁ……?

雪姫は鼓動を強くしながらも、自分のよくわからない心のままに、じっと計佑の顔を見上げ続けていた。

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──なんでじっとしてるんだろうこのヒト……

まさかの事態に、本来真っ先にやるべきことを放置してぼんやりと考える計佑。

──押し倒すような形で、胸まで掴んでるんだぞ? 跳ね除けて、ビンタして、痴漢ーって叫ぶのが……普通じゃね?

計佑の指先は、雪姫の胸の上部に直に食い込んでいた。

──前回は服越しだったけど……今回は直接か……

下心ではなく、好奇心に押される形で指先に力を入れてしまった。

──むにゅり。
「んっ……」
雪姫から押し殺された声がもれた。
その瞬間、ようやく少年にまともな思考回路が戻った。

──はっっ!!??

「ごッ、ごめんなさいッッッ!!!」
前回はお互いに横倒しで、まだ服の上からだった。
今回は押し倒した格好で、しかも指先はじかに──
あまりの状況に脳が沸騰しそうになって、慌てて手をどける。
──そこで、開いたままのドアから、ひょいと医師らしき男性が顔を見せた。
「白井先生ー……え?」
その医師が目の前の光景に一瞬固まると、
<b>「なッ…… 何をやってるんだ君たちは!!! 」 </b>
<i>「い゛やっ、あのっ!!」</I>
思わず声が裏返ってしまう。
前回は第三者がいなかった事でまだどうにかなったが、今回はそこまで上手くはいかなかったようだ。
雪姫が、男からは顔を逸らすように身体を起こす。
男は部屋に入ってくると、計佑の肩をつかみ部屋から引っ張りだした。
「ごっ誤解なんですっ!!」
そんな一言で誤魔化せるとは思えないが、とりあえずそう口にするしかない。
「先生の部屋でこんな真似──何を考えてるんだ」
「なに何??」
騒ぎに、何人かの人間まで集まってくる。
「多分……いたそうとしてたみたい」
「ええっ、こんなところでっ!? 」
どんどん拙くなる状況に、計佑が更に青ざめた。
「……あれ? あの女の子……CMに出てるコじゃない?」
ギクリとする。
「白井雪姫だよ。ホラ、白雪フェイスっていうカメボウの」

──ヤバイヤバイヤバイ……!!

前回はどうにか許してもらえた? 芸能人への痴漢男のレッテル……今度こそ、それが確実になってしまう!!

「今人気急上昇中の!? ──てかこれヤバくない?」
「恋人発覚・・・ってことだよね?」
「スキャンダルだよ〜〜♪」

キャーキャーと楽しげな黄色い声に、ハッとなった。

──そうだよ……オレの問題っていうより、こんなコト先輩にとっては……!!

違う意味でまずい状況だったことに気づき、恐怖以上に申し訳ない気持ちが湧いた。
雪姫を見下ろすと、彼女の俯いた横顔が見えた。
つらそうに歪められた、その表情。
初めて見る、先輩のそんな表情に──計佑の胸にズキリと痛みが走った。
苦手な筈の人の、そんな表情が何故自分にもそんなに痛いのか──この時の計佑にはわからなかった。

「このコがカレシなんだー?」
「へー……」

──ただ、もう野次馬の声も、ろくに耳に入らなくなっていた。

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──スキャンダル、か……

雪姫はただ黙って床に座り込んだまま、その声を聞いていた。

──別にいい。芸能人なんてなりたかったわけじゃないもの。
……むしろ、やりたくなんてなかった……

周りの声に流されるままに引き受けてしまった仕事。
読者モデルくらいなら、まだ何とか我慢できていたけれど、テレビの仕事なんて……

──これで終われるなら、その方がもう……

沈んだ顔をしながらも、少女はそんな、暗い安堵も覚えていた──。

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「あっあ……!!」

──マズイ、これはどうにかしなきゃ──!!

じっとしていられずとりあえず開いた口から音がもれて──そのまま勢いをつけて大声を上げた。
「あああ〜〜〜〜!! そっ そぉーだ 『姉ちゃんッ』!! 早くじーちゃんの忘れ物、空港に届けないとっ!!」
計佑の突然の大声に驚き、雪姫が顔を跳ね上げた。
「……え?」
「あんな高いトコロに大事な本つんでだからさ〜、相変わらずー!! 崩れてきて危なかったよなァー!!」
わざとらしいのはわかっていたが、大声を続けた。
「え? 白井先生のお孫さん?」
最初に部屋へと来た男性医師がつぶやく。
「……ああ、そうだ確かお孫さんがテレビに出たって話きいてたっけ」
その男性が、続けてそんなことを口にする。

──よっ……よし!! なんとか誤魔化せそうだ!!

「ほらッ!! 姉ちゃん、いこーぜっ」
「えっ……え?」