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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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誰かもう一人が起きてきた事は知らせてあるし、まあ詳しくは次回で明らかにすればいいかな、と。


ラストのとこは、

1.原作ではなかったホタルの決着を書いたら、
2.雪姫と更に絆を深める事が出来て、
3.その結果まくらが計佑を諦めてしまう、

という、一石三鳥だと思ったんですが……
長々と行数かけて書いてるんだし、ホタルとの別れが一番でかい鳥に見えるかと思うんですけど、
僕ん中じゃあ、あのシーンでの一番でかい鳥は、全然書かれてないハズのまくらなんですね。

僕の好みだけで言えば、2.にあたる『先輩にすがり付いて咽び泣く』って
トコが一番大きい筈なんですけど、
全26話という話の中では、
『まくらが完全に計佑を諦めてしまう』意味のほうが大きいコトの筈で……
まくらの心をきっちり折るのは『原作を自分好みに改変してやるんだっっ』
という目的からは必要な事でして、
ホタルとの別れと咽び泣く計佑たちとかがメインに見えても、
実はまくらの心をヘシ折るのこそが最大の目的だったのですよね。

そして残りはニ話なんですが、最後ってコトで、
どうしてもまたシリアス多めになっちゃうと思うんですよね〜……
「ラブコメといっても、最後には必ずシリアスが来る」ってのは絶対の法則……ですよ……ね?
まあ、もしもまくらエンドにもってくにせよ、
『計佑と、選ばれたコにとっては』ハッピーエンドで終わらせるコトだけは間違いないと思うので、
ここまで読んできてくださった方には、もうちょっとお付き合いして頂けるとありがたいですm(__)m

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第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』


 <25話-1>


 朝、目を覚ました計佑は、まず自分の状態を顧みて、それから安心の溜息をついた。

「……よかった。一応、いつも通りには戻れたみたいだな……」

 二日前の深夜、まるでどこか壊れてしまったかのように泣き崩れてしまってからずっと、
まともな精神状態ではいられなかった。

 あの晩、日が昇る前にはどうにか泣き止めたのだけれど、それでも心はどこかおかしくなったままで。
余りにも泣きすぎて、感情が麻痺してしまったのか──もう、ぼーっと呆け続ける事しか出来なくなっていた。

 雪姫に散々縋り付いて、みっともなく泣き続けて、
恥ずかしくて堪らないのが当たり前だろうところなのに、そんな感情すら湧いてこなくて。
 辛うじて、迷惑をかけてしまった事を詫びるくらいは出来たような気がするが……それすらも
ぼんやりとした記憶しかない。
 雪姫に何があったのかと聞かれても、それにすら答えられなくて。
……そう、答えられる訳がなかった。計佑自身も、何も覚えていなかったからだ。
 自分が何故グラウンドなどに来ていたのか、何が悲しかったのか、まるでわからなかった。
霞んだ意識では、思い出そうと試みる気力すら湧かなくて。
そんな風に呆け続けて、危なっかしい計佑だったから、心配した雪姫に送り出されて。
せっかくの合宿だったのに、皆が起きだす前に早退する羽目になった。
 幸い、まくらも早々と目を覚ましていたようだったので、まくらが付き添ってくれたのだけれど。
……そう言えば、帰りの道中、まくらも全然口を開かなかった気がする。
まあ、あの時の自分に、まともに話をする事は多分無理だったのだろうけれど──
ともあれ、昨日は一日ぼーっとし続けて。
 またこうして朝を迎えてみて、ようやく普段の精神状態を取り戻せた事に安堵した訳だった。

──今日から、生まれて初めてのバイトなんだもんなぁ。
  初っぱなからまともに働けないとか、絶対許されねーだろ。

 昨日の自分の状態から心配だったのだろう、様子を見に来てくれた由希子に『もう大丈夫』と伝えて。
顔を洗って、服を着替えて、食卓に向かって。
そして、そこでまくらの不在に気付いた。

「あれ、おふくろ?  まくらはどうしたんだ?」
「ん? いやね、今日もなんか忙しいって話してたんだけど……どうしたんだろうね?
昨夜もくーちゃん来なかったでしょう、随分と珍しいわよね」

 言われて気が付いた。
確かに昨日、家まで送り届けてくれて以降、まくらが一度も顔を見せていなかった事に。

──……あ、そう言えば……アイツとはちょっとケンカっぽいままだったんだよな……ちゃんと話するつもりだったのに。

 硝子にも念を押されていた事だった。
 とは言え、たとえまくらがいつも通り目覚家で過ごしていたとしても、
昨日の自分には、まともに話をするなんて到底不可能だったのだけれど。

──うーん……早いとこちゃんと話すべきなんだろうけど、今もあんまり時間ないしな。
  とりあえず、バイトから帰ってきて、かな。

 そんな風に決めて、朝食をとり始める。

──そういや、昨日からホタルもいないんだよなぁ……

 昨日は一日中、部屋でボーっとして過ごしていたのだけれど、結局一度もホタルは姿を見せなかった。

──まあ……早速、榮治さん探し再開したんだろうなぁ。

 きっと元の姿に戻ったであろうホタル。
あのクールな目つきの彼女なら、今頃は恬淡としている事だろう。
それに、榮治探しの合間にも時折は顔を見せにはくる、とは旅先でも言っていたことだし。

──そう、永遠の別離を迎えたわけでも何でもない。
その内、また帰ってくる事もある筈だから。
だから、寂しがる事も、悲しむ必要もない。

 ホタルとの、『最期の』別れを思い出せない少年は、そんな風に考えて。

……そうして、心の平穏を保っていたのだった。

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 それからの10日程の間、計佑は初めてのバイトに励んだのだが──
その予想を遥かに上回るハードさに、ぐったりと疲れきる毎日を過ごしていた。
 短期集中のものだったので、休日が挟まれる事もなく、
あまりに疲れて食事もろくに喉を通らないような日々にまでなってしまって。
 そんな状態だったから、両親は勿論、まくらともろくに会話をする事もなくて。

……結局、全てが手遅れだったと知ったのは──バイト終了の、翌々日だった。

「おふくろ、おかわり」
「あらっ、珍しい。ようやく、食欲戻ってきたのかい?」

 計佑が差し出した茶碗に、由希子が安心したような笑みを浮かべた。

「まあなー……昨日は、まだキツかったけど。今朝になったら、やっと楽になってきてたよ」

 バイトは一昨日で終わりだったが、昨日はまだ食欲も回復してくれなくて。
今朝目を覚ましてみて、ようやく身体が楽になってきた事を実感出来たところだった。
 そうして、久しぶりに余裕を持って味わえる味覚にちょっとした幸せを感じていたのだけれど、
向かいに座る人物が漂わせる暗い雰囲気のせいで、その幸せに浸りきる事は出来なかった。

「……なあ、まくら。その……まだ落ち込んでるのか? 試合の事で……」
「……別に。そんな事もう気にしてないし、特に落ち込んでるつもりもないけど」