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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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そのメールにあったのは短い一文だったが──

──マジかよっ!!
驚きと、歓喜に軽く体が震えた。

文面は──『わかったよ、あの写真の女の人の事!!』

しばらくは状況が動かないかと、軽く諦めかけていた。そんな矢先の朗報に、計佑の胸は弾むのだった。

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──メールがこない……

その日の夜。
雪姫はベッドに転がって悶々としていた。
両手でケータイを持ち、今はそれをじっと睨んでいる。
ソワソワとした気分で待っていたメール……それがいつまで待っても届かないからだ。

──勇気出して教えたのに!!
──こっちからメールまでしてるのに!!!
──男の子に教えたのなんて初めてだったのにぃっ!!!!

足をバタつかせる。

──私のケータイ知りたいって男の子はいっぱいいるのに……なんでよぉ!!

そんな上から目線な怒りまで抱いてしまうが、それも一瞬だった。
ふっと苦笑して、まあ私なんてそんなものなのかなぁと自嘲する。
結局のところ、本当は自分に自信のない少女──雪姫はしょんぼりする。
それでも、彼の事を考えてしまうのはやめられない。

──なんなんだろうこれ……なんでこんなに彼のことばっかり気になって。 ……もしかして……私……

最初ワクワク、次にイライラ。そしてションボリ。
初めての感情を持て余す少女の、一喜一憂の夜が過ぎていくのだった。



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<5話の後書き>

なんか今回ちょっと難しかった気がしました。
原作通りなら先輩いないんで、最初はさくっとすませられそうな気がしてたんですが、
それはそれでモチベーションが持てなくてどうにも……
結局、最後に原作にはなかった先輩視点を足してみました。

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第6話『終業式・拗ねて誘って。「もう、この気持ちには抗えないんだもの」』

06話

朝食を済ませた計佑は、登校の準備を済ませながら物思いに耽っていた。
昨日、雪姫から届いたメール。

──まくらを元にもどすヒントになるかもしれない。
今わかってるのはあの写真の女の人が "眠り病" って名付けられた病にかかってたらしい事くらいだ。
それでも、白井先輩の話次第では……まず学校で詳しく話をきかなきゃ、な。

「おはよー」
「おう、おはよう」
ようやく起きてきたらまくらに挨拶を返し、
「じゃオレは学校行ってくるから。ややこしい事になんねー様に、大人しく留守番しといてくれよ」
そう言い残し部屋を出ようとしたが、
「計佑!! この扇風機つかないよー?」
まくらが呼び止めてきた。
「コンセントは!?」
「どれぬくの? どれさすの? ……わかんないからやってー」
「……あのなぁそんなん自分でやれよ……こっちはそんなヒマ──」
振り向いて、まくらの表情に気付いた。

──……あ……そういえばコイツ……
寂しいとこんな風によく人を引き止めるんだっけ。
昔まくらの親父さんが仕事に行くときも、随分駄々こねてたな……

体ごと、まくらの方に向き直る。

──学校に行けないで一人残されんのは、寂しがりのコイツにはそりゃキツいか……

「……そうだまくら」
呼びかけに、ぼんやりと扇風機を眺めていたまくらが視線を合わせてくる。
「明日から夏休みだろ。休みに入ったらどっか遊びにいこーぜ」
「ほんと──!!??」
ピクリと肩を跳ねさせたまくらが、あっという間に笑顔を浮かべる。
けれど、すぐにまた暗い顔をして、後ろを向いてしまった。
「遊び……とか……そんなの、こっ、恋人と行けばいいじゃん……」
「……はあ?」
一瞬喜んだ癖に、急に沈んで妙な事を言い出すまくらを不思議に思うが、もう本当に時間がない。
「恋人なんていねぇよ……そんなんお前だって知ってんだろうに。とにかく行ってくる」
ドアを閉めると、学校へと向かった。

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──まくらがお化けになってから、俺余裕なくしてアイツにきつく当たりすぎてたかもな……
なんかヘンなふうに見えちまう時もあったりしたし。……今のまくらは、俺しか頼れるヤツいねーんだから。

「もうちっと……俺が優しくしてやんないとな……」
そう口に出しながら、計佑は学校へと自転車を走らせるのだった。

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────ガヤガヤ……ザワザワ……

終業式が終わって、生徒たちが体育館から吐き出されていく。
「オイ計佑!! 夏休みの予定は決まってんのか!?」
「まだ決まってねぇよ」
テンション高く絡んでくる茂武市に、計佑が答えた。
「女子誘って泊まりで海とか行かないか?」
「泊まりぃ?」
「おーよ!! 浜辺でビキニの女子たちとビーチバレー!!
はずむボールと揺れる乳!!! どーよ? まくらちゃん誘ってくれよ」
「……いや、まくらは……」
茂武市には教えておこうか……軽く悩む。
しかしその答えを出す前に、一人の少女が計佑に呼びかけた。
「目覚くん! 今日はまくらどうしちゃったの? 夏風邪とか?」
「委員長……」
「そぉーだ! 須々野さんも行かない!? 夏休み、泊まりで海にでも!!」
「えっ……ええー!? だっ……誰が来るの……!?」
何故か自分のほうをチラチラ見ながら問う硝子に疑問を覚えるが、計佑としてはあまり乗り気な話ではなかった。

──まくらを置いてくコトになりかねないもんな……泊まりでほっといたりしたら、アイツ兎みたいに死にかねないし。

「あっ!! そうだ委員長!! まくら風邪で休んでっからメールでも送ってやってよ。 ちょっとお見舞いはまだ遠慮してやってほしいけど」
「え!? そんなに悪いのっ? 大丈夫?」
「いやいや大丈夫だよ。もう治りかけてはいたからさっ」

──アイツ、確かモノには触れるんだからな。メールだって打てるだろ……
俺以外にも話し相手が出来れば、寂しい思いもあんまりさせずにすむだろうしな。

この時の計佑は、いい考えだと思っていた。
しかし、まくらの本体は病院で眠っている以上、あとで事態がバレてしまった時──
メールのやり取りが出来ていたなどいうのはとてもマズイ事になるのだが、
この時の計佑はそこまで頭が回っていなかった。

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「ねぇねぇ雪姫っ! 雪姫は夏休みの予定何か決まった?
アタシまた雪姫の実家に遊びに行きたいんだけどー……でも仕事の予定とかギッシリな感じだったり?」
「え? 大丈夫!! いーよ、カリナと他にも誰を呼ぶ? 去年おばあちゃん、にぎやかでスゴイ喜んでたよ」
雪姫は、自分の肩に手をかけて話しかけてくる親友──森野カリナに答えた。
「ホントっ? あーヨカッタ♪ ダメっていわれるんじゃないかと思ってたよー」
嬉しそうにカリナがしがみついてくる。