二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

INDEX|141ページ/169ページ|

次のページ前のページ
 

 そんな雪姫のおねだりに、計佑が逆らえる筈もなく頷いたり。

 それからファンシーショップへ向かって、雪姫とアリスへのプレゼント選び。
計佑としては、本命である雪姫の物は後回しにして、先にアリスへの物を選んでしまおうと考えていたのだけれど、

「最初は私の! 絶対わたしのっ!! とにかく私のっっ!! じゃなきゃダメなのっっっ!!!」

 雪姫が全力で主張してきて、その必死さに微妙に引いたりしつつも、
特に逆らう理由もないので望む通りにしてあげて。
……もっとも、
『先輩って、好きな食べ物は最初に食べる派?
にしても順番なんかに拘ったりして、やっぱ意外とコドモっぽいなぁ』
などと考えていたりする少年は、『初めてに拘る乙女心』などカケラも理解できない、
相変わらずのズレっぷりと鈍感ぶりだったり。

 バイトでしっかり稼いだ事もあって、雪姫の部屋にあるどれよりも大きい
クマを贈ろうと考えていた計佑だったが、雪姫が希望したのは50〜60センチ程度の大きさの物で。
「せっかくだから、もっと大きい物でも」と計佑が提案するも、
「いいのっ、これ以上大きいと持って帰れないもんっ」と子供みたいな笑顔で雪姫が答えて。
「え? 宅配にすればいいじゃないですか」と疑問を投げかければ、

「……ヤだ。絶対、自分の手で持って帰りたいんだもん……」

 選んだくまモンを抱きかかえて、口元をぬいぐるみの後頭部で隠しながらの上目遣い。
飛び抜けた美少女による、普通の男なら悶絶するだろうこの仕草、
しかし日本でもトップクラスであろう朴念仁は、
『……そりゃこのサイズなら持って帰れなくはないだろうけど……荷物になるだけなのになぁ』
などと首を傾げて、
『好きな人からのプレゼントなのに、他の人に運ばれたりしたくない』
という乙女心を、やっぱり、さっぱり理解出来ずにいたり。

 その後、アリスの分を選ぶ段になって、

「アリスって、背伸びしたがるっていうか、やたら大人に憧れてたでしょ?
だからそういうアクセサリーとかどうかなーって思って。
ただまあアイツはあんな容姿だから、あんまり浮かないような、
ちょっとだけ大人っぽいモノとか贈ってやろうと思ったんですけど──」

──でもオレにはそんなのを選ぶセンスなんてないし、選ぶのは先輩にお願いしたいんですけど。

 そう続けようとして、膨れている雪姫に気づいたり。

「……ふーん……アリスにはアクセなんだ……
それに私のはあっさり決めてたっぽいのに、アリスの方だと随分と色々考えてあげてるんだね……」

 またまたアリスに妬いている雪姫に焦りながら、

『ついさっきまでご機嫌だったのにっ、相変わらずコロコロと忙しい!!』

 そんな内心の声は隠して、

「ちがっ、最後まで聞いてくださいよ!? オレじゃあ分かんないから、先輩に考えて欲しいって──」

 さっき言いかけた事を改めて口にすると、ちょっとだけ機嫌を直してはくれたが、

「……じゃあコレ」

と雪姫が選んだアイテムは────ドクロのネックレス。

「……セ、センパイ……?」

 いくら計佑とて、それがベストチョイスだなどと騙される筈もなく。頬を引きつらせていると、

「いいのっ。あんな悪魔みたいなコには、こんなんがお似合いだもん!」

 プイっとそっぽを向きながらのそんなセリフ。

『……ええ〜……? ……いや。なんかツッパってたりするアイツだから、意外とこんなんでも喜ぶのか……?』

 半信半疑ながらも、計佑がそれをレジに持っていこうとすると、

「……えっ!? まっまって待って計佑くんっ、本当にそんなの買ったりしちゃだめだよっ!?」

 拗ねては見せても、本当の悪者には決してなれない雪姫が慌てて止めたり。

 そんな風に、デート──といっても、計佑のほうにはそんな意識はなかったりする──を
楽しんだ二人は、最後にレストランへと向かって。
 雪姫が選んだそこはお洒落な店で、
今までしてきた外食といえば基本ファミレスだった計佑にはちょっとばかり敷居が高かったりしたけれど、
ファミレスとははっきりと違う美味しさに目を見張ったり。
 そんな風に舌鼓を打ち、デザートが運ばれてきたところで、

「……ねえ、計佑くん。ところで、今日は聞いてほしい話があるって言ってたけど……それって何かな……?」

 デザートには手を付けずに、もじもじとしながら、上目遣いの赤ら顔で雪姫が尋ねてきた。

「……あ!! そ、そうでした……!」

 すっかりその事を忘れていた。──大事な話なのに。
ちゃんと話をするために、計佑は手にしていたスプーンを戻して、

「実は──」
「うっ、うんっ……!!」

 背筋を伸ばして、目を見開いて、ゴクリと喉を鳴らす雪姫へと、
















「──まくらのコトなんですけど……」

 話を切り出した。
そう、雪姫との時間が楽しすぎて、すっかり頭から抜け落ちていた話。
危なかった。雪姫が切り出してくれなかったら、最後まで忘れていたんじゃなかろうか……
そんな風に感謝しつつ始めた話題だったが、途端、雪姫の首がガクンと倒れ、肩も落ちて、背中も丸まった。

「……だよね〜……計佑くんだもんね〜……結局、いつも通りのパターンに決まってるよね〜……
……私も、いい加減学習しないかな〜……」

 力ない声で、雪姫がつぶやいて。

「……あの、先輩? どうかしました……?」

 いきなり萎れてしまった雪姫に戸惑っていると、やがて苦笑を浮かべた雪姫が顔を上げてきた。

「まあ、今日はとっても楽しかったし。これ以上贅沢言えないよね。……長期戦なのは、覚悟してたんだしっ」
「……はあ……?」

 計佑には意味のわからない内容だったけれど、言い切った雪姫は苦笑から苦味を消し去ると。

「それで……? まくらちゃんがどうしたの?」
「あ、はい。実は──」

──まくらが引っ越すこと。
──最近の自分の態度、特にアリスに対するそれに関して、不満があったらしい事。
──自分たちとの生活に『疲れた』などと口にしたこと。

 それらを雪姫に語った。
 自分ではどうしても分からない事がある。
けれど母は教える気はないといい、硝子なら理解るのではないかとも思うのだが、
『合宿から帰ったらすぐに話す』という約束を破ってしまった以上、どうにも聞きづらい。
 あの日には、硝子からも計佑の体調を心配するメールが何度か届いていたし電話だってあったくらいだから、
事情はわかってくれているだろうし、怒ってもいないだろうとは思いたいのだけれど。
 茂武市は意外と頼りにはなるが、あの友人では女心を探る話にはイマイチ心許ないし……
そういう訳で、計佑が相談できる相手はもう雪姫しかいないのだった。

 まくらの引越し話など初耳だった雪姫は、まず目を丸くして驚いて。

「……そんな。せっかく仲良くなれたのに……」

 そして悄然としてしまった。
 そんな雪姫につられるように、計佑もまた今朝の落ち込んだ気分を取り戻してしまって。
無言で俯いていたら、雪姫がハッと我に返って、

「……あっ……! ごめんね、相談してくれたのに私のほうが落ち込んじゃったりして。