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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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そしたら、お父さんから引越しの話を聞かされて。
……まあ、これで都合よく逃げられるし、ちょうどよかったかなぁって』

──また、まくらが笑ってみせる。けれど、笑ってる筈のその声は、もう……

『だ、だからもう、計佑の傍にはいられない。
す、少なくともっ、本当にただの家族としか思えなくなるまではっ、連絡だってもうしないっ……!!』

──グスッ、とまくらが鼻をすする音が聞こえて。

『……エへへっ、まあでも、お別れの時にはキッツいコトの1つでも言ってやろうかとも思ってるんだ〜?
最後まで鈍感王だったオバカなおにーちゃんへの、ささやかな復讐としてネ!!』

──そして、まくらを呼ぶ声──多分まくらの父親だろう──が漏れ聞こえて。
まくらが通話口を押さえてから『はーい!!』と大きく返事をしただろう様子も漏れ聞こえてきた。

『……じゃあねっ、硝子ちゃん! 計佑と雪姫先輩のコト、よろしくね。
計佑はオバカでヘタレだし、先輩は先輩で暴走しがちだし、
周りで誰かがフォローしたげないと、なんかしょっちゅうトラブル起こしそうだからさっ!!』

──そんな風に告げたまくらは、最後には愉快そうに笑って。

……そして、録音再生はそこで終わりだった。

─────────────────────────────────

「……どうだった? 目覚くん」
「……え……? ……あ……」

 いつの間にか再生が終わっていたケータイは、もう硝子の手に戻っていた。

「…………」

 硝子がじっとこちらを注視している。
それでも、何も言えずにただ立ち尽くしていた。

「ねえ、目覚くん。目覚くんとまくらがいつも言っていた『兄妹みたいなもんで、そんなんじゃない』
……少なくとも、まくらのほうは否定したよ。
もう、『そんなコト、ありえない』なんて言えなくなったよね」
「…………」
「目覚くんにとって、本当にまくらはただの家族でしかなかった?」
「当たり前だよ。それ以外の何でもない」

 意識しなくても、何度も繰り返してきたセリフは勝手に口をついた。
けれどその瞬間、硝子が顔を歪めると。

「……その思考放棄が元凶なんだって……! もうわかってるでしょう!?」

 押し殺したような声と共に、こちらの肩を突いてきた。
決して耐えられない強さではない、細腕に押されただけの事だったのに、何故か踏ん張れず蹌踉めいて。
背後にあったドアに、背中をぶつけて。

──もう真っ直ぐ立てる気がしなくて、そのまま寄りかかり続けた。

「白井先輩といる時でも、まくらの事が気になったりしなかった!?
私が先輩との事内緒にしておくって言った時、
『誰であっても言わないで欲しい』って言ってたけど、1番知られて困る相手はまくらじゃなかった!?
先輩に告白されて一ヶ月以上経つのに、いつまでも答えが出せないのは本当に鈍いせいだけだった!?」

 矢継ぎ早に畳み掛けられて。ようやく……ゆるゆると、考え始めた。

──雪姫と一緒にいる時でも、まくらが気になった事は確かにあった。
  ……霊状態のまくらが心配だっただけだと思っていたけれど。

──添い寝を見られた、次の日の朝の事か。
  ……確かに、あの時1番知られたくなかった相手はまくらだった気がする。
  ……そうだ。島で療養所に入る直前、まくらが何やらアドバイスをしてきた時。
  あの時の自分は、昨夜の雪姫との一幕をまくらに知られるのはまずいと──確かに考えていた。

──いくら何でも答えを出すのが遅すぎると言われれば、それは確かにその通りだとは思う。
でも、雪姫の気持ちをちゃんと理解出来るまでにだって、自分の場合は時間がかかってしまったし、
それがわかってからだって、合宿だ、バイトだと忙しくて、ゆっくり考える時間はあまりなかった。
……けれど。
それが1番の理由だと思っていたけれど、それでも。
雪姫への気持ちにいつまでも確信が持てなかった理由は、本当にそれだけだったのだろうか……?

 一度気になり始めたら、連鎖的に思い出されていく事はまだまだあった。

──まくらに雪姫との "事故" の数々を知られて、嫌われたと思った時。
  ……雪姫と一緒にいても、まるで気持ちは上向かなかった。

──まくらに雪姫の事をからかわれたりした時。やたらと居た堪れなかった。
  ……あれは本当に、家族からのそれが恥ずかしかっただけだろうか。

──まくらに好きな男がいたと知った時。
  あの異常なまでに燃え盛った嫉妬の炎は。
  ……本当に、妹分に対するものだけだっただろうか……?

「……もう一度聞くよ? 目覚くんにとってまくらは、本当にただの妹みたいなものだった?」

 硝子が、今度は静かに問いかけてきた。
その顔には、色々な感情が混ざり合っていたけれど、俯いたまま呆けている少年は全く気づく事もなく。

「……まくらは妹みたいなもんだよ。それは変わらない」

 口にした答えは、さっきと変わらなかった。

……けれど。

 すぐに、たった今気づいたばかりの『真実』も付け足した。

「うん、妹みたいなものだったけど。
……でもそっか。
それだけじゃなくて、俺、まくらのコトを女の子としても、ずっと前から好きだったんだな……」

 少年が、ようやく腑に落ちたという顔でそう口にした瞬間。
硝子は唇を噛み締めると、つらそうに俯いて。そして、






























 ドア一枚隔てた廊下には、その『答え』を聞いてしまった雪姫が、呆然と立ち尽くしていた──

─────────────────────────────────

第26話(最終話)『これからの二人は』

 委員会活動が予定より早く終わった雪姫は、軽い足取りで天文部の部室へと向かっていた。
 気詰まりな時間が短く済んだ上に、
今日はもうないと思っていた愛しの少年との時間がとれるというのだから、
未だに恋に舞い上がり続けている少女としては、ご機嫌にならない筈はなくて。

 浮かれた気分のまま部室にたどり着くと、ドアを開く為に手を伸ばして、
その瞬間、ドン、と部屋の中から何かがドアにぶつかってきた事に、ビクリとして手を引っ込めた。
 そして何事かと思う間もなく、硝子の強い声が漏れ聞こえてきて。
何やら自分の事や、告白について怒っている様子だとわかってドキリとした。

──えっ……ど、どうして硝子ちゃんが……?

 自分の告白についてこんなに声を荒げているのか。それに、まくらの名前も出ていたような。
 突然の事で、硝子の言葉の全てを飲み込めてはいなかったけれど、
自分と計佑の関係についての話というのなら、気にならない筈がなかった。

 そしてその中でも、硝子の最後の言葉、
『一ヶ月過ぎても答えが出せないのは本当に鈍いせいなのか』
これはしっかりと聞き取れた部分だったし、──あまりにも、気になりすぎる内容だった。

 不作法な事は重々承知で、ついつい息を潜めてドアに耳を近づけた。
やがて、硝子が今度は落ち着いた声で計佑に尋ねて。その内容にまたドキリとした。