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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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まだ動悸が完全には落ち着いていなかったし、

──なんかもう続きを聞ける雰囲気じゃなくなったな……委員長や茂武市がいるトコで出来る話じゃないし。
電話やメールじゃなく、詳しい話を聞きたかったんだけど……

聞きそびれた手がかりのことで、気分が落ち込みかけてもいたからだ。
「キミも来る?」
「俺は……え!?」
反射的に返事をしかけたが、雪姫から言われた内容を理解して驚いた。
「私の実家……遠いから、泊まりになると思うけど……」
なんで自分まで? と一瞬疑問に思う。
茂武市や硝子と話してる姿は見られたから、
二人のついでに誘った……ということなのかもしれないけれど。
それでも、計佑としては、やはりちょっと唐突に思えてしまう。

──でも……白井先輩の実家って。 写真を見たアルバムがあるっていう……じゃあこれはお邪魔したほうがいいかもしれない。

「はい、一緒にお願いします」──そう言おうとしたが、次の雪姫の言葉のほうが少し早かった。

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何か計佑が言いかけていたようだったが、
少年から視線を逸らしつつ話しかけていた雪姫は、気付かず続けた。
「皆が一緒だったら……しない……よね?」
「えっ?」
「……Hなコト」
そこで計佑に目線を合わせたが、
少年は心外な事を言われたとでも言いたげな顔をして、こちらを見つめてきていた。

──やっぱり、そういうつもりでやってるワケじゃないんだよね……

複雑な気持ちで、雪姫はその顔を見つめ返した。
どうにも彼と会うと、何かしら危ないコトになる機会が多くて、
ワザとではないと分かっているつもりでも、流石に気になってくる。
とは言っても、『そんなつもりは一切ない』みたいな顔をされると、
それはそれでなんだか面白くない気もする自分は──本当に、どうしてしまったんだろう。

ついさっき迫られた? 時には、少しの恐怖と、高揚する気持ち。
カリナに遮られた時には、ちょっとした安堵と、残念な気持ち。
なんだかぐるぐるするけれど──一つだけはっきりしているのは、もっと彼に近づきたいという気持ち。

──ちゃんと話したのは、3日前からなのに。
泊まりで誘うとか、確かにちょっといきなりかもしれないけど……

それでも、カリナが計佑の友人たちを一緒に──と持ちかけてきた時に、
『彼らを口実に誘える』と思ってしまったのだ。
それだったら……そこまで不自然な事ではないはずだ。

──ううん。不自然でもいいよ……だって私は。
もっと彼のことを知りたい。いっしょに過ごしてみたい。
もうそんな欲求に、抗えないんだもの──


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<6話のあとがき>

計佑と雪姫とのやり取りを、ちょっとだけど増やしてみてます。
計佑の不用意な「冗談かと〜」を追加することで、雪姫の怒りをより自然に出来たかなぁ等と思ってたりしてます。

あと、「悪いコには教えませんっ」のところ。
雪姫の小悪魔ぶりを盛れたので、その点は満足してます。
思いつけたら、これからも雪姫の小悪魔モードは追加していきたいです。

計佑が、雪姫との最初の出会いを完全に忘れていたワケじゃない……ってのも一応改変しておきました。
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第7話『雪姫の実家へ。相変わらず小悪魔な先輩』

07話

「計佑がっ、こんなに早く約束叶えてくれるなんて思わなかったよ!!」
夏休みに入って数日。
計佑はまくらを連れて駅へと向かっていた。
終業式の日に話が決まった、白井先輩の実家に行くためだ。
「いいかまくら。特に電車の中では大人しくしとけよ?」
「わかってるってばー!!」
ふわふわと飛び跳ねながら答えるまくらにまた不安が湧いてくる。
遊びに連れていく約束はしたが、友人たちも一緒になんて考えてはいなかった。
赤の他人になら、多少ヘンな事を見られても逃げてしまえばそれで済む。
しかし茂武市や硝子に『モノを触れる』霊まくらの不思議現象を見られたら──逃げてごまかせるものではない。

──とはいってもこんな状態のコイツを、何日もほっとくなんて訳にはいかないもんな……

予定では、二泊はする事になっている。
そんなに長い間、寂しがりのまくらを一人きりには出来なかった。

「……お前の事を調べにいくのが一番の目的なんだぞ? あんまりハシャギすぎんじゃねーぞ」
もう一度念を押すが、まくらは「はいはーい」と軽い返事を返してくるだけだ。
ため息でもつきたくなってきたが、一方でほっとしているのも確かだった。

──なんだかんだで凹んでたもんな、まくら。コイツがこんなにゴキゲンなのは霊になってからは初めてだし。
白井先輩にはホント感謝しないとな……

……後ですぐにまくらが落ち込むなんて事は、この時の計佑には思いもよらない事だった。

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待ち合わせ場所にはもう全員がそろっていた。
そこで皆と顔を合わせた計佑とまくらは、しばらく呆然としてしまった。
……二人共に、同じ人物のことを見つめて。
ただし、計佑とまくらではその理由は全く違うものだったけれど。
その相手、雪姫が皆に指示を出している──
「みんな! 切符もった? 忘れ物ない?
他の人の迷惑になるから、無闇に奇声を発したりしちゃ駄目よ? カリナ」
「アタシかーい」
──途中からは、カリナ限定の指示になっていたけれど。
ぼーっと雪姫に見とれていた計佑に、雪姫が歩み寄ってきた。
「……楽しみにしてたよ。迷子になっちゃダメだよ?」
「……あ。はい……」
なんだかちょっと近すぎる気がする距離に、顔を赤くしながら頷く計佑だった。

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<B>「わーーーーっ!!」</B>
意外なことに、車内で一番はしゃいでいたのは硝子だった。
うろついたり、写真をとりまくったりしている。
カリナと茂武市はカードゲームに興じていて、雪姫は疲れているのか眠っているようだった。
そんな中、まくらは床に座り込んでいた。
計佑の隣は空いていて、そこなら雪姫の真正面にもなるのだが……
「……なんかお前さ、急に機嫌悪くなってねぇか?」
「……別に」
計佑が差し出したスナック菓子に直接かぶりつくまくら。

──こいつ白井先輩に憧れてたよな……? せっかくその先輩がいるってのに一体どうした……?

てっきりきゃいきゃい喜ぶだろうと思っていたのに。
驚かせてやろうと思って、白井先輩の話などは隠していたのだけれど。
まくらの頭に手をおいて、わしゃわしゃとかき混ぜてやっても無反応。
いつものまくらなら、これをやるとギャーギャーと喚き出すのが常なのだが、
さっきまでご機嫌だったまくらの急変に、どうしたものかと悩んでいると、
「目覚くーん、この風景まくらにも写メしてあげようよー」
「え……あー、うん頼むよー」

──まあそんな必要はないんだけど……まくらも直接見れるんで。