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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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──最近は、もうずっと振り回されっぱなしだったもんね……
  このチャンスに、しっかりとお返しさせてもらうんだからねっ?

 久々に味わえる加虐の楽しさに、雪姫は頬を緩ませているのだった。

─────────────────────────────────

「ねえ、計佑くん。昨日は随分と熱い告白してくれたけれど、あれって本気だったのかな?」
「え゛!!??」

 予想していて然るべき質問だったのに、あれからずっと落ち込む事しかしていなかった計佑は
完全に意表をつかれてしまった。

「んん……? その『え』はどういう意味かな……? まさか酔ったせいでのウソだったりするのかな……?」
「えっ、いやそんな!! まさか、ウソなんかじゃないですっ、ていうか本音すぎるというかっ……!」

 雪姫の声は、怒っているというよりはどこか楽しげで。
答えがわかっていての、あえての質問という感じだったのだけれど、
余裕のない少年はそんな事にも気付かないで、慌ててそんな答えを返してから、

──って、何馬鹿正直に答えてんだよオレ〜〜〜!!

 その恥ずかしさに顔が熱くなった。
──結婚を求めて、指輪を送ると宣言して、
その理由は他の男が寄ってくるのが許せないからだと独占欲丸出しで。
雪姫のいない人生など耐えられないと、縋るような事まで口にして。
 酒のせいで抑制が全く働かなかった本音は、素面の時にほじくり返されるのは余りにも恥ずかしすぎた。
だというのに、

「……ふ〜〜〜ん……
私のこと、10年以上一緒でずっと好きだったまくらちゃんより好きなんだ?
あ、それにずっとずっと傍にいて欲しいんだっけ?
そしてまさかの、高1のクセにプロポーズしちゃうくらい?」
「……っっっ……!!」

 改めて、わざとらしく確認してくる雪姫。
 もう恥ずかし過ぎて死にそうな気分になってきて、目も開けていられなくなった。
恥ずかしいことに涙まで滲んでくる。

 なのに雪姫の追求はとどまる事を知らなくて、

「ねえ、訊いてるんだよ計佑くん? ちゃんと答えてくれないかなぁ?」
「……っ……は、はぃぃ……そうです、先輩のコトが大好きですぅ……」

 消え入るような声でどうにか答えてみせたら、
「……くぅう〜〜〜……!!!」
という何かを堪えるような声が後ろからして、
顔を挟んできたままの両手も震えていたのだけれど。

 もう恥ずかしさに身を焦がす事で一杯一杯の少年は、
そんなわかりやすいサインの意味にも気付かず、目をキツく閉じたまま、ただただ震え続けていた。

─────────────────────────────────

──……くぅうう〜〜〜……!!! い、言ってもらえた……!!
  今度こそ、お酒の勢いなんかじゃなくて、ちゃんとだよねっ……!!!

 雪姫は歓喜のあまり思考の一部が口をついてしまった事にも気付かず、
甘美な悦びに浸りきって、一時の間身体を震わせていた。
 やがて身体の震えは治まってきて、最後までむにゅむにゅと擦り合わされていた唇も落ち着くと、
1つ大きな溜息をついて、漸く気をとり直して。
未だにプルプルと震え続けている少年を見下ろす。
計佑の顔を両手で挟んだままだったから、少年がどれほど顔を熱くしているかは、まさに手に取るようにわかった。

──ふふふ……どーお計佑くん?
  こういうコト、改めて確認されたりするのがどれくらい恥ずかしいか、よーくわかったでしょお?

 そう、雪姫が計佑の言動をわざとらしく振り返ってみせたりしたのは、
ただ嗜虐的な楽しみの為だけではなくて、今までの報復も兼ねての事で。
 島で夜を過ごしたあの時や、合宿の夜の事やの、あの火が出るような恥ずかしい思いを、
この機会にしっかり計佑にも味わわせてやろうと思ったからだった。

──でもね、計佑くん……まだまだ、終わりじゃないんだからね……?

 そしてまだもう1つ、復讐しなければいけない事が残っていた。それは──

「ねえ計佑くん。その好きって、『人として好感が持てる』とか『一時の気の迷い』とかそういう事だったりしない?」
「……ええっ!?」

 島で少年からぶつけられた答えをそのままお返しして、

「ああそれとも、まくらちゃんは引っ越しちゃったし、
近くにいる『手頃な相手』に乗り換えようかなぁとかそんな感じだったりとか?」
「……なぁ……っ!?」

 公園で聞かされた考えを、アレンジしてぶつけてみせて。
少年が愕然とした様子で硬直する姿を、ニマニマとして見下ろし続けていると、
やがて硬直が解けてきた少年は、またプルプルと震え始めた。
 けれどその震えはさっきまでとは違い、屈辱に耐えているせいだろう事は、容易に察する事が出来た。

──ふふふっ、今なら自分がどれだけ失礼なコト言ってたか、よーくわかるでしょお……!

 今自分がぶつけた言葉は、かつて計佑自身が口にしてみせた言葉だ。
自業自得なこの状況で、雪姫に対しては逆切れなんて出来ない性分の少年としては、
ただもう耐える事しか出来なくなっているのだろう。

 そうしてしばらくの間、久々のSの楽しみを漫喫していたのだけれど。
十分に満足がいったところで、今度は申し訳ない気持ちが沸き上がってきた。

──ちょっと調子に乗りすぎちゃったかな……こういうコト言われるつらさ、私はよく分かってたハズなのに……

 された事をそのままお返してしてあげる──そんなつもりだったのだけれど、
天然でしかなかった少年に対して、イヤミたらしかった自分はやりすぎだったたかもしれない。
随分待たされたという利子にしたって、流石に高利だったかも──そんな気もしてきた。
 けれど──

「……ごめんね、計佑くん。ちょっと意地悪すぎたね……でもね、私、今すごく嬉しいんだよ?」

 そう、今計佑が怒ってくれているだろう事が、とても嬉しかった。だって──

「──だって、計佑くんがあの時の私と同じようなコト、今思ってくれているって事は。
 ……もう計佑くんの気持ちは、私と同じなんだっていう、何よりの証拠なんだもの……」
「……あ……」

 手から少しだけ力を抜いて計佑の顔を撫で始めると、少年の身体から震えが消えていくのが見て取れた。

 雪姫からは加虐心が消えて、計佑からは緊張がとれて。そうして、お互いにいくらか落ちつけたところで、

「……ねえ計佑くん。昨日わたしに申し込んでくれたコト、もう一度言ってくれないかな……?」
「……え……」
「あっ、結婚とか婚約とかのコトじゃないからねっ? そんなんじゃなくて、もっと普通の……ね?
酔った勢いなんかじゃなくて、いつもの計佑くんから、もう一度ちゃんと言って欲しいの……」
「……っ……」

 少しだけ甘えた声で頼んでみせると、少年はまた緊張し始めて。
また顔も熱くなり始めてきたのが、指先からも伝わってきた。
 それでも無言のまま計佑の頬を撫で続けて、その瞬間をじっと待つ。

 やがて、ようやく──

「……っせ、先輩のコトが、女の子としてっ……すっ好きなので、お、俺と付き合ってください……っ」

 つかえながらも、ついに計佑が告白をしてきてくれた。