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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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勿論火が出るような思いをしたが、もしあれがもう一人の少年だったりしたら──
そう思うと今度は血の気の引く思いだった。
(茂武市には申し訳ないけれど──それが正直な気持ちだった)
本当に毎度毎度とは思うが、それでも計佑がワザとやってる訳ではないのはわかっている。
となると、さっき自分が口にしたように、本当にこれは才能とか奇跡の類じゃないだろうか……?
半ば本気で、そんな事まで考えてしまう。

──運命で結ばれてる、みたいな……?

浮かんだ言葉に、思わず吹き出しそうになってしまったが、どうにか抑えた。
それよりも今、雪姫が気になってるのは少年が自分の身体を見てどう思ったのか……という事だったりした。

──食事前だから、お腹が出てたりとかはなかったと思うんだけど……

もう恥ずかしさより、そんな事ばかり考えてしまう自分に、

──やっぱり、私はもうこのヒトの事……

雪姫はあらためて、少年への想いを自覚するのだった。

─────────────────────────────────

黙りこんだ雪姫に、計佑は困ってしまっていた。
会話がないのが気まずい……という訳でもないのだが、いつもより更に色っぽく感じる先輩の姿を黙って見ていると、
さっき見てしまった裸のことも思い出されてしまって……

──うおおおおおお!!!!

なんだか体の一部がマズイ変形を起こしそうになって、慌てて一気にラムネを流し込んだ。
──飲み込みきれなかったラムネが、ぶくぶくと口や鼻からこぼれていく。
「わーーっ、ちょっとこぼれてるよ!!」
気付いた雪姫が慌てて詰め寄ってくる。
「こっち向いて! ふかなきゃ」
自分のTシャツをめぐりあげて、それで拭いてくれようとする雪姫。
覗く彼女の下腹部に、計佑はまたまた慌ててしまう。
<i>「だっ大丈夫ですっ!! いいですよ、先輩が汚れちゃいますから」</i>
グズグズと涙目になりながらも、必死に雪姫を押しとどめた。
「……ぷっ」
「へ……?」
雪姫が身体を折って吹き出したので、きょとんとしてしまう。
「ふふふっ……もう。何その顔」
雪姫が、口元を抑えていた手をどけて顔を上げると、
「ほんとにかわいいね……計佑くんは」

──ドクンッ……!!

言葉こそいつものからかいのものだったが、
雪姫の表情は優しい微笑だった。先日、公園で見せてくれた時のような──

──名前……はじめて呼ばれた……

その笑顔に加えて、名前で呼ばれたことも重なって、計佑はまた赤くなってしまう。
雪姫はそんな計佑の変化に気づいたのか、
「……名前で呼ぶとか馴れ馴れしい?」
と上目遣いで尋ねてきて。
「いやっそんなっ!! 嬉しいです!!」
殆ど条件反射で答えてしまったが、
答えた後で、何かえらく恥ずかしいことを言ってしまった事に気づく。

──嬉しいってなんだよっ……なんかそれじゃまるで……!!

まるで何なのか──やっぱりその先は考えたくない少年。
そして思考停止してしまう計佑に、雪姫が改めてTシャツをめくり上げて迫ってくる。
「ほらっちゃんとふかないと」
結局、雪姫のシャツで顔を拭いてもらってしまう。
軽くパニック状態に陥り、もうさっき浮かんだ考えなど吹き飛んでしまっていた。
「わ……わわ!!」
そんな計佑を微笑んで見つめていた雪姫だったが、
拭き終わった後に、その表情をニマっとした笑顔へと変えた。
その見慣れた表情に、動揺していた計佑の意識がギクリと回復する。
「じゃあ……私のことも雪姫って呼んでもらおっかな?」
「いいっ!?」
案の定、ムチャ振りがやってきた。
「ほらっ『雪姫』って呼んでみて?」
「いやそれはっ、流石にちょっと!!」
からかわれてるだけなのはわかっていても、焦るのは止められない。
「じゃーハードル下げてあげるからー。『雪姫先輩』なら平気じゃない?」
ニマニマしたままの雪姫。絶対計佑には無理だとわかってる顔だ。
「ホント勘弁して下さいっ!!」
もうまともに雪姫の顔も見れなくなって、計佑が必死に顔を逸らすと、
「あーもー!! ホントにカワイイぞーこらー♪」
雪姫は計佑の頬をつついてきて。

──なんだよもー、このヒトはっ……!!
すげー美人なのに、言うことやる事はなんかカワイイような……
反則だろそんなのっ……!!

以前は苦手だったはずの雪姫のイタズラを、いつのまにかカワイイ振る舞いだとも感じてしまっている計佑。
なのに鈍すぎる少年は、やっぱりまだ何も自覚できないままだった。

─────────────────────────────────

夕食の後、茂武市とカリナを片付け班として屋敷に残し、
計佑、雪姫、硝子の三人はコンビニへ花火やお菓子を買いに来ていた。
花火は勿論のこと、お菓子にジュースに──ついでとばかりに、雑貨なども買い物カゴに放り込んでいく三人。
そうして物色が済んだところで、雪姫が
「会計は私が済ますからっ。二人とも先に行ってていいよ」
なんだか慌てた様子で計佑や硝子の分のカゴまでレジカウンターに持っていく。
そうは言っても、計佑としても、女子一人にまかせてしまうのは抵抗がある。
硝子と二人でカウンターへ向かうと、雪姫が焦った顔をして計佑を振り返ってきた。
「? どうしました?」
「……何でもない」
そう言って店員のほうに向き直る雪姫にちょっと疑問を感じるが、
食い下がる必要も感じずに黙ってスキャン作業を見つめる。
「……あれ? 子供向けのストラップがなんで?」
ふと目についた、可愛らしいくまちゃんストラップについ疑問が口をつく。
視線は硝子のほうに向きかけたが、
「……私よ……悪い? あつめてるんだもん」
赤い顔をした雪姫が小声で答えてきた。
一瞬意外に思ったけれど、

──いや、そうでもないか……なんか振る舞いとかも子供っぽいとこあるもんな。
やっぱり意外と可愛らしいんだな先輩……

なんとなく微笑ましくなったのだが、それが顔に出てしまったらしい。
「──!? こらっ何っ!! そのニヤニヤした顔はっ!!」
雪姫の手がさっと計佑の顔に伸びかけたが、硝子の方をチラリと見て途中で止まる。
うーっ唸りだしそうな顔でこちらを睨んでくるが、
そんな悔しそうな顔をした雪姫に、怖さよりもむしろ可笑しさを感じてしまった。
「ぷっ」
こらえきれずに吹き出してしまう。
いよいよ雪姫の顔が真っ赤になってしまうが、そんな雪姫もなんだか可愛く見えてしまうのだった。

─────────────────────────────────

──うーっっ……失敗したっっ……!!

隠して買うつもりだったのに、しっかり計佑に見つかってしまった。

──今まで上手くお姉さんぶれてたのにっ……!!

実はすでに『意外と子供っぽいような』と見抜かれつつあった事をつゆ知らぬ雪姫は、地団駄を踏む思いだった。
しかし、雪姫としてはここでこのアイテムを買い逃す訳にもいかなかった。
地元では売り切れてしまっているアイテム、ここで買わなければもう手に入らないかもしれなくて。
それで精算を引き受けたりしてどうにか誤魔化せないかと考えたのだが……