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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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私が嫌がってる──なんて思われて、『何だ、好きだって言ってもその程度の気持ちだったんだ』
──そんな風に、私の気持ちを疑われたりとかそんなこと!?

「違うから!!」

慌てて否定した。

「はい……変なコトになっちゃってすいま──」
「だからそうじゃなくて!!
私は嬉しいから!! ……いや事故なんだけどね!?
でもでも、私にイヤな思いさせたんじゃないか──とか、そんな真逆なコト考えたりしないでね!?」

なんだか支離滅裂な内容になってしまった気もしたが、一杯一杯の今、整理した内容で話す事は出来なかった。

「……はい……? えっと、すいませんよく……」

けれど、やっぱり鈍い少年はわかってくれなくて。

「〜〜〜〜っっ!! だからっ、今のは事故で、それは残念なんだけどっ……
相手が計佑くんだった事には何の不満もないって言ってるの!!」
「え……ええぇ!?」

ようやく理解してくれたのか、また少年の顔に熱が入った。
分かってくれたかとほっとしたところで、はたと気付いた。
自分は舞い上がってばかりいたけれど、計佑のほうの気持ちはどうなのだろう……?
肝心の計佑のほうが、実は嫌な気分になってたり、なんて──

「……あの……計佑くんのほうは……イヤだったりした?」

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「!! そんなまさかっ!!」

計佑は、不安そうな雪姫の問いに慌てて答えた。
嫌な気なんて、する訳がなかった。
あの瞬間、火が点ったように全身が熱くなって、でもどこかふわふわとした心地よさがあって。
──事故だ。事故なのに。先輩には申し訳ないのに──
そう思うけれど、なんだか飛び跳ねたい気分にもなって。正直、喜びばかりが強かった。
雪姫に必死に否定されて、ようやく申し訳ない気持ちが上回ってきたけれど……
さっきの雪姫の言葉で、また全身が熱くなってきたくらいで。

「……その……俺も、全然イヤとかそんなことはないです……はい、全然……」

それでも、初心な少年に言えるのはそれくらいだった。

「……そ、そうなんだ。うん、それなら……いいんだけど……」

けれどそんな言葉でも、今の雪姫をまた真っ赤にするには十分で。
二人して、気まずくも甘い空気を醸し出していたら──

「……で、一体なにがあったの?」

まくらがジト目で尋ねてきた。
ハッとする。完全にまくらの存在を忘れていた。
雪姫が飛び込んできた時、まくらのことは背に回していて。
そして雪姫の勢いに押されて、まくらを壁との間に挟んでしまっていたので、
まくらには、問題の場面を見られてはいないのだった。

──といっても、ここまでの会話で何となく想像はされてしまってそうな気もするけど……

まくらがふわりと宙に浮いて、上から見下ろしてくる。
計佑は、逃げるように向きを変えて。

「何があったのよー……何かあったから事故なんでしょー?」

うねうねと絡み付いてくるまくら。それでも計佑は何も答えなかった。
雪姫を目前にして話す事など出来なかったし、そうでなくても、今あった事など話せる筈もなかった。

まくらすら、まともに見れない状態の計佑。
そのせいで、まくらの表情には気付けなかった。
振る舞いこそいつも通りだけれど、その表情は寂しそうで、不安そうだという事には──


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<12話のあとがき>

8話での、コンビニでスレ違いになってしまった発端の、計佑の吹き出し。
今回また似たようなコトが起きて、でも前より確実に距離が縮まった二人は。
……そんなトコを書いたつもり。
……描きたかったんですけどネ。
うーん。まあまあ書けたんではと、自分では思ってるんですけど……(-_-;)
一応、計佑のここでのセリフは、コンビニの時に言えなかったこと──って考えても、
違和感ないものにはなってるかなー? とは思うんですが。
「子供のおもちゃが好きでもいいじゃないですか、完璧な人よりも──」って感じで。

『テレパシー』は、僕的には最高のシーンの一つなんですけど、
だからこそ、この辺の雪姫の心を妄想するのは大変でした……いや、ここの話では直前の会話とか改変しちゃってるので、
厳密には原作先輩の心を妄想してるのとは違うのかもしれませんm(__)m
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第13話 『島編第2話・すごく敏感な雪姫先輩「こっちをちゃんと見て……」』

13話


計佑たちが探索を始めて数時間。
結局資料が残っていた部屋でもめぼしいものは見当たらず、
今はまくらが見つけた、床にある扉の前に二人と一人はいた。

「なんか収納って感じはないですね……何にせよ、 開けてみましょうか」
「でも錠がしてあるよ……? こんなところの鍵は預かってないし。いくら計佑くんでも、力任せに開けられる……?」

いくらもなにも、往年のシュワルツェネッガーでも金属製の鍵を引きちぎるなんて無理だろうけれど。

「……まあやるだけやってみますよ。か弱い先輩にやらすワケにもいかないですからね」
「でも……ケガだってしてるのに。そんな力んだりとか……」

やはり心配そうに雪姫が見つめてくるが、

「大丈夫ですってば……ふんッ!!!」
<B>バキッ</b>
──引っ張ってみると、あっさり錠が壊れた。

「うおおおお!! ウソぉ!? 」
まさかの結果に、壊した本人も驚いた。

「すごーい! さすが計佑くん!!」

雪姫が満面の笑顔で、計佑へと拍手してくる。

「あー……老朽化してただけですよきっと……」

また変に雪姫の中で過大評価されたようで、くすぐったくなる。
誤魔化すように扉の中を覗いてみた。

「中はハシゴで降りれるみたいですね……結構深そうだな……」

──先輩を連れていくには、ちょっと危ないんじゃないかな……

「先輩はここで待──」

言いかけて、雪姫が一人にされるのを怖がっていた事を思い出した。

「……えっと。まずオレが降りて、明かりおいてきますね。そしたら呼びますから、それから降りてきてもらえますか?」
「う、うん……」

言い直すと、どこか不安そうにしながらも雪姫が頷いてきた。
雪姫の心情からするとすぐにでも降りてきたいのだろうけれど、
安全の為には、やはり自分がまず降りてしまってから彼女を迎えたほうがいい。

「じゃっ、行ってきます」

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「ほんとに深かったな……」

ハシゴを降り切った計佑は、リュックから明かりを取り出した。

「大丈夫ー?」

雪姫が上から声をかけてくる。

「大丈夫でーす。今から明かりを置いてくるので、もうちょっと待ってくださいねー」

部屋をざっと見回す。
中央辺りにちょうどテーブルがあったので、そこに明かりを置き、ハシゴの下に戻る。

「お待たせしましたー、先輩も降りてきてくださーい」
「はーい……」

雪姫もいそいそとハシゴを降り始めた。