白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
『何か上手いこといれられないかなぁ……でも入れるとしたら悶えてるトコとかになるかなぁ……うーんでもなんかこう……』
と悩んだりしましたが、最終的には、何とか自分には納得できる挿入箇所見つけました。
まくらのコトを考える計佑に、不安を抱く雪姫。本能でライバルを嗅ぎ分けてるとか、そんな感じぽい?
でも僕が書きたかったのは、別にまくらの存在に嫉妬してるのではなくて、
単純に自分をちゃんと見てくれないコトを寂しがってるとか、そんなイメージでした。
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第14話 『島編第3話・何もかも告白させられて。「先輩のこと、守ってあげたくなりました」』
14話
──パサ……
何やら布が落ちた音に、計佑が硬直した。
──まさか。自分がいるのに、着替え始めるなんて事、ある筈が……
「そのままそこにいてね……すぐに着替えちゃうから」
…あった。
──いやいやいやっちょっと!? 怖いからっていくらなんでも!?
動悸が一気に激しくなる。
雪姫が怖がりだというのは、十分わかっていたつもりだった。
けれどまさか、男のすぐ傍で服を脱ぎだす程、一人きりを怖がるなんて予想外すぎた。
──そりゃあ振り向いたりなんてしないけどっ!
──信頼してもらえるのは光栄なんですけどっ!!
──いくらなんでも無防備すぎですよっ先輩っ!!!
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雪姫は、じっと計佑の後頭部を見つめながら着替えていた。
もし今振り向かれたりしたら──
そう思いつつも自分は後ろを向かず、体の正面を計佑へと向けたまま。
この少年なら、決して覗き見なんてしない。
そう信じているけど、でもどこか振り向いて欲しいような気持ちもあって。
もし、万に1つの可能性で、
計佑が自分の身体を覗き見ようとするなんて事があるなら、絶対にそれを見逃したくない……
そんな想いのもと、先の言葉とは裏腹にゆっくりと着替えていくのだった。
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「えっち」
──……な!?
「今振り返ったら計佑のコト……一生軽蔑する!!」
金縛りにあっている計佑に、正面に立つまくらからの言葉が叩きつけられた。
「仕方なく着替えてる先輩を覗き見する……そんなえっちマンだって一生呼びつづけてやる!!!」
涙目で叫んでくるまくらに、計佑はショックというより怒りを覚えた。
──ふざけんなっ……!! きっちり我慢してんのに、てめーにぎゃいぎゃい言われる筋合いはねーよ!!
今から宿題を始めようとしたところに、母親から「宿題はやったの!?」と言われたときの様な。
正に逆効果の咎めを受けて、計佑はキレた。
「そーかよ!! だったら堂々と見てやるよ!!」
叫んでしまった。
「なっ!!」「え!!?」
──まくらだけでなく、雪姫からもリアクションの声があった。……当たり前だった。
──ア……ナニヤッテンノオレ……
改めて金縛りにあう。
「そんなコトさせるかっ、このヘンタイめ!!」
まくらはまくらで、今の計佑の言葉を真に受けたのか計佑の頭を両手で挟んで、振り返れないようにしてきていた。
そんな事をされずとも、もう完全に硬直状態なのだけれど。
振り返って否定する──なんて最悪の手段こそとらなかったが、黙りこんでしまうのも十分悪手。
しかしそれがわかっていても、ただ棒立ちを続けてしまう少年だった。
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計佑のいきなりの大声に、雪姫は二重の意味で驚かされた。
突然の大声と、自分の心を見透かしたかのような内容に。動悸が激しくなった。
──本当に……こっちを見るの?
じっ……と計佑の後頭部を見つめる。
少しの動きも見逃すまいと。そして……
──動かない……
叫んでから一転、計佑は全然動かなくなった。声すら発さない。
──あんなコト叫んでおいて……やっぱり実際には何もしないんだ……
安心、悔しさ、切なさ、色んな感情がごちゃ混ぜになった。
「……先輩? まだ着替え終わりませんか?」
あまりに長い時間が過ぎて、ついには計佑から催促された。
雪姫の口からため息がもれる。
「……もう振り向いてもいいよ……」
──……計佑くんのバカ。
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雪姫からお許しが出て。
念のためまくらに目配せすると、まくらは計佑の後ろを見た後『あれ?』という顔をした。
「……大丈夫」
けどそれでも保証してきたので、ついに計佑も振り返る。
──雪姫は、パジャマ姿だった。
──え? なんで?
多分唖然とした顔をしていたのだろう、雪姫が慌てた様子で弁解してくる。
「なっなによっ、服の入れ間違いくらいあるでしょっ!?
服詰める時にたまたま他のコト考えてたんだもん……計佑くんだって妹さんの水着もってきたりしたクセにっ!!」
「すっすいません!!」
雪姫の弁解は、最後には口撃になっていた。
別にあれは計佑が持ってきた訳ではないのだけれど、
そんな言い訳をするわけにもいかず、計佑はペコペコと頭をさげてしまう。
──それにしても……このパジャマの柄って……
なんとも可愛らしい、クマさんプリントだった。
──ケータイストラップといい、そんなにクマ好きなのか先輩……
コンビニでの買い物の事も思い出してしまい、つい見入ってしまう。
「……なに? ……また子供っぽいとか笑ったりするの?」
なんだか着替え終わった後あたりから雪姫の機嫌が悪い。
確かに変な顔をされたり、じろじろ見られたりしたらいい気はしないかもしれないけれど、
思い返してみると『振り向いていい』の声からして不機嫌さを感じたような……
──あ!? もしかして、叫んだ通りオレが覗いたとでも思ってる!?
着替えている間も雪姫はずっと自分を見つめていた──そんなことを知る筈もない計佑は、そんな答えにたどり着いて、
「いやあのっ先輩っ!! さっきは変なコト叫んですいません!! でもオレ、ホントに覗いたりはしてませんから!!」
「……そんなの知ってるし」
ボソリと呟かれたが、何とか計佑にも聞き取ることが出来た。
「え……? じゃああの、何を怒って……」
「えっ!? そっその、それはっ……」
聞き取られるとは思ってなかったのか、今度は雪姫が慌てだした。
「……そう! 計佑くんのその目付きよっ!!
『またそんな子供っぽい……』とか思ってそうなその顔に怒ってるだけっ!!」
「えっ? いやそんなつもりは……普通にカワイイと思いますけど」
「えっ!?」「な!!」
雪姫とまくらの驚いた声が重なった。
──えっ!? なに何!? なんか変なコト言ったオレ!?
そりゃあ確かに子供向けだろうけど、普通に可愛らしいデザインのクマだと思うんだけど……?
……少年は、パジャマに関しての感想を言っただけのつもりだった。
作品名:白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル 作家名:GOHON