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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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「……まさか……冗談だとでも思ってたの……?」

 そんな。信じられない。
初心な少年なのはわかっていたつもりだけど、まさか告白を冗談扱いなんてそんなこと──

「いやっ……冗談とまではいわないですけどっ……
『人として好感が持てる』とか『一時の気の迷い』とかそんな感じかとは……」

──なっ……なにそれっ……!!!

 冗談扱いでこそなかったが、本気にしていない事に変わりはなかった。

「うっ……ウソでしょっ!? なん……なんでそんなコトになっちゃうの!!?」

 決死の想いの告白をないがしろにされて、当然ながら乙女が猛る。
ぐわっと少年の肩につかみかかった。

「いやっ……だってっ……」

 雪姫の剣幕にしどろもどろになりながらも、どうにか言い訳を試みてくる計佑。

「昨夜の先輩……なんか随分オレのこと過大評価してたみたいだし……てっきり。
……だってっ、やたらと『優しい』だの『強い』だの、『予知能力者みたい』
なんてことまで……最後には『俺みたいになれたら』とかまで言ってましたよね!?」

──た……たしかに言ったけどっ!!

 自分が計佑をどれだけ好きなのかを、よりにもよって計佑自身の口から指摘されたようで気恥ずかしくなる。
けれど、今はそれに照れていていい状況ではなかった。
 気を引き締め直して、改めて質問を投げかける。

「だっ、だけど!! あ……あんな風に『好き』だって言うのは普通に考えたら……わかるよね!?
本当に、『人として』だけだって考えてたワケじゃないよね?
……そうだよ、昨夜の計佑くんだって、顔真っ赤にしてあうあうしてたじゃない!!」

 そうだ。気持ちを告げた直後の計佑の様子からすれば、ちゃんと真意が伝わってたのは確かで。
それが何故、いつの間に誤変換されてしまっているのか──

「いやっ……だって。冷静になってから考えてみたら、
先輩みたいなヒトが俺なんかのコトを……好きになるワケ……って思っちゃって……そう思うのは仕方ないじゃないですか」

──全然仕方なくない!! 計佑くんの方こそ、よっぽど私を過大評価してるじゃない……!!

 いや、この少年の場合自己評価が低すぎる事が問題なんだろうか。
謙虚な所も好ましいのだけれど、ここまで度が過ぎるなんて。
 ガクリと肩から力が抜けた。計佑の肩からも手を離す。

「──わかった。百歩譲ってそれはまだいい……
ううん、ホントは全然良くない。けど、とりあえずそれは置いておくとして──」

 感情では全く納得出来ないけれど、理屈としては一応納得したことにする。
けれど、もう1つの理由については。こちらは特に許せない。

「 "一時の気の迷い" って……これは何でそんな風に思っちゃったの?」

 溢れそうなくらいに膨らんでしまった気持ちを、思い切って伝えたのに "気の迷い" 扱いだなんて──
これだけは、どんな理由を聞かされても納得できる気がしなかった。

「それは……その。昨夜の先輩、すごく危ないトコだったでしょう?
そこにタイミングよく駆けつけた俺が殊更よく見えただけなんじゃ、みたいな……
ほら、危機的状況のドキドキを、恋心と勘違い──なんて、よく聞く話じゃないですか?」

 そんなことを、「ね?」みたいな顔で少年がほざいてくるけれど──雪姫からしたら、勘違いも甚だしい話でしかなくて。

「ちがっ……だって私はっ」
 
 口ごもる。けれどそれも一瞬のことだった。
この少年には、一から十まで説明するくらいじゃないと、きっと伝わらないから。

「昨夜のコトはっ、そりゃあトドメにはなったけどっ……
駄目押しになったのは、終わった後の謝罪と笑顔なんだしっ!!
……それに!! そもそも、その前から好きになってたんだから!! そういうのじゃあ、全然ないのっ!!」

 そう、はっきりと伝えると。

「……え……ええっ!?」

 案の定、大袈裟に驚く計佑。

「えっ……だって!?  あの前って……いっつもオレのコトからかってばっかりでしたよね!?」
「っっっ……!!」
 
 ぐっと言葉に詰まった。それを言われると、ちょっと痛いのだけれど──
ここで黙ってしまったら、この少年はまた誤解をしてしまって、それで終わりになってしまいそうだ。

「……あのね、何とも思ってない男の子をからかうためだけに、あんなに近づいたりしないよ?
 ……あとね、好きでもない男の子からの痴漢行為を、いくつも許すと思う?」
 
 噛んで含めるように言って。少年の理解を待つように間をとった。

「……え……あ……じゃあ……」

 じわじわと少年の顔が赤くなっていく。
 それをじっと見つめ続けていると──突然、計佑が何かに気づいたようにビクリとした。

「……えっ!? ちょっと待って下さい?
それじゃあまさか、かなり最初の頃からオレを……ってコトになりませんか!?」
「……〜〜〜っっ!!」

──〜〜〜そんなコト、あらためて確認しないでよぉ!!!!

 何でこんなに逐一説明させられているのか……恥ずかしさで顔から火が出そうだ。
それでも、毒を食らわば皿まで──な心境で、洗いざらいぶちまけていく。

「うぅ……そっそうだよっ!!
裏門の日にはもう──それどころか、もしかしたら入学式の時にでも。
……ちゃんと自覚したのは終業式の頃だったけど……それは仕方ないでしょっ!?
私はこれが初恋だったんだもん!!」

……勢いに任せて、余計な情報まで付け加えてしまった。

──……もう、ここまできたら恥も何もないよ……
   ……ここまで言えば、いくらなんでもちゃんとわかってくれるよね……

 ようやく、恥ずかしい解説も終わりかとほっと一息ついて──少年の赤かった顔色が、冷めてきているのに気付いた。

──えっ……なに……?  どうして……?

 もう何もかも伝えた筈だ。
ついさっきまで、ちゃんとこちらの言いたいことを理解してくれていた筈なのに。
なんでここにきて、そんな風に不審そうな顔つきになっていくのかわからない。
 
 戸惑う雪姫に、おずおずと計佑が口を開いた。

「……入学式の時って……俺がカエルみたいにコケて、ゴミを押し付けちゃった時……ですよね?
その時にでもって……ええぇ……?」
 
 その言葉で、ようやく計佑の心情が理解できた。
確かに客観的にみたら、その時の少年は、間抜けな姿を晒したと思ったら傍迷惑なコトまでやらかしてきた人で。
その2つの行動だけを切り出したら、それは確かに納得できないかもしれない──けれど。

──〜〜〜〜〜〜!!!!

 これ以上、まだ解説しろというのか。
 あの時の自分を取り巻いていた環境、心情、
そういった事を語るのは出来なくもないけど、結局最終的には感覚の問題なのだ。
 これ以上延々と語っても──そう考えて。
 そして、少年の心が遠のいていくのを感じて。
『やっぱりいつものからかいだったんじゃあ』とでも考えだしてそうな顔つきを見て────雪姫はキレた。

「も〜〜〜〜っっ!!!!」

がっ! と計佑の顔を両手で挟む。ぐっと顔を近づけた。