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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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──ガキの頃はよく来てたんだけどなぁ・・・この坂をぬけると、たしかひまわり畑があって・・・

ちょっとだけノスタルジックに浸りながら、林を抜ける。
月光の中、視界には一面のひまわり。
しかし今の計佑の意識にとまるのは──
「いたっ!!」
まくらがいた。こちらに背を向けてベンチに座っていて後頭部しか見えないが、間違いないハズだ。
「まくらー!!」
大声で呼びかける。
その声に反応したのか、まくらの身体がくらっと傾いてベンチの背に完全に隠れてしまい、姿が完全に見えなくなる。
「あのなーっ、いい加減にしろっ!」
安堵と怒りを同時に覚えなから駆け寄る。
ベンチの前に回りこんでみると──スースーと寝息をたてるまくらがそこにいた。
その姿に、安堵の気持ちは怒り一色に塗り替えられていく。
「何のんきに寝てやがるコラーっ」
「ひゃあああっ、なにナニ何なのー!?」
少年の怒声に、まくらが飛び起きた。
「今何時だと思ってんだバカヤローッ!!」
「えっえっ!? えーと・・・何時?」
逆に尋ねてくるまくら。
「二時過ぎだよっ! 夜中のなっ!! ・・・ていうか、もう三時過ぎてるんじゃないか?
たくもー・・・やっぱり心配なんていらなかったんじゃねーかよ・・・」
ぽかんとするまくら。
「・・・なんだそのツラは」
じろりと睨む計佑。
「えっ、なんでもない」
慌てたようにパタパタと手を振るまくら、しかしぱあっと笑うと
「へへ……計佑。探しにきてくれたんだ・・・もう怒ってない?」
その一言で夕方のことを思い出す。
……思い出して、顔をしかめた。
夕方の一件を忘れた訳ではない。
けど、バタバタ走り回ってるウチに、もうどうでもよくなってきたのも確かだ。
「・・・はー。もーいいよ」
しかし、釘はしっかり刺しておく。
「言わなくてもわかってるだろうけど。
オレ本気でキレてたんだかな。もうあんなマネはするんじゃねーぞ」
「うん。絶対にもうしないよ。本当にごめんなさいでした」
深々と頭を下げるまくら。
「あー。んじゃさっさと帰るぞー。みんなすげー心配してんだからよー。……そうだ、まずは連絡を・・・っと」
歩き出しながらケータイを取り出すと、
「・・・ねえ計佑覚えてる?」
「何をだよ・・・ってうぉ!? 電波届いてねーじゃん!」
「子供の頃にさあ、そこの清瀬川に・・・」
後ろをついてくるまくらが話し続ける内容は、計佑が覚えていないものだった。
聴き続けていても思い出せることはなかったし、
正直面白くもなかったのだが、黙って聴き続けててやってはいた。
そこで、懐かしそうに明るく話していたまくらの声のトーンが突然下がった。
「きょっ・・・今日さ・・・」
そこまで言って、まくらの声が止まる。
「・・・なんだよ?」
「やっ・・・だからその・・・今日・・・」
「お前・・・ホントに今日おかしいぞ? マジでどーしたんだよ?」
「・・・それは・・・」
しかし、やはり先をつづけないまくら。計佑は、はぁっと大きくため息をつく。
「とにかく。早く帰るぞ、ホントに。みんな心配してんだから」
ようやく林を抜けたところで、あらためてケータイで連絡をとる。
「あ お袋? まく──」
<b>「計佑っ。あんた今どこにいるのっ」</b>
すごい声でかぶせられ、言葉を続けられなかった。
「とにかくすぐに来なさいっ。第一救急病院よっ!!」
「えっなに、何なんだよ・・・こっちはやっと」
「今連絡があったとこなのよっ。母さんたちもこれから病院に向かうところよっ!! わかったらアンタもすぐに来なさいっ」
由希子がまくし立ててくる。
「何もわかんねーよっ。何で病院なんかに──」
言ってる途中で、ぞわりとした。

──慌てて病院に行かなきゃって・・・そんなの誰かに何かがあったからに決まってる・・・

「誰になにがあったんだよっっ!!」
計佑の声も荒くなった。その声にかえってきた返事は──
「くーちゃんに決まってるでしょっ!!」
プツッ……ツーツーツー……

──・・・は? まくらって・・・え?
狐につままれた気分でまくらを見る。
その時、まくらの身長がいつもより高いことに気づいた。
さっきまで、ひまわりや草木をかき分け前に進むことに注視していて、
まくらの立ち姿を確認したのは今が初めてだった。

──なんで……こいつの目線がオレより上にあるんだ?

見上げてから、足元までを見下ろす。
……そこで、信じられない物を見た。幼馴染の足が地面についてない。

頭が真っ白になった計佑に、まくらの声が届く──
「計佑・・・わたし死んじゃったの・・・かなぁ?」


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<1話の後書き>

これは僕の初めての小説(みたいなもの)ですが、この1話もこのあとがきも実は二度目です。
本当の初めては第2話になります。

とりあえず、「大きな分岐点」として考えているあたりまでは、
基本的に原作に沿っていくつもりなんですけど、
そのまんまやるのもちょっとつまんないので、ちょこちょこ改変は入れていってます。

反省点なんていっくらでもあるんですけど、
初めてのチャレンジでいいものを目指しすぎてたら
いつまでも完成しないと思うので、まあ妥協していきます^^;
(26話書き上げてみてからの追加コメント・今見るとやっぱり色々とアレですね……うん。
語彙なんて増えてる筈もないし、勉強とかも特にしてないのですけど、やっぱりそれなりに量書くとちょっとは
上達するもんなのかなぁ……と感じてしまいます)

以下は、自分で自分の作品の解説を始めてみたいと思います。
まあ僕的には「下手くそなりに、一応色々考えたんですー、勘弁してください」って意味も一応……

まくらによる先輩紹介の中から「物静か」を削ることにしました。
原作中、雪姫先輩に「物静か」なシーンはなかったような気がするんですよね。
カリナといっしょのシーンはともかく、硝子や茂武市がいるシーンでも
普通にふるまってたように思いましたので。

視点としては、計佑と雪姫先輩の二人にしてるつもりです。
原作は計佑とまくらの物語なので、その二人の視点になってましたけど、
でもそういえば、まくら復活後は計佑視点ばかりだったような?
あれは先輩ルートも匂わせるための演出だったのでしょうか……

あと、まくらのタオル姿にときめいたのも、先輩の影響が強い感じにしてみました。

まくらが何故あんな性的いたずらをしかけたのかは、
漫画では一目瞭然ですがこちらではよくわからなくしてあります
(といってもまあ、原作未読でも勘のいい人にはバレバレでしょうね)。
先にも書きましたが、原作知らずにこれを読んでくれている人は普通いないと思うんですが、
ただまあ、もしそんな方がいると仮定してそんな方にコミックを買いたくさせるテクのつもりです(^_^;)
「コミックを買えば、まくら視点が読める!彼女の心情が気になる方は本屋にゴー!」
っていう補完商法な訳ですm(__)m

まあ、本命の理由としては、先輩の比重を増やしていくつもりの話であるこれにおいては、
まくらにあまり感情移入させるような作りにはしたくないというのがあります。