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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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今回、雪姫先輩に、ついに初めての妬心が。
島でも、まくらの存在にチラチラと不安を感じてたりしましたが、
僕の中では、今回のがはっきりとした嫉妬、というイメージだったりします。

この妬心は、最初は一人でに目覚めさせる方向で考えてたけど、硝子絡めた方が面白いかなと、あんな風にしました。
硝子の腹黒エピは、書いてて楽しかったりしたので……
今回は、硝子の勝ちかなぁ……でもその結果、ちょっと暗くなりすぎたかなあとは(汗)

けど、山あり谷ありじゃないとお話盛り上がらないのでm(__)m
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第18話 『雪姫、まくらと初遭遇。「計佑くんは、私のコトなんか好きじゃないからそんな風に言えちゃうんだ……!」』


 <18話>


──キーン……コーン……カーン……コーン……

夏期講習初日の終了チャイムが鳴り、教師が去って。

「……うあーっ!! ひっさしぶりの授業はキツかったよなー、計佑」

 茂武市が伸びをしながら計佑を振り返ってきた。

「たった10日くらいしか空いてないだろ……なっさけないコトいうなよ」

 そう返したが、茂武市はまだ泣き言をいってくる。

「けどよー……"夏休み"っつってるのに学校来なきゃいけないとかよー……詐欺じゃね? 中学まではよかったよなぁチクショー……」
「……まあ……確かにそれはチョット思うけどよ……」

 計佑達一年はまだ二週間もない講習期間だが、二年、三年とその講習日数はだんだん増えていく。
それを思うとちょっと憂鬱な気分になったりもするが、そんな先の事をあまりくよくよ考えたくもない。
 それに自分には、今は楽しみな事があるのだ。勢い良く席を立った。

「じゃーな、茂武市」
「あれ?  今日はまくらちゃん待たねーの?」
「あいつは午後から部活だってよ」
「……じゃーヒマなんだろ? ちょっと付き合ってくれよー、とりあえずメシ食ってからさ〜」
「悪いな、今日はちょっと用があるんだ」

 ヒラヒラと手を振って、グダーっと机に突っ伏している友人に別れを告げて。

「また明日ね、目覚くん」
「うん、須々野さんも」

 先日の旅行で随分親しくなった硝子にも出入口付近で挨拶をして、計佑は足取り軽く目的地へ向かった。

─────────────────────────────────

コンコン──

 目的地……理科準備室へたどり着いた計佑は、ドアをノックした。
──あの時は、ろくに確認もしないで入ったせいで大変な事になってしまったから。
今となっては……まあいい思い出とも言えるけれど、やはり同じミスはやりたくない。

「……どうぞ」

 中から少女の声が聞こえて、計佑は数日ぶりに会えるその人にドキドキしながらドアを開いた。

──あれ……暗……

 中は遮光カーテンが閉まったままで、あの時同様暗かった。
今は自分が開いたドアからの光があるから、まだ困らないけれど。
 計佑が会いに来た人物──雪姫はこちらに背を向けて、窓の傍に立っていた。
計佑がドアを開いた時、雪姫は一瞬だけ振り返ってこちらを確認したけれど、すぐに顔を前に戻していた。

「あの、先輩……?」
「ドア、閉めて……」

 なんだか雪姫の様子がおかしいとは思ったが、言われるままに閉じる。
……もう、お互いの姿はろくに見えなくなった。

「……あの……先輩? こないだちゃんと説明できなかった話、詳しく聞きたいってコトでしたけど……なんでこんな所で?」

 結局、茂武市や硝子にも隠し通した話題だし、
二人だけで話すこと自体には異議はないのだけれど、何故こんな暗室を選んだのかは分からなかった。
 そこで軽い音がして、一筋の光が部屋に差し込んだ。雪姫が、少しだけカーテンを開いたのだった。

「……今日は……あんまり私の顔、計佑くんには見られたくなかったから……」
「え……?」

 その雪姫の声には元気がなくて、その言葉の内容も気にかかった。心配になって近づこうとしたが、

「だめ……そこにいて」

 雪姫が体ごとこちらに振り向いて、制止してきた。

「あの……大丈夫なんですか? 体調悪いとかなら……」

「体調は平気……ちょっと気分が沈んでるだけ。
……こんな時の顔、計佑くんにはあんまり見られたくないだけだから、心配はしないで……」

 確かに一筋の光だけでは、逆光という事もあって雪姫の顔をちゃんと見るのは難しかった。
逆に、雪姫から計佑の顔は見えているのだろうけれど。

──気分が沈んでるって……どうしたのかな先輩……?

 自分のほうは、久々に雪姫に会えると浮かれていたりしたのだけど──
雪姫の方は落ち込んでいたと聞かされて、心配と申し訳無さが計佑の胸中を占めた。

「…………」
「…………」

 沈黙が続いてしまう。
それでも、いつまでもこうしている訳にもいかないと、思い切って口を開く。

「えっとそれでですね、まくらのコトなんですけど……」
「……うん……」
「もうピンピンしてます。ホント、何事もなかったみたいに……結局、あれから先輩のおじいさんには会えなかったけど…… 戻ってきたら、お礼を言ってたって先輩から伝えもらってもいいですか?」
「……うん、わかった……それはまかせておいて」

 やっぱり、雪姫の声に元気がない。
 雪姫には、全て──まくらの霊状態の事までも──話してみようかと考えていたのだが。
信じてもらえないかもしれないけれど、雪姫にだけは話してみたいと思ったのだ。
ただまあ、雪姫の怖がりぶりは相当だし、様子を伺いながらだな、と考えてはいたのだけれど。

──こんな状態の先輩に話して大丈夫かな……

 元気がないところに、こんな場所──殆ど暗室──で話すのはちょっと躊躇われたが、試しとばかりに……

「先輩……突然ですけど、生き霊とかって信じます?」
「い、生き霊っ!?」

 雪姫の声に力が入った。身体がギシリと緊張したらしい動きも伺えた。

「なっ何の話を始めるのっ!?
私はっ、幼なじみさんの話を聞きたくて計佑くんに来てもらったのにっ、なんでそんなイジワル……!!」
「ごっごめんなさいごめんなさい!! なんでも無いんです、ちゃんと話戻しますから!!」

 雪姫の声が、最後にはなんだか泣き出しそうな感じになってきたので、慌てて頭を下げた。
やはり、雪姫には真相を全て話すというのは無理そうだった。

──けど……そうすると、もう話せるコトって特にないんだよな……

 雪姫となら、話してみたい事はいくらでもある。
でも元気がない雪姫に無理はさせられないし、となると本来の目的のまくらの話がもうない今、どうしたものか……

「計佑くん……まくらさんのコトなんだけど……」
「あっはいっ、なんですかっ!?」

 やっと、雪姫の方から話しかけてきてくれた。ホッとして、上ずった声で返事をしてしまう。

「……島で……計佑くんの一番の女のコを何人か聞いたことあったでしょう?」
「……え、ああ……はい、ありましたね。三種類くらいでしたっけ……」

 計佑にとっては特に深い意味を感じなかったので、