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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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 そう泣きつかれたのだった。
 まくらの部活が終わるまでの時間潰しに、夏期課題を図書室でやって
──硝子も図書室で勉強をしていたので、二人で軽く談笑したり──そして今、
無事スパイクを買えたまくらは、店を出た先からもう箱を開いて、中身を確認したりしている。

「お前……随分部活頑張ってるみたいだけど。体調はホントに大丈夫か?」

 結局、一週間くらいは寝たきりだったのだ。
原因は病気ではなく、"呪い" というファンタジーなものだったけれど、
寝たきりだった身体はそれなりに鈍っている筈だ。
いきなりハードな運動には、ちょっと不安があったのだけれど。

「えー? だいじょぶだいじょぶ!! ていうか、前より調子いいくらいなんだよー!!
今、サイコーにソフトが楽しいとこなんだ!!」

 満面の笑みで、力こぶなど見せつけてくる姿に、苦笑がもれる。

「だったらいいんだけどな……けどまあ、オレの方は正直ちょっと腑抜けたトコがあるんだよな。
しばらくお前を起こすコトばっか目標にしてて、それがいきなり消えちゃったもんだからなのか……なんかちょっとなー」

 空笑いまでしてしまう。

「……オレも、なんか部活でもやった方がいいのかなぁ……それともバイトとか……
妹分が頑張ってんのに、兄貴が何もしてないってのもなんか気になってきたな……」
「…………」

 そんな呟きを聞いていたまくらが、急に計佑の腕を引っ張ってきた。

「ねえっ計佑!! ちょっとそこのゲーセン寄ってこ!! 今日はアタシが奢っちゃるから!!」
「はぁ!? ちょっちょっと待てよ、お前スパイク買ったりで金ねーだろーに!?」
「いーからいーから!!」

 結局引っ張られていってしまう計佑。
 まくらに連れ回されるままに、対戦ゲームをやったり、ダンスゲームに興じたり、UFOキャッチャーではしゃいだり……

「あーっ!! プリクラも撮ろーよっ!! 退院記念退院記念!!」
「プップリクラだとぉ!? それはちょっと……!!」

 それでも結局抗いきれない。撮った写真を、まくらが楽しそうにデコり始める。

──あー……この流れは、コイツまたオレに気ィ使ってんだよな…

 さっきグチを零してしまったせいだろう。
妙にハイテンションなのも、きっとそれもあってのことで……

「……あのな、まくら。別にオレそこまで──」
「計佑はさ、何もしてないなんてコトないじゃん」
「え?」
「気分屋で手のかかる妹分の面倒みて。家事も結構やって、勉強もマジメにやって成績優秀──」
「いや、勉強はお前がダメすぎなだけな?」
「…………」

 まくらが膨れてしまった。

「……や、悪い……つい……」

 せっかくフォローしてくれていたのに無粋な茶々を入れてしまった事を詫びると、まくらが空咳をついて。

「……まあともかく。
計佑がなんだかんだで頑張り屋なのは、ずっと一緒にいた私がよくわかってるっつーの!!」

 パァァン!! と計佑の背中を力強く叩いてくる。

「いっっ……!! テメっ、運動部が全力で叩くなよ!?」
「えー!? ちゃんと手加減したっての!!」

 思わず反撃しそうになったゲンコツを躱して、まくらがケラケラと笑う。

「焦んなくたって、すぐにまた目標なんて見つかるよ、計佑なら!!」

 そう言って、ウインクしてくる。

──なんだよ……やっぱそういう意図かよ……

 やはり予想通り、自分に気を使っての言動だったのだろうと確信する。

「生意気だぞコラっ」

 恒例のワシャワシャをかましてやろうと、まくらの頭に手を伸ばしたが、腕をガッシと掴まれてしまう。

「んー? もしかして『凹んでるオレを励ますためにハシャぎやがって……』とか考えた?」
「なんだよ、お互いお見通しってワケか?」

 ニヤリとするまくらに計佑が苦笑すると、

「ぶっぶーハズレー!!
……これは、私が幽霊の間色々お世話になった分のちょっとした恩返しだよ」
「恩って……大袈裟な。結局大したコトできなかったろ」

 しかめっ面をする計佑に、まくらが顔をニコニコとしたものにかえた。

「バカ、頑張ってくれたコトが嬉しいんじゃん。だからまー、遠慮なんていいんだよっ。
本命の恩返しはまだこれからなんだし……白井先輩のコトがね!!」
「ばっ……!? だからそれはいいっていったろーが!!」
「とは言ってもどーしたもんかなぁ……
私は先輩知ってるけど、先輩はまだ私のコト知らないんだもんね……よし計佑っ、とりあえず先輩に私のコト紹介してよ」
「話きけよ!? だから余計なお世話だって言ってんだろ!!」

 計佑が喚いてみせると、まくらがジト目になった。

「……もう私のコトは言い訳に使えないんだよ、計佑? 先輩に答え求められたらどうすんの?」
「……っ……!!」

 ぐっと言葉に詰まる。──まさに昼間、それで弄られたばかりだった。
 黙りこんでしまう計佑に、まくらからのトドメが飛んだ。
 
「基本、頼りになるおにーちゃんなんだけどなぁ……色恋にはどーしよーもないヘタレなのが残念なんだよねぇ」

─────────────────────────────────

 次の日の講習が終わって。
 計佑は茂武市を捕まえて、昨日考えた事を提案してみた。

「なあ茂武市、天文部つくらないか?」
「天文部ゥ!? またいきなりだな……なんで部活つくるなんてコトを?」
「……ん……いやまあ、なんかちょっと始めたくなったんだよ」

 昨日はまくらに諭されてしまったが、やはり妹分に差をつけられっぱなしなのは面白くない。
最近、先輩の事でまくらに弄られてしまう機会が増えている。
ここらで一発、兄としての威厳を取り戻さなければ……
そんな事を考えて、自分の一番の趣味……天体観測を活かせる部活の事を思いついたのだった。
 実は入学時にも、天文部に入ろうと考えた事があった。
ただ、部活案内では天文部の名前はなく、人がいないため休部状態と聞いて諦めていたのだった。

「どうだ茂武市? お前も星好きだろ。一緒にやってみないか」
「いや好きだけどさぁ……部活つくってまで……ってなるとなぁ」

 基本面倒くさがりな茂武市が渋る。
けれど、それは計佑にとっては予想していた通り。
だから、そんな親友を落とすための文句は既に考えてあった。

「……天文部とか出来ると、
『ないんなら仕方ないよね……天文部入りたかったんだけどなぁ』
なんて引っ込み思案の星好き女子が入ってくる可能性が──」
「おいっなにしてんだ計佑!! すぐに職員室行って申請してくっぞ!!」

 ガタンと席を立ち、さっさと教室を出て行こうとする単純な友の姿に思わず吹き出しそうになるが、
もちろん計佑もすぐに後を追うのだった。

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 担任に話を聞くと、部室は部室棟に残っているとの事だった。

「提出が必要な書類は後で届けさせるから、とりあえず掃除でもしておけ」

 との言葉に従い、渡された鍵と掃除道具を持って部室へ向かったのだが……

「あれ、計佑? なにしてんのこんなトコで……」