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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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 まくらと鉢合わせてしまった。

「お、お前こそなんで……ここは文化部の部室棟だろう……?」

 運動部の部室棟はグラウンド脇にある。
校舎内にある、文化部の部室棟にまくらが用がある筈はないのに……

「私はただ、顧問の先生がこっちにいるって聞いて……なに、その焦った顔?」

 まくらが訝しんでくる。まくらには、まだ天文部の事は話していなかった。
いずれバレることなのは分かっているが、流石に昨日の今日で知られるのはちょっと抵抗があった。

「まくらちゃん!! キミも天文部入ってくれないかっ!?」
「ちょっ、バッ!!」

 なのに、計佑の思惑など知らない茂武市がいきなりネタバラシをしてしまった。

「……へー……天文部、ねー……」

 まくらがジトリとした目を向けてきて、気まずさに目を逸らす。
 計佑の思惑などまくらにはバレバレだろうし、
計佑の方でも『私にナイショでそんなコト始めようとしてたんだー……』
というまくらの怒りは、手に取るようにわかった。
 まくらはわずかの間黙考すると、

「……時間がある時だけでいい、掛け持ちオッケーだったら入ってもいーよ」

ニパッと "茂武市だけ" に笑いかけた。

「マジでっ!? ヒャッホー!! いきなり女子部員ゲットだぜー!!」

 茂武市が跳ねながら天文部室へと駆けていく。

「…………」
「…………」

 残された二人に沈黙が降りた。

「あー……別にずっと隠すつも「罰としてハーゲンダッツ5つな」

 最後まで弁解もさせてくれず、まくらがかぶせて言ってきた。

「ちょ!? 罰キツくね!? ちゃんと後で話すつもりだったってば」

 数日黙っておこうとしただけの罰にはキツすぎると、改めて反論したが

「ゴネるんだったら『鼻血失神』の話、マジでおばちゃん行きだけど」
「……喜んで奢らせていただきます……」

 伝家の宝刀を抜かれては、うなだれるしかなかった。

─────────────────────────────────

 掃除道具を置くなり、茂武市は

「会員募集の張り紙は絶対いるよな!!
最低あと二人集めて同好会から部に昇格させなきゃだもんな!! 行ってくるぜ!!」

 そう言い捨てて、さっさと駆け出していった。

「……茂武市くん、掃除がイヤで逃げた?」
「いや、今日の場合ホントに早く新入部員が欲しいだけだと思う」

 とりあえず部復活という形にはなっているが、茂武市の言葉どおり現状は正確には "同好会" 扱い。
正式に部として認められるには、計五人の人間が必要なのだ。

「まあ……あいつの期待通り、確かに女子も来てくれるとありがたいけどな……
でないと茂武市の場合、さっさとやめるとか言い出しかねないからな」
「ふーん……?  茂武市くんだけが望んでるみたいな言い方してるけど、計佑だって女のコ入ったほうが嬉しいんじゃないの?」

 まだ機嫌が今ひとつのまくらに、ジロリと睨まれた。

「バっ……!! オレはそんなんじゃねーよ!! オレは純粋に星を……!!」
「あ〜はいはい、そうでしたねー、『失神鼻血くん』にそんな甲斐性あるワケありませんでした〜」

──またも伝家の宝刀を抜かれてしまった。しかもあだ名にまでされてしまった。

──ぐっ……コイツゥゥゥ!!!!

 これには、とうとう計佑もキレた。
 ウブな少年に、過度の性的からかいは禁物ということが、まくらにはわかっていなかった。

「調子に乗りすぎだコラァァアア!!!!」

 少年が少女に飛びかかる。

「ひぇっ!? ちょちょっ、なにっ計佑……!?」
「うるせぇえええ!! もう許さねェェぇエエ!!」

 計佑がまくらをくすぐり始めた。

「ひゃわ!? やっやめ!! わたっ! 私!! くすぐりだけは……!!」
「よ〜く知ってるよォオ!! だから今やってんだよぉォオォ!!」

 完全にブチ切れてしまった少年は、少女の本気の哀願を切り捨てて、ガシガシとその身体をまさぐる。

「きゃはははは!! ひゃはっ、ひゃめっ、はははははっ、あはっ、はははははっっっ!!!!」

 ついに、立てなくなったまくらが床に倒れこむ。それでも手を緩めない計佑。

「オラオラオラァ!! 兄貴をバカにしすぎるとこうなるんだよォォ!!」

 どころか、少女の腹に馬乗りになる。
──危険な構図になってしまっても、少年は全く気にしなかった……

──そうしてひとしきり、少女の身体を蹂躙して。

「へッ……思い知ったか」
 
 ようやく、計佑が手を止めた。

「……っ……はっ……は……」

 もう声も出せずに、息も絶え絶えのまくらが身体をピクピクと震わせている。
満足して、身体をどかそうと思った瞬間──コンコン、とドアをノックする音がしてドアが開く。

「こんにちはー、天文部員さんに書類、の、お届、け……」
「あっ、先輩!? ……ああ、先輩が書類持ってきてくれたんですね、すいませんわざわざ……」

 突然現れた雪姫に驚いたが、先生が『後で届けさせる』と言っていた件だろう。
立ち上がって、すぐに雪姫の元に向かう。

「……? どうしました、先輩?」

 雪姫が完全に凍りついていた。
その視線は計佑に対してではなく、計佑の後ろに固定されたままだ。

「……?」

 何があるのかと振り返る。
 まくらが、やっと痙攣が止んだのか、ゆっくりと身体を起こしているところだった。

「……なに、してた、の……?」

 雪姫の硬い声が聞こえた。
……ようやく、鈍すぎる少年が理解した。女子に馬乗りになっていたところを見られた、ということを。

──絶対変なゴカイされてるぅぅうう!!??

「ちっ違あ!? 違いますよっ先輩!! 別に変なコトしてたワケじゃなくて!?
ちょっと罰を与えて……いやっ別に変な罰じゃなくて!! ただくすぐってただけでですね……!!」

 慌てて、必死に言葉を吐き出したが、

「…………」

 雪姫は俯いたまま、無言で書類を計佑の手に押し付けてきた。
条件反射で受け取ると、雪姫はすぐに身を翻して立ち去っていく。
慌てて後を追って、

「せっ先輩? ホントに変な誤解しないでくださいね? 確かに傍目には変な風に見えたかもしれないけど──」
「ねえ計佑くん」

 ぴたりと足を止めた雪姫が呼びかけてきた。

「はっはいっ何ですか!?」

 口を開いてくれた雪姫に、ちょっとホッとする。

「あのヒトが……例の幼なじみさん?」
「あっはい、そうです!!」
「妹さんに……いつも馬乗りになったりしてるの?」
「ちがっ……だから違いますよ!? 今日はたまたま……あいつがあんまりオレの事をバカにするもんだから、
ちょっとカッとなって……普段はあそこまでは──」
「 "あそこまでは" ってコトは……その手前くらいのコトはいつもやってるんだ?」
「そ、それは……」

 向こうを向いたままの雪姫の声が冷たい。──冷たく聞こえる。
けれど、雪姫にウソはつきたくない……そんな想いで、正直に答える。

「……まあ、その。アイツとのじゃれ合いはいつものコトではあります……」
「……そう、なんだ……」

「…………」
「…………」