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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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「おい、なにしてんだよけーすけ。一緒に見るんだろ? オマエも早く座れよ」
「え……っと」

 アリスは無邪気に誘ってくれたが、肝心の雪姫からの許可が出ていない。
雪姫に視線を戻すと、目が合った。雪姫が慌てて目をそらす。

「……うっ、うん……そうだね、計佑くんも一緒に見ようよ……」
「あ、いいんですか……? ……はい、じゃあ……」

 なんだかさっきから雪姫の様子がちょっとおかしいと感じたが、言われた通り、素直に雪姫の向かいに正座で座った。

「こらけーすけ。正座なんかやめろ。あぐらにしろよ」

 すると、まだ立ったままのありすがそんなことを言ってくる。

「なんだ? なんでそんなコト命令されなきゃいけないんだよ」
「ふん、おねえちゃんの前だからっていいカッコすんなよ。
後で足がしびれた〜とか言って、かえってみっともないコトになるんだから、最初から崩しとけよ」

──ぐっ、アリスのやつ……!!

 見ぬかれてしまった悔しさと恥ずかしさで顔に血が上りかけたが、
もうバレバレになってしまったまくらにはともかく、アリスにまでからかわれるザマにはなりたくなかった。
平静を装って、

「……先輩、じゃあすみませんけど失礼して……」

 一言詫びを入れてから、足を崩した。

「全く、最初からそうしてればいいんだ」

 言いながらアリスが、計佑が開いた足の間に腰を下ろした。

「「「……え?」」」

 アリス以外の3人の声がシンクロした。

「ア、アリスちゃん……?  何してるの?」
「んー? けーすけを椅子代わりにしてやるんだ。生意気なけーすけに対する罰だなっ」

 まくらの疑問に、無邪気に答えるアリス。次は、雪姫からの疑問が飛んだ。

「ア、アリス……?  いつもなら私にくっついてくるトコロじゃない……? なんで計佑くんの方に……?」
「んー?  だってお姉ちゃん、アルバムめくるんでしょう?
見られたくないのもあるだろうし、今日はこっちのがいいかなーって」

 ポンポンと身体を跳ねさせながらアリスが答えた。そして最後の一人は──

「……ま、いっか。さっきも似たような格好で過ごしたもんな」

 そう呟いて、あっさり納得した。

「さ、さっきも……?」

 その計佑の呟きに、雪姫が頬をヒクつかせた。

「ゆっ雪姫先輩!! 夕方、ちょっとアリスちゃんが泣いちゃって。それで計佑が慰めてたんですよ!!」
「なっ何言ってんだ!? アタシは泣いてなんかいなかったぞっ」

 まくらが何やら焦って弁解して、アリスはそのまくらの言葉に噛み付いて。
そして計佑は、雪姫に対して頭を下げた。

「すいません、先輩。オレがちょっとカッとなってアリスを叩いちゃったんです」
「なっなに言ってんだよ!! あんなのタダのデコピンだったじゃないかっ。
……それにあれはアタシが悪かったんだ。けーすけが謝ったりしないでくれよ……」

 そんなアリスたちに、雪姫はおおよその事情を理解したようだった。

「……うん、なんとなく事情はわかったよ。
三人がちゃんと納得出来てるのなら、私から言うことは特にないんだけど……」

『ないんだけど』と言いつつも、計佑とアリスの顔を何度も見比べる雪姫。
けれど、やがて諦めたようにため息をついた。

「……まあいっか……じゃあこれは私のタイミングで開けます!! めくるのも私です!! いいですねっ?」
「「はーい!!」」

 まくらとアリスが元気よく返事をして、それに対して、早くも計佑は少女たちのテンションに引き始めていた。

──や、やっぱオレ、場違いじゃねーかなぁ……?

 雪姫の写真には大いに関心はあるけれど、このシチュエーションはやはり落ち着かない。
といっても、アリスにのしかかれてしまっていては場所を移る訳にもいかない。
まあ移動できるとしても、一人でどこに行くのかという話ではあるのだが……

「キャーッ!! カワイ〜〜!!!!」
「待ってまって待って!! そっから先はダメーっ!!!!」

 雪姫の注意などキレイに忘れ去ったらしいまくらがページをめくろうとして、雪姫が慌ててそれを阻止して。
そのきゃいきゃとした空気にはやはり居心地が悪かったけれど、計佑も雪姫の写真には見入っていた。

「おい、けーすけ。私ってイトコの中じゃ一番お姉ちゃんに顔が似てるって言われるんだ。
いつか私もお姉ちゃんみたいに美人になるんだぞ?」

 アリスが頭を後ろに倒して、計佑を見上げてきた。

「……んー?  お前が先輩みたいに……?」

 確かに昔の雪姫と、アリスの顔は良く似ていた。
けれど中2になっても小さいままのアリスが、雪姫のように成長していく姿は今一つ想像できなかった。
 アリスの前髪をめくりあげて、額をさらけ出してやる。

「いや、お前はこのままでもいいんじゃないか? せっかく今カワイイんだからさ」
「「なっ!!?」」
「え?」

 アリスだけではなく、もう一人からも驚きの声が聞こえて。その相手──雪姫へと目を向けた。
雪姫は、目を真ん丸に見開いて、口をパクパクとさせている。

──あれ、どうしたんだろ先輩……やっぱりさっき倒れそうになってから、様子がおかしいよな……

……ちょっとは進歩した部分もあったが、鈍感さは未だ足踏み状態の少年だった。

─────────────────────────────────

 自分の写真を見て、いつもとなんだか違う今日の計佑だったら何を言ってくれるんだろうか──
そんな淡い期待を抱いて、ついさっきまでふわふわ状態だった雪姫だが、今はもうすっかり冷めてしまっていた。
──そう、嬉し恥ずかしの状態でいられる訳がなかった。この光景を前にしては……

「けーすけっ、お前はやっぱり、たらしだっ!!」
「おーおー、赤い顔して何つっぱってんだ〜? 子供は子供らしく、褒められたら素直に喜んどけよ」

 赤い顔でキャンキャン吠える少女のおでこを、少年が撫でさすっている。
……見た目上は微笑ましい、と言えなくもないけれど、
格好とやっている事はバカップルのそれと大差ないとも言えるものだった。
 雪姫の頬が震える。そんな雪姫に、まくらが慌てて耳打ちしてきた。

「ゆっ雪姫先輩っ。計佑は完全に子供としか思ってないんです!! でなきゃ、計佑にあんなマネは出来ません!!」

──わ、わかってるけどっ……!!

 わかっていても、納得出来ない事もある。
どんなに幼く見えても、アリスは中二。計佑と2つしか違わないのに。

──私と計佑くんとの違いと一緒じゃない……!!

 気づいてしまうと、ますます焦燥が強くなった。
そんな雪姫を尻目に、計佑とアリスのいちゃつきは続く。

「結構強く弾いちゃたもんな……跡残ったりしないよな?」
「するワケないだろっ。アタシの体はそんなにヤワじゃないぞっ!!」
「こんなにちっこくて柔らかい体しといて、強がっても滑稽だぞ?」
「うっうるさーい!! お腹をさわるなっ。そういうお前はっ……あれ? 意外と固い」
「こっこらよせ!! 脇はやめろ……!!」

 ギリギリという音が聞こえてくる。……自分の歯ぎしりの音だった。慌てて止める。