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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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 そんな軽口を叩いてみたが、

「そっ、それは仕方ないでしょっ!?
告白の返事を保留されて、宙ぶらりんで放置されてるんだよっ!?
不安がいつもあるのは当たり前じゃないっ!!
そんな女の子が『キライ』なんて言われて、冷静でいられるワケないよっ!!!」

 しっかり反撃されてしまった。

「すっ、すいません……」

 調子に乗ったことを後悔して項垂れる少年を、雪姫が溜息をついて見下ろした。

「……答えは一応わかってるんだけど、やっぱり聞いちゃうね……まだ、自分の気持ち、はっきりわかんないんだよね?」
「あ、はい……ホントすいません……なんか先輩の気持ちも、昨日やっとわかってきたくらいなもんなので……」
「え……っ!?」

 雪姫の声が上ずった。
どうしたのかと疑問に思い、顔を上げると。雪姫の顔がひきつっていた。

「き、昨日わか……? え、なにそれ……昨日まで、まだ私の気持ち疑ってた……ってコト……?」
「あっいや!? 待ってまってくださいっ、最後まで聞いてっ!!」

 やっと失言に気づいて。
雪姫の形相に、島でのトラウマが蘇った。慌てて言い訳の言葉を足す。

「いやっ、気持ちそのものを疑ってたワケじゃないんですよ!?
ただまあそのっ、オレなんかやっぱり先輩につり合わないじゃないですか?
だからですねっ、どれくらい本気なのかなーっていうか、
先輩も初めての恋だっていうし、最初は手頃な相手でちょっと経験を積もうかなー、
とかなんか、そういう部分もあったりじゃないかなーとか!!」

 物凄く失礼な考えを、言い訳になっていると信じてぶちまけていく、お目出度い少年。
──けれど、当たり前の事だが、雪姫の表情は愕然としたものに変わっていく。

「あ、あっ、ありえない……!! このヒトっ、いったいどこまで……っ!!」

 ブルブルと震える雪姫が肩を怒らせて。大きく息を吸い込んだ。

「やっぱり疑ってたんじゃないのーーーっっ!!!」

─────────────────────────────────

 爆発した雪姫が、ひとしきり計佑に怒鳴りちらして。
 ようやく落ち着いた少女は、ガクリと肩を落して椅子にもたれかかっていた。
──それでも、未だ計佑の手を握ったままだったりする少女なのだけれど。

「……はぁ……まあいいわ、もう許してあげる……
一応昨日には分かってくれてたって言うんなら、今そんなに怒るコトもなかったよね……」
「……あ、ありがとうございます……」

──さんざん怒ってから、そんなコト言われてもなぁ……

 などと内心思っていたりする計佑だったが、勿論そんな事は口に出さず恐縮してみせていた。

「ホントにもう……キミは色んな意味でスゴすぎるよ。
最初は優しい人だと思ったんだけどなぁ……
とんでもない鈍感だし、実はSな人だし。天然えっちで、女ったらしで。
計佑くんと付き合うコトになる人は、きっとす〜〜っごく、大変だろうね……」

 そんなセリフと共にジト目で睨まれたが、

──お、女ったらしだって……!?

 その前の言葉まではともかく、『女ったらし』という言葉だけはカチンときた。

『女子に好かれるようなマネ、一度だってやったことねーよ!!』

──そう自分では信じていて、四人の少女の好意には、まるで気付いていない少年……──
なので、つい言い返してしまう。

「それを言ったら、先輩の相手だって大変だと思いますよ……小学生みたいなコにまで妬いちゃうんですもんね」

 そんな皮肉に、雪姫が「なっ!!」という言葉と共に目を見開いて。声を大きくする。

「だから!! アリスは計佑くんと2つしか違わないでしょっ!?」
「でもっ!! アイツは見た目も精神年齢も完全に子供じゃないですかっ!!」

 計佑も大声で返して、完全に意見が平行線になった。
二人でしばし睨み合って、先に雪姫がプイっと顔を逸らした。

「……ふんっだ。結局、計佑くんにはヤキモチやいちゃう気持ちなんかわかんないんだよね。
誰も好きになったコトないんだもの。
どーせ、私が他の男の子と仲良くしててもぜーんぜん気になんかならないから、そういうコトが言えちゃうんだよ」
「……え……」

 雪姫の言葉に、部活初日に考えていた事を思い出した。
──もし雪姫に、ずっとべったりだった男がいたりしたら……

「いえ、それはオレも面白くないです」

 断言する計佑に、「え」と雪姫が振り向いてきた。
雪姫は本当に驚いた顔をしていたが、
あの時の事を思い出して、どこか遠くを見ていた計佑はその事に気づかず、厳しい顔で言葉を続けた。

「先輩に、オレよりずっと親しい男とかいたら……きっとめちゃくちゃ悔しくて、そいつのコト憎んじゃうと思います、オレ」
「そ……そう……なの……?」
「はい、間違いなく」

 想像だけで、あんなに腹が立ったのだ。
茂武市に、雪姫の微妙な声を聞かれた時にも殺意を覚えた自分だ。きっとそうなる確信が持てた。

──……そっか……こういうコトなのかな……先輩がまくらやアリスのコトにひっかかりを覚えちゃうのは……

 ようやく、雪姫の気持ちが少しわかった気がした。

……その事で思考に耽っていた少年を他所に、雪姫がまた赤い顔で、唇をむにゅむにゅとしていた──

─────────────────────────────────

「……先輩がホントにイヤなら、アリスに構うのはもうやめますよ」
「え……」

 アリスの事は、まくらより生意気に見えるけど実はまくらより素直な妹──みたいに思えてきていたのだけれど。
雪姫の気持ちが少しはわかるようになった今、
先輩を不快にさせてしまうというのなら、付き合い方を考えよう……そう思ったのだった。
 少しうつむいて、そんな事を言い出した計佑に、

「……ううん、いいよ。計佑くんは、計佑くんの思うままにアリスと接してあげて」

 雪姫はそう言ってきた。

「え……いいんですか?」

 軽く驚いて、雪姫の顔に視線を戻したが、雪姫は優しい微笑を浮かべていた。

「うん……優しさは、やっぱり計佑くんの一番の長所だと思うの。
それを私のワガママで削いじゃうのはちょっと違うと思うし。
……アリスだって可哀想だもの、あんなに計佑くんに懐いてるのに」
「……先輩……」

 自分だったら、中二の男が雪姫に纏わりついていたりしたら、許せるかどうか自信はない。

──なのに、そんな風に言える先輩って、なんだかんだ言ってもやっぱり大人で、優しい人だよな……

 そんな感慨に浸って、ぼんやりと雪姫に魅入っていた計佑だったが、雪姫のふわりとした笑みが、突然ニマっとしたものに変わった。
 ギクリとして、陶然とした心地から一気に現実へと引き戻される。そして、お約束の──

「まあ、アリスとイチャイチャしたらその分、私も同じように可愛がるってことで許してあげる♪」

 計佑には不可能クラスのムチャぶりがやってくる。

「なっなっ、なんですかそれっ!? むっ無理!! 絶対ムリですよそんなのっ」

 アリスにしているような気安さで、雪姫にも触れろというのか。──そんなの自分には絶対ムリだ。