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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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「えー、須々野さんという新入部員を得て、この天文部はアリスを除いても五人を越えました。
それで正式に部に昇格出来ないかと思ったんですが、一応2つほど決めなければならないことがあります」

 ひとしきりの雑談を終えて、計佑が今日の活動について切り出した。

「ふーん、どんなこと?  めんどくさい手続きとかなんかいるの?」
「1つは部長を決めること。もう1つは具体的な活動内容についての報告かな。
とりあえずは夏休みの予定についてってことになる」

 まくらの疑問に計佑が答えた。

「部長は計佑、おまえに決まりだよな」
「えっオレか!? なんで決まりなんだよ」

 茂武市がニヤニヤと決めつけてきて、計佑はそれに慌てた。

「だってお前が言い出しっぺだろ? 星に詳しいのもお前なんだし」
「そりゃそうだけどさ……詳しいのはお前も一緒だろうに……」

 困った計佑が、つい雪姫を見つめてしまう。

「……えっ、私は無理だよ? いつも来れる訳じゃないし、
直に引退の三年なんだから、どっちにしろ計佑くん達の中から選んでおかないと」

 雪姫が困ったように笑ってみせて、その正論で、流石に雪姫については諦めるしかなかった。

「そりゃそうですよね……でもオレもガラじゃないと思うんだよな。……茂武市、やっぱお前がやらないか?」

 普段はおちゃらけているが、実は結構しっかりしている友人。
メンドくさがりではあっても、責任感がない訳でもない。
こういう柔軟な人間のほうが、意外と向いているのではと思ったのだが……

「うーん、反対っ!!」
「それだけはないよ、目覚くん」
「ヘンタイメガネが部長なんてダメに決まってるだろっ」
「……やっぱり茂武市くんも言ってた通り、計佑くんがいいんじゃないかな?」

──女子全員から否定されてしまった。

「……どーせオレなんか……」

 茂武市が、ガックリと項垂れた。
茂武市は表面上だと、ただの女好きにしか見えなかったりするので仕方なくもあるのだけど、流石に可哀想になった。

「わっ、わかりました!! オレが部長をやらせてもらいます。それじゃあ次は活動内容について──」

 慌てて話を切り替えようと、計佑は観念して部長を引き受けたのだった。

─────────────────────────────────

「高いたか〜い……流石にホタルよりは重いな、お前。まあアイツは今、6歳くらいだろうから当たり前だけど……」
「こっこら〜っ!! これは子供扱いがすぎるぞっ、けーすけ!!」

──活動内容についての話し合いは、結局保留になっていた。
本来なら、天文に詳しい計佑と茂武市で進めていくべき話だったが、
すっかりふてくされてしまった茂武市は、まともに話し合いに参加してくれず。
 流石に悪いと思ったのか、今はアリス以外の女子3人が茂武市を慰めにかかっていた。
まあ女子3人に囲まれれば、茂武市の事だからすぐに機嫌は治るだろう。

──先輩だけは、別にキツイ事は言わなかったんだから加わる必要ないのに……

 などと微妙に面白くない気分もあったが、
取り残された計佑はアリスといちゃつき?  始めていたのだった。

……ついさっき、硝子に対して『あまり構い過ぎるな』などと口にしておきながら、この体たらく。
雪姫や硝子の怒りも、尤もな少年だった。

─────────────────────────────────

──これで二回目、だね……

 雪姫が心の中でカウントを重ねた。──計佑がアリスといちゃついた、その回数を。
本日の一度目は頭を撫でてあげた事。そして二度目が、今の『たかいたかい』だ。
 計佑とアリスの親しさに関しては、
昨夜の一件のお陰であまり焦燥を感じなくて済むようにはなっていたが、かといって全く気にならない筈もなく。

──昨日の約束通り、ちゃ〜んと後で私も構ってもらうからね、計佑くん……

 計佑はしっかり拒否してみせた
"アリスと同じ分だけ私も愛でなさい" という話だったが、雪姫の中では決定事項なのだった。
──そうして、時々計佑たちを見やる雪姫を、これまた硝子がそっと観察していた……

─────────────────────────────────

──口ではぎゃいぎゃい言うけど、実際には大人しくしてるんだから、ホント可愛いもんだよな……

 アリスを抱え上げながら、そんな事を思う計佑。
 アリスは口では罵ってきながらも、実際には何の抵抗もしない。
顔を真っ赤にして怒鳴りながらも、計佑の為すがまま。
 ホタルが四六時中じゃれついてくる子犬なら、
アリスは威嚇こそしてみせるが、実際はこちらの思うがままに愛でさせてくれる子猫といった感じだろうか。
 そんな比喩を思い浮かべながら、少年はふと気づいた疑問を口にした。

「そういえばお前は、あんまりくすぐったがらないな……先輩は敏感だったのに」

 アリスの脇を抱えてしまう事はこれまでにもあったし、
今だって脇腹を抱えて上げ下げしているのに、まるで苦にしていない少女。
 その様に雪姫との違いが思い当たり、そんな事を口にしてしまったのだった──愚かな事に。

「……ちょっと待って目覚くん。どうして『白井先輩は敏感だった』なんてコトが言えるの?」

 茂武市を慰めていた筈の硝子が、ギラリとこちらを睨みつけてきていた。
──ここでこそ、いつも通りの初心で鈍感なキャラを貫いて、
「いや、たまたま脇腹を掴んじゃったことがあってさ」
とさらりと言えていれば──傷は浅かっただろう。

 しかし、硝子の指摘であの時の出来事──雪姫が、
自分の体の上でのたうって、嬌声を上げた──を詳しく
思い出してしまった少年は、顔を赤くして「あ……う……」と口ごもってしまった。

──そして、そのミスで決定的に空気が変わった。
 硝子が、チラリと雪姫の様子を確認した。雪姫も、耳まで赤くして俯いてしまっている。

「…………」

 無言で、ガタンと硝子が席を立った。

「……この手を離せ」

 さっきまで、大人しく計佑の為すがままになっていた筈のアリスが、
いきなりパンッ!! と計佑の手を払いのけてきた。

「「…………」」

 まくらと、茂武市までが席を立った。

──鈍すぎる少年でも、流石に今の空気の危険さは理解できた。

「ちょっ、ちょちょ!! 違うって!!
別に変な事したとかじゃないよ!?  せっ、先輩からも言ってやってください!!」

 慌てて両手をバタつかせ、雪姫に助けを求めた。
その求めに応じて、俯いたままの雪姫が

「計佑くんは……私が悶えて悲鳴を上げても、離してくれないでもっと私の事を……」
「ちょっとぉぉお!? 先輩ぃぃぃ!?」

──見事に裏切ってくれた。
いや、確かにあの時自分は、身を捩り悲鳴を上げる雪姫に、身体をすぐには離さず力んだりもしてしまいはした。
だから雪姫が言ってる事は必ずしも嘘ではないけれど、
俯いて、恥ずかしそうにしながらのその言い方は絶対……!!

 愕然として見つめる計佑に、雪姫は顔を上げると、チロリと舌を出してみせた。