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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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「……絶対、内緒に出来るか?」
「……うん」

 計佑の確認に、まくらがコクンと頷く。

「……お前のおふくろさんに誓えるか?」
「……っ!! ……うん、わかった。誓って誰にも言わない」

『母親』の事まで重しにしてきた計佑に、まくらも神妙な顔つきになって。

「はぁ〜〜っ……」

 計佑が大きなため息をついた。またまくらから視線を逸らし、ガリガリと頭を掻いてから──







「先輩の事、好きだと思う」







──そう、口にした。

 その瞬間、まくらが小さく息を呑んで、痛みを堪える顔つきになったが、まくらから視線を逸らしていた少年は気づかなかった。
 そして、両肘をテーブルについて、両手で俯いた頭を抱えた少年が、

「好きだと思う。好きだとは思うんだよ……でも……その……うーん……」

……何やらごね始めた。
 その様に、まくらが苦しそうな表情から「……ん……?」と不審げな顔つきになった。

「……なに、その『だとは思う』って……『でも』とか『その』とかも、一体なんなの、それ……?」

 不審そうな顔つきから、もはやはっきりと咎める顔つきに変わったまくらの責めに、「うっ」と呻く少年。
両手からそっと顔を上げて、上目遣いでまくらの顔に視線を戻した。

「……いや、好きだとは思う、としか……言えないんだよな、その……
あんなにドキドキさせられる人はいないし、昨日は嫉妬だってする事も自覚させられた。
……でも、でもだぞ?  あんなにキレイでカワイイ人、他にはいないし、ドキドキするのは当たり前じゃないか?
嫉妬だって、例えばお前に彼氏とか……って考えても、これもやっぱりムカつく気がするし。
──いや、これは兄貴としての感情かもしんないけど……ともかく、そんな風に考えていくと、
この感情って本当に恋愛のそれなのか? っていう疑問が拭いきれなくてだな……」

 上目遣いのまま、言い訳がましく言葉を並べ立てる少年に、まくらが大きなため息をついた。

「……あのねぇ、計佑。難しく考えすぎ。恋愛って、結局理屈じゃなくて感覚とか感情でしょ?
『この人と二人っきりでいたい』とか、
まあ男の子だったらその……『キスしたい』とか『もっと先までいきたい』
とかなんかそんな感じの……って何言わせんのよ!!」
「ええ!? お前が勝手に言い出したことだろ!?」

 顔を赤くしつつのまくらの怒りに、納得がいかない計佑がツッコむ。
──少年の犯罪的な程の鈍さに端を発している話なのだから、まくらの怒りも強ち理不尽ではないのだけれど……

「……まあとにかく。
そういう『感情』があれば、もうそれで『好き』って言ってもいいと思うんだけど。 ……どうなのよ?」

 気を取り直したまくらからのその質問に、

「……うー、んん……?」

 腕組みをして、やっぱり難しい顔をする計佑。

「……いや、やっぱりよくわかんねー……二人きりでいたら嬉しい気持ちはある。
……でも、積極的に二人きりになりたいかっていったら、そこまででもない気がする……
先輩含めてみんなと一緒にいる時でも、十分楽しいと思えるし。
……その、えっと……キス、とか……なことも同じだ。
そういう事、事故とかでもあったりしたけど……『嬉しい』って感情は、それはあったけど、
自分からそういう事がしたいかって言うと、これもなんか違うし……」

 ブツブツとつぶやくような少年の答えに、まくらの首がガクンと倒れた。

「……計佑……あんた、いくらなんでもお子様すぎない……?
16にもなってそれって……本気で計佑の将来が心配になってきたよ……?」

 顔を上げたまくらは、憐れむような顔つきすらしていて。それにムッときた。
……まあ、正直自分でも酷いという自覚はうっすらあるのだけれど、まくらにバカにされるのは何よりも悔しい。
それに色恋に関しての話なら、実はまくらだってそう偉そうなことは言えない筈なのだ。
その事を指摘しようと、

「お──」
「先輩だって、いつまでも待たされ続けたら愛想つかしちゃうよ?」

──したところで、ドスンとやられてしまった。反撃しようとしていた意志も、完全に萎える。

「……それは言うなよ〜……」
 
 言いながら、テーブルにずるずると上半身を侍らせる。

「……わかってはいるんだよ〜……
あんな凄い人がオレの事を好きになってくれただけでも奇跡で、そんな奇跡がいつまでも続くもんなのかってのはさ〜……」

 べちゃりと上半身をテーブルに預けたまま、まくらを見上げて。

「……でも、先輩にはとにかく誠実でいたいんだよ。
自分の中で確信出来ないウチには、中途半端な返事とかしたくないんだよ……」

 訴えるように、そう口にした。見下ろすまくらが、ふぅっと軽くため息をついた。

「そんなに固く考えずに、とりあえず友達から、とかだけでも伝えてみたら?」
「友達なら、もうなってるだろ?」

 何をバカな、という気持ちで答えたのだが、まくらがやっぱり呆れた顔になって。

「それでも、あらためて伝えてもらうだけでも全然違うんだよ。
それに、計佑たちなら、その『とりあえず』からでも、すぐに本物になれると思うんだけど」
「いやっだから……そういうのがイヤなんだって。
『とりあえず付き合う』とか、それこそ先輩に失礼すぎるだろ。
いい加減に応えて、あとで先輩をもっと傷つけるかもなんて可能性は。……絶対にイヤなんだ」

 身体を起こして。この答えに関しては、強く言い切った。

「……そこまで思えるなら、もうそれって好き以外の何物でもないと思うんだけど……」

 まくらがつぶやくが、計佑もやはり折れなかった。

「……もう1つ、ちょっと理由あるんだよ。……自惚れっていうなよ?
……一昨日、昨日でなんかわかってきたんだけど……
その、なんか先輩って……ホントに俺のこと好きみたいなんだよな……」

 ガリガリと頭をかきながら恥ずかしそうに言う計佑に、

「……は……?」

 まくらがポカンとなった。

「え……? なにそれ……今さら何言ってんの……?」

 まくらの、『この生き物、一体何語話してるんだろう……?』みたいな顔つきに、
やっぱり言うんじゃなかった……とも思ったが、ここでやめるのはもっと気まずかった。

「いやだからさ、『なんでオレなんか?』ってのはやっぱりよく分かんないんだけど。
それでもまあ、どうもオレの事をかなり好きでいてくれてるらしい……
ってことが、一昨日昨日でわかってきたって話でさ」

 そう付け足した計佑に、

「いやいやっ、ちょっと!? 一昨日昨日!?
……計佑っ、あんたホントにまともな脳味噌ついてんの!?
雪姫先輩があんたをチョー好きだなんて事、島に行った日に分かりきってた事じゃないのっ!!?」

 まくらが怒鳴りつけてきた。その眼尻は釣り上がっていて、かなり本気でキレかけている姿に、

「……いや、お前までそんな風に言うのは勘弁してくれよ……昨日、その事でさんざん先輩には怒られたんだからさ……」

 そう萎れてみせる計佑だったが、