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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 19

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 これまで読んできた力によると、ジェラルドは暗黒剣、ダークサイドソードを無駄なく使えるように、ピカードは徒手空拳を極め、そしてメアリィは治癒のエナジーを最大限に活用できるように。そして、イワンとジャスミンは、己に宿る最大級のエナジーを自由自在に扱えるように修行すること。そのための修行方法もヒナによって示されている。
 そして今、ガルシアとの戦いが終わり、残るはロビンのみとなっていた。
「ガルシア、あなたのその聖剣、一度ロビンに預けておきなさい」
 ヒナによれば、死神や死人といった、闇の力を使う黒魔術の前に、ガルシアのエクスカリバーは、その力を存分に発揮するのに邪魔をするとの事だった。
 加えて、ロビンが持っていたソルブレードは、センチネルによって奪われ、今ロビンは武器がない状態である。
「分かった。ロビン、受け取れ」
 ガルシアは言われたとおり、エクスカリバーを腰から外し、ロビンに手渡した。
「ありがとう、ガルシア」
 ロビンは礼と共にエクス・カリバーを受け取った。そして、腰に下げる為、調節された鞘の革のベルトを広め、背負えるようにする。
 剣を背負うと、ロビンはそれを抜き放った。
「これは……!?」
 剣を抜き、刀身を眺めていると、ロビンは驚愕した。
 ソルブレード程ではないにしろ、エクスカリバーは光り輝くエネルギーを纏うようになったのだ。
「エクスカリバーが、強く光っている……!?」
 元の持ち主のガルシアも驚いていた。彼が持っていた時も、光る不思議なオーラに包まれていたが、これほどまでの現象は起きたことがない。
 驚くロビン達に反して、ヒナは落ち着いてロビンを観察していた。
「ふうん、随分モテるのね……」
 しばらくの間、ロビンを注意深く覗いた後に、ヒナから出た言葉がこれだった。
「……へ?」
 なんの脈絡もなく、しかもとても思いも寄らない言葉を投げかけられ、ロビンは変な反応をしてしまった。
「あらいけない、さすがに訳が分からないわよね。分かりやすく言ってあげる。ロビン、あなたは、剣に好かれる人なのよ」
 分かりやすく言うといいながら、ヒナの言葉はまだまだ、彼女自身以外には理解できる内容のものではない。
「……剣にモテる。なるほどな……」
 一同の中で、ヒナの意図を理解するものが現れた。
「……姉貴らしい例えだな」
 ヒナと同様に、力通眼が使えるようになったシンが、ロビンの能力を読み、少しあきれた様子を見せる。
 そしてロビンに、ヒナが真に考える事を真面目に、そして詳しく説明し始めた。
「ロビン、お前には、あらゆる剣を使いこなせる、剣聖の素質があるんだ」
「オレが、剣聖……?」
 聖の称号は、あらゆるものに当てられ、その道に熟達した者の事を言う。つまり、ロビンは剣の達人と言ってもおかしくない、ということになる。
 しかし、シンは言葉を付け足した。
「あくまで、お前にあるのは素質であって、実際に達人の域には達しちゃいない。これからどんな鍛錬を積むかによって、お前の剣聖の力は強くもなるし、弱くもなる。これだけは忘れるなよ」
「はい、あたしから付け足し」
 ヒナは軽く手を挙げた。
「大体はシンの言う通りなんだけど、まだ読みが甘いわ。ロビンは剣聖って言葉じゃ、収まりきらないくらいの力があるの」
 ほんの少しではあるが、ロビンの力がシンによって分かりやすくなった所で、ヒナがまたややこしくした。
 しかし、ロビンのその未知の力は紛うこと無き事実であった。それは実際に対峙したヒナが証人となる。
 ヒナはかつて、イズモ村に魔龍の脅威が襲いかかっていた時、秘めたる力を現したロビンと戦った。
 その時戦った時には、ロビンの持つ、とてつもないまでの力の前に、ヒナは大敗を喫した。
 あの時の戦いは、あまりに激しく、ヒナは何とか応戦するのが精一杯であった。その為、ヒナはロビンの力を十分に読むことはできなかった。
 辛うじて読み取れた事と言えば、ロビンに宿る力は彼のものに違いなく、彼自身がその力に適応しきれない為、暴走してしまう、ということである。
「ヒナさんが言ってる事は、本当だぜ……」
 ジェラルドは、まだ少なからず疑念を持つ仲間達に、かつてロビンが全てを死に追いやり、破壊することしか考えない人格を現したことを話した。
 それは数ヶ月前、トレビの町にて開催された、コロッセオの決勝戦にて、リョウカを完膚無きまでに叩きのめし、ジェラルド自身も命を狙われた出来事である。
「そんな事が、本当にあったというのか?」
 ガルシアが言った。
「……だめだ、オレでも読めない。姉貴、別にあんたを疑ってるわけじゃないが、本当にロビンにそんな力があるのか?」
 シンもまだ疑っていた。
 しかし一方で、ロビンが恐ろしい人物となった事を、その現場にいた人々は一切疑っていなかった。
「ガルシア、シン。ヒナさんの言うことは、正しい……」
 ついにロビン本人が、自らの未知の力の存在を肯定した。
 ロビンは何度か、破壊的力の源となりうる、自身に宿る別人格と邂逅している。
 その者が言うには、ロビンが死の淵に立たされた時、彼は現れるということだった。そして彼は、ロビンの体を乗っ取り、自身がロビンそのものとなることを目的としているのだ。
 これまでに二度、ロビンは死の危機に瀕した。リョウカ、ヒナとの戦いの時である。
 ロビンは、二人の圧倒的力の前に、敗れんとしていたが、突然記憶を失い、何とか意識を取り戻すと、二人とも満身創痍で地に伏していた。
「オレにはまるで、もう一人のオレがいるようなんだ。でも、そんなのはいなくて、オレが思う存在は、オレ自身の力らしいんだ……」
 かつてヒナに言われた事である。
 ロビンは何かに取り憑かれているかのような気がしていたのだが、別人格のロビンは、彼が力を使いこなせないために起こる、暴走が原因とのことだった。
「そう、よく覚えていたわね、ロビン。あなたには、剣聖じゃ足りないくらいの大きな力がある、本気の本気、嘘なんかありゃしないわよ」
 ヒナは言うと、構えた。
「それじゃ、始めましょうか。あなたの力、見定めてあげる」
 ふと、ヒナはシンの名を呼んだ。
「あなたも手伝ってくれないかしら? まあ、二人がかりでも、果たして勝負になるか分からないけど」
「何故だ、姉貴一人で十分戦えるだろ?」
「ヒナさんとシンを相手に……!?」
 ロビンも、とても適わない強者二人を相手にしなければならない事に、驚きを見せた。
「あのロビンを見れば、あたし達でも苦しい事が分かるわよ……」
 突如として、ヒナはロビンへと突進し、すれ違いざまに複数回斬撃を与えた。
「……瞬散刃」
 ヒナは納刀した。
「ぐはぁっ……!」
 ロビンは体中から血を噴き出し、そのまま地に倒れ込んだ。
「ロビン!」
 仲間達は何が起こったのか分からないまま、彼自らが作り出した血の海に沈むロビンに、驚愕の叫びを上げた。
「姉貴……! 何てことして……!?」
 シンの叫びは、絶命していくはずのロビンを目にして止まってしまった。ロビンは死することなく、その体を妖しく輝かせたからだ。