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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 19

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 暗い紫の不気味な光の中で、ロビンは、ヒナが与えた致死量の傷を塞いでいく。そして前髪に両目を隠し、立ち上がった。
「なんだ、これは……!?」
 シンは、明らかに異様なロビンの姿よりも、力通眼を通して感じられる力に、驚きを隠せなかった。
 ロビンは紫の光に身を包んだまま、剣を構えることなく、だらりと持っている。一見すると隙だらけのようだが、その実、どこにも隙などない。
「あれは、間違いありません……。コロッセオの時の……!」
 イワンは数ヶ月前の事を回想した。
 赤黒く光る双眸は、見る者全てに恐怖を与える。それは世界を脅かしている悪魔、デュラハンにも劣らぬばかりか、あるいは凌駕している。
 ロビンは、目元を隠す前髪をかき上げ、赤く、不気味に輝く眼を露わにした。
「シン、ぼさっとしてたら殺されるわよ。まだ未熟な眼でも、ロビンの本当の力がどれくらいすごいかわかるでしょ?」
 驚きの感情に支配されるシンとは対称的に、ヒナは落ち着き払って、攻撃態勢になっていた。
「あ、ああ……」
 シンも武器を取り、謎の力を発揮するロビンに対峙した。
「あれが、ロビンなのか……?」
「いつものロビンと全然違う……、すごく怖い……」
 ロビンの変化を初めて見る、ガルシアとジャスミンは、仲間であり、幼なじみである彼に恐怖感を抱いていた。
「……ククク……」
 ロビンはのどの奥から小さな笑い声を上げた。体の傷を塞いだ妖しい紫の光は消え、ヒナに斬られる前の状態に戻っている。
「……久し振りだな……。今度こそ、ぶっ殺す……」
 ロビンは低い声で、構えるヒナをあざ笑った。
「できることなら、もう会いたくなかったけど、あなたの力の本質、どんなものかじっくり見させてもらうわ。今回はあの時と同じだと思わないことね。二対一なら、あなたでも辛いでしょ?」
 ロビンは、今度は高笑いした。
「ハハハハ……! オレに勝てると本気で思っているのか? 滑稽だな!」
 ロビンは一瞬にして間合いを詰め、ヒナに向かって斬りかかった。
 ヒナは、常人ではとても反応できないほどの速さの攻撃を避けた。そして間を空けずに、ロビンへと抜刀する。
 ヒナの刃はロビンに掠りさえもせず、後ろに下がったロビンは、地を蹴って剣を突き出してきた。
 ヒナは避けられず、速い上に重い一撃を受け止める。
「くっ、相変わらず、読む暇をくれないのね……!」
 ギチギチと音を立てながら、ヒナの刃はロビンの力に押されていく。
「やあああ!」
 シンが声を張り上げながら、ロビンの背中へと斬りかかった。
「ふん……!」
 ロビンは一度、ヒナから離れ、背後から来るシンの一撃を横にかわした。
 シンはヒナの手を取り、共にロビンから距離を取った。
「大丈夫か、姉貴!?」
「なんとかね……、あなたにも分かったでしょ? あのロビンの恐ろしさが……」
「ああっ!」
 ロビンはやはり身構えることなく、真っ赤な眼をこちらに向けていた。
「冗談じゃねえぞ。あいつ、本当にロビンなのか……?」
 先ほどまでの、ヒナに斬られる前のロビンとは段違いの強さである。
 付け入る隙はどこにもなく、物凄いまでの殺気を放っている。少しでも目を、いや、気をそらしただけで次の瞬間、体を真っ二つにされそうなほどの殺気を感じた。
「あんなのに、姉貴は一人で戦ってたのか」
「二人がかりでもキツいわね……。シン、今の時点で、何か読めたかしら?」
 シンは首を横に振った。
「オレじゃまだ、奴から生き残ることを考えるのがやっとだ。他人のことなんか、とても……」
「でしょうね……。あたしがロビンの力を読むわ。シン、あなたは余計なことは考えずに、相手をしてちょうだい」
 ロビンはしびれを切らしたように、素早く二人に斬りかかってきた。ヒナとシンは左右に分かれて攻撃をかわす。
『颯の術・改!』
 シンは風のエレメンタルのオーラを体に纏った。
「オレが奴を引き付ける。姉貴は力通に専念しろ!」
 ヒナが頷いたのを確認すると、シンはロビンへと剣を向けた。
「貴様が相手か……? 果たしてオレ相手に、どれくらい持つかな……」
 ロビンは嘲り笑う。
 シンはそのような挑発には乗らない。気を散らせば、即死してもおかしくないほどの、ロビンの強大な力が分かっていたからだ。
「行くぞ!」
 シンは纏ったエナジーと、修行で得た縮地法で、瞬く間に距離を詰めた。
「とりゃっ!」
 間合いを詰めると同時に刃を振るう。しかし、剣は空を斬るだけである。
 背後から殺気を感じ、シンは瞬間的に前へ移動した。
「まさか、この速さも読んでいるというのか……?」
 ロビンは赤黒く光る目を、シンへ向けながら、不気味に笑っている。
 今度はロビンが仕掛けてくる。それは瞬時に相手との距離を詰める移動法。
「これは、縮地法!?」
 一瞬でロビンのせんとする事を読み、シンは空中へ飛び上がった。
 ロビンは一度見ただけで、シンほどの速さはないにしても、十分すぎるほどの縮地法を体得してしまった。
「バカな、少し見ただけで縮地法を覚えるなんて……!」
 ロビンの学習能力はこれだけに止まらなかった。
 縮地法の際に、地を蹴る力を真下に向け、空でも飛べなければ届かない高度に飛び跳ねシンへと迫ってきた。
「ぐ……!」
 シンは空中で後退し、ロビンの一撃をかわした。
 ロビンは落下し、地に足が着くと同時に、連続的に縮地法を使うことで姿を消した。これにより、空中からロビンを狙うことが難しくなってしまった。
「あのロビン、動きにまるで無駄がねえ……」
 ロビンは縮地法を覚えるばかりか、その応用法まで身に付けたのだ。
 やがてロビンは再び跳ね上がり、シンの背後を取った。
「しまっ……!?」
 気付いたときには首を掴まれ、そのまま顔面を潰さんと、シンは地面へと叩きつけられようとしていた。
『爆浸の術!』
 シンはエナジーで地面を爆発させ、その爆風により衝撃を抑えようとした。
 首からロビンの手が外れ、ロビンが退いたところで、シンは爆風に乗り、その身を翻した。
 シンとロビンは着地すると、間合いを取る。どちらも縮地法を使わなければ届かない。
 先に動き出したのはロビンであった。方々に気配を散らし、シンにまるで全方位から攻められるかのような錯覚を与える。
「気の錯乱か……!」
「消えろ……!」
 ものすごい勢いと速さで斬りかかってくるロビンが、シンへ刃が降りかかるか否かの所で姿を消した。
「……甘い!」
 シンは振り向くこともせずに、上空高く宙返りする。ロビンの本体は、シンの背後を取り、攻めたが、力を読むことのできる者には、気の錯乱は無意味であった。
 しかし、ロビンはかわされることを予期していたようだった。
『ガイア!』
 ロビンを中心に、地面から円盤状に大地のエネルギーが噴き上がった。
 エネルギーは地面をえぐり、土塊や石を粉砕しながら、空中のシンも破壊せんと迫る。
「まだだ!」
 シンは空中に一瞬停止すると、すぐさまエナジーを回避するべく、まっすぐに退いた。
『スパイアクレイ!』
 ロビンは、土の槍を小石大に砕き、一瞬にして全てを矢の如く、撃ち出した。
「なっ!?」