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ガガーブその向こう側 後編

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「私も、力を使うのは久しぶりなので、加減ができないかもしれませんが
そこは不問にしていただけると助かります」
「!!」
眼鏡の男はそういうと何やらぼそぼそと唱えだし、
同時に男の身体が光に包まれた。

「見てクリス!!」
「あいつ何をしようっていうのよ!」

「−−−−−−−−」

男の言葉がやむと同時に、彼を包んでいた光が広がり
ラモンにアイメル、その向こうにいたクリスやジュリオを飲み込んだ。


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「起立―、礼」

「っしゃーーーーっ、放課後だーーーーっ」
「全く、そうやって毎日叫んでよく飽きないよね」
ここは、2年生の教室。
一日の授業が終わり、生徒たちは皆足取り軽く教室を出ていく。
この二人はアヴィンとマイル。クラスメイトで親友でもある。
「へ?なんでだよ
授業が終わるっていうんだから毎日だって嬉しいだろう?」
「はあ・・・アヴィンってほんとに・・・」
「あ、そうだ!
今日はトーマスに呼ばれてるんだ、マイルお前も一緒に行こうぜ」
「え?ああ、いつものファミレスね
でも君は今から教室掃除だろ?日直の仕事なんだから」
「あ、うーん掃除かぁ・・・」
「・・・僕にやっといてほしい?」
「マイル!!」
「アイメルの手作りケーキ」
「うっ・・・うううう」
「どうする?」
「はぁ・・・仕方ないな、マイルならいっか」
「あ、そっちなんだ」
「そりゃあ・・・男同士の約束のほうが・・・うーん」
溺愛の妹と尊敬する先輩を天秤にかけ、本気で悩む親友に苦笑して
ただでやってあげる、とマイルが言おうとしたその時、
すごい勢いで下級生が飛び込んできた。
「うわっ」
「なんだなんだ」
扉付近にたむろしていた生徒たちが直撃され、その衝撃に教室中の注目が集まった。
「アヴィンさん!!!!」
「クリス!ジュリオも、どうした?」

教室に突っ込んできたのは、ひとつ下の後輩二人組だった。
春にやった3色対抗体育大会。
チームは違ったが同じ試合で競い合って以来なんだか懐かれているのだが、
そんなことより、アヴィンに飛びついてきた彼らの様子は尋常ではなかった。
断片的な音を発するものの意味のある文節にもならず、
普段からそんなに勘の良い方ではないアヴィンは、途方に暮れて相方に目線で助けを求めた。
「はぁ・・・ふたりとも、ほらここに座って、ちょっと落ち着きなよ」
「あ・・・」
「す、すみません」

だが、マイルの助け船ののちしばらくして、正気を取り戻したクリスが話し始めたのは
およそ信じられない男の話であった。


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「それで、どうして俺が出向かなけりゃいけねえんだ」
ぶすくれているのは、下校途中で学校に連れ戻されたトーマス。
拾った子猫は、余程トーマスが気に入ったのか、肩の上にちょこんと乗って涼し顔である。
ジュリオとクリスの話は、にわかには信じがたかったが、
嘘をつくような人物でもないから、取り敢えず詳しいことを聞きに保健室へ向かうことになった。
大事な妹が巻き込まれていると聞いて、
今にも飛んでいきそうなアヴィンを抑えてマイルがトーマスに連絡し、今に至る。
「そうだぞ、アヴィン!
これで話がでたらめだったりしてみろ、俺様の正義の鉄拳を覚悟するんだな」
「え?なんでローディが俺を殴るんだよ、トーマスならともかく」
「そんなの俺が一の舎弟だからに決まってんだろう!
つーか、おい、いつも言っているがトーマスさんを呼び捨てにするんじゃな・・・うぐっ」
「ねえ、半ズボンのお兄さん
聞き間違いでなければ、今≪でたらめ≫って言いました?」
「う・・・だってよぅ・・・普通信じられないだろ?そんな話」
「えー、なんでだよー、僕たち何度も説明したじゃない、
ラモンがアイメルを攫おうとして、眼鏡のおじさんが出てきて、ピカって光ってそれがぶわって・・・」
「分かった分かった、何度目だよその話」
「だって本当なんだもん、本当に魔法みたいにラモンがふっとんだんだ」
「魔法・・・ねえ」


保健室は鼻をつく消毒液のにおいで満ちていた。
「アイメル!!」
「お兄ちゃん!?」
「無事か?怪我は?どこも痛くないか?」
「大丈夫よ、心配性なんだから
あ、マイルさん、皆さんも来てくれたんですか?」
「うん、この子たちに経緯を聞いてね」
「ねえ!あの眼鏡の人どこにいるの?」
マイルに紹介されたジュリオは、前置きもなくアイメルを問い詰めた。
自分たちの話を信用されていないのに余程耐えかねたようだ。
「え?さっきまでここに・・・」
きょろきょろと部屋の中を探すも、渦中の人物は見当たらなかった。
「エレノア先生、あの人どこに行きましたか?」
「あら?しばらくここにいてくださいと頼んだはずなんですけど・・・」
保健医のエレノア先生は、奥のベッドに横たわる男ーラモンーの手当てに集中しながら
一瞬顔を上げて同じように部屋を見渡し、また処置に戻った。
ラモンは重体ではなかったが、それなりの怪我を負い意識もないようだった。


「にゃあ」
「!」
子猫が急に動き出し、トーマスの不意をついて廊下に降り立った。
止める間もなく走り出した子猫を追って、トーマスは一人その場を離れた。
自分の靴音だけが響く寂しい廊下を歩く。
放課後ももう遅い時間になっており、校舎内に生徒は残っていなかった。
「・・・くそっ」
校舎を出たところで子猫を見失ったトーマスは、仕方なく子猫の名前、
自分がつけてやった名前を呼んで彼を探した。
「・・・ミッシェル・・・ミッシェル!」
「はい、なんでしょう」
「ーーっ!!!」
ズサッっっ
すぐ近くで声がして、思わず距離を取った。
見ると先ほど自分がいたところに男が立っていた。
ありえないことだ。
トーマスがここまで気配を感じない相手は初めてだったのだ。
「てめえ、何者だ」
「私ですか?えーーっとご存じなんじゃ・・・あっ」
ぴょーん
男のローブから飛び出してきたのは、見覚えのある灰色猫。
「ミッシェル!」
「は、はい・・・ん?・・・ああ!」
飛び込んできた子猫を胸で受け止めたトーマスは、改めて目の前の男を観察した。
シャツにローブを着た眼鏡の男。
どこかで聞いたことのある出で立ちだ。
「ははっ、あははは」
男が急に笑い出してトーマスはぎょっとした。
「なっ、なんだてめえ、気でも狂ったか」
「ふふ、いえ、違うんです
もしかして、その子猫の名前は、ミッシェル、と言うのですか?」
「あ?そうだが、それが・・・」
何の関係があるんだ、そう続けようとしたトーマスは
男の顔を見て言葉を飲み込んでしまった。
とても優しい笑顔だったのだ。
「やはりそうでしたか
実は、私もミッシェルという名なのです」
「は?」
「あなたが名前を呼ぶものだから、てっきり知り合いかと」
男のこれまでの奇行に合点がいったので、疑問を一つ解消することにした。
それは確信に近い疑問だった。
「ミッシェルと言ったな、てめえか?ラモンを吹き飛ばしたってのは」