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流れ星 4

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  「便利?」(ユキ)
  「もっとかっこうのいい、スマートなデザインがあったんですがこれを付けて
   学校へ行ったら毎朝声を掛ける女の子が声を掛けて来なくなったんです。
   メガネを作りに行った時私も母もすぐに手術する予定だから余り高価な
   もので作らないで一番の安いヤツで、って思ってたんですよ。そしたら
   これと同じようなフレームがすごい安くて。」

南部が当時を思い出しているのかニヤっと笑った。

  「その時思ったんです。メガネしてたらメンドクサイ連中は近寄ってこない
   のかも?ってね。まぁ大人になったらメガネに関わらず誰もがやって来る事
   知りましたが…。」

南部はヤマトに乗る少し前から父親の仕事の関係で多忙な父に代わり母の横でパーティに出る事がまれにあった。

  「でもやっぱりメガネ掛けてない南部くんかっこいいよね?私は違和感だらけ
   だけど。私はメガネ掛けてる南部くん、好きよ?」

ユキの言っている好き、と言う意味がLIKEだと分かっていても嬉しいと思ってしまうオトコゴコロ…

  「いやいや、ユキさんにそう言われると誤解しちゃいますよ?後で古代に
   ユキさんから好き、って言われたって報告しなきゃ!」

(南部が全く気にしてません)風を装いオーバーアクション気味に自慢する

  「うふふ、どんな反応するかな?」(ユキ)
  「あいつ、ユキさんの事になると全く余裕がなくなるからなぁ~妙な誤解を
   招くとあいつ、メンドくさそうだから止めておきましょうか?」

南部がいつもの丁寧なしゃべり方になる。

  「うふふ、そうね。」

ここで食後のコーヒーが運ばれてきた。おしゃべりに夢中でパスタは半分も進んでいない。

  「平和ね。」

ぽろっとユキがつぶやく。

  「一年前、こんな会話ができるなんて思わなかった。」

南部がユキの顔を見る。

  「一年前、火星の雪を見た後私達は戦い続けて“悲しい”という感情にフタをして
   ひたすらイスカンダルを目指して進んでた。本当にイスカンダルがあるのか
   イスカンダルまで無事たどり着けるのか全く分からない状態での航海…。
   でも今、こうして火星でパスタを食べながら他愛もない話をしてたらこれが
   平和、っていう証拠なのかな、って思ったの。」

ユキが運ばれてきたコーヒーをひとくちすする。

  「すべては…サーシァさんから始まったのよね…。」

今回の任務にサーシァさんを埋葬することも含まれている。

  「時々、思う事があるの。地球に戻ってきました、だけど地球は待ちきれなくて
   破滅していました、ってなってたら私達、どうなっていたんだろう…って。
   考えてもしょうがない事なんだけどいろいろ考えちゃって…。多分、運んできた
   コスモクリーナーDを使って地上をキレイにしてヤマトのクルーでなんとか
   するんだろうけど…多分、それでも私は古代くんと一緒にいると思うけど
   きっと幸せじゃないだろうな、平和じゃないだろうな、って思うんだ。」

南部はユキの心の中に不安があるのか、と思った。

  「考えたってしょうがない、って分かってるのに考えちゃうのってなんでだろう?」

ユキが困ったようにつぶやいた。

  「仕方ないと思いますよ…私達はいろんなモノを見すぎてしまったのかもしれません。
   いろんなモノを見て感じて考えて進んできた。他にもあった選択肢なんて
   選べない状態で進んできた。結果、平和を手に入れた…あの時こうしていたら
   って誰もが思う事です。」(南部)
  「そうね。なんだかこんなに平和になっちゃって申し訳ない様な気もするの。」

ユキの言葉は亡くなったクルーに対しての気持ちだと思った。

  「彼らの分もその平和を実感するって考えでいいんじゃないですか?」

南部はユキの感じてる罪悪感を少しでも軽くしてやりたいと思った。

  「遊星爆弾がなければ私もユキさんも普通に学校通って放課後は部活やって
   買い食いして楽しめてたのかもしれない楽しみを奪われたんですから…
   それは誰も同じです。だったら今の平和を満喫したってバチはあたりません。
   さ、早く食べて他のお店、行きましょう。」

南部はそう言うとユキのお皿に残っているパスタに手を付けた。

  「違う味も食べたいでしょう?私のもどうぞ。」

南部の言葉にユキはにっこり笑うと“じゃ、遠慮なく”と言って南部のお皿に手を伸ばした。








作品名:流れ星 4 作家名:kei