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流れ星 4

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  「サーシアさんのイメージねぇ…。」

進はシャワーを浴びてプライベート端末のメールをチェックしていた。

  「サーシァさんが着ていたあのドレス…」

進は濃いピンクのドレスをサーシァさんが着ていた事を思い出していた。

  (女性のインスピレーションってすごいな)

もちろん、サーシアさんが濃いピンクのドレスを着ていた、なんて話した事はない。島から聞いたのかもしれない、と思ったがもしそれを聞いてきたら島が報告してくれるだろう。

  (できれば島と一緒に行って一緒に埋葬したかったな。シーツにくるんで埋葬
   する事しかできなくて悪い事をした、とずっと思っていたから…)

進はきっと島も同じ気持ちだろうと思った。

  <実はね、これは誰にも言わかなかったんだけど…スターシァさんはいつも青い
   ドレスを着ていただろう?サーシァさんは濃いピンクのドレスを着ていたんだ。
   ユキのピンクのスイトピーと聞いた時はびっくりしたよ。女性のインスピレーション
   ってすごい、って。サーシァさんのイメージにぴったりだと思う。
   ユキ、ひとつお願いがある。サーシアさんの石碑が出来たらそこにたっぷり
   お水をかけてあげてほしい。火星の乾いた大地ですぐに蒸発するのは
   わかってるけど…向こうでお水を探さないようにたっぷりかけてあげてほしい。
   まさかそんな大事なメッセージを持って飛んできた、なんて思わなかったから
   粗末なシーツにくるんだだけで埋葬してしまった。乾いた大地で水がほしい、
   って言っているような気がして。でも、無理しないで。詰めなかったら詰め
   ない、で仕方ないんだから。
   今日、買った服は南部の見立て?あいつ眼が肥えてるからセンスよさそうだな。
   今度デートする時楽しみだよ。ユキはスタイルいいし若いんだからいろんな
   服着て楽しんだ方がいいよ。男と違って女性の服はカラフルだし楽しそう
   じゃん?
   でもユキはカラフルな花は似合わなさそうだな。すっとしたイメージから
   いくとユリとか似合いそうだけどユリは上向いて咲かないからちょっと
   残念な気がするんだ。俺的には真っ白なバラのイメージなんだよね。
   何色にも染まっていない一本の茎に一本だけ咲く大輪のバラ、って感じ。
   今、制服が白いから余計そのイメージが強いのかもしれないな。でも最初に
   みた黄色のナース服のままだとちょっと違うかも。ちょっと小ぶりのヒマワリ
   って感じかもしれないな。共通点は一つの茎に一つの花、ってとこかな。
   すっとして真っ直ぐなイメージは変わらない、ってことかもね。>

進はそう入力すると送信した。きっとユキの事だから火星のモールにスイトピーが売ってることも調べてあるだろうと思った。

  「南部にもお礼のメールを入れておくか。」

進はすぐに南部にお礼のメールを入れた。
























  「準備はできたか?」

二日間の休暇の後数名のクルーを乗せあさぎりは出航準備を整えていた。極秘任務でサーシァの墓標を造るため集められたクルーだ。

  「ユキ、準備はいいか?」

藤堂がユキに声を掛ける。

  「大丈夫です。」

ユキが凛とした声で返す。藤堂は南部を見た。

  「ではあさぎり、出航いたします。」

南部がそう言うと南部はクルーに指示を出しユキに艦長室へ長官と移動するよう伝えた。ユキは藤堂と一緒に艦長室へ移動する。南部はその後ろ姿を確認すると次から次へ指示を出し出航準備を整えていく。やがてドックのエアーが抜かれいつでも出航できる状態になった。

  「航海士、着陸ポイントを再度確認せよ。」

南部がそう指示を出しポイントの確認ができるとドッグの天井が開きあさぎりが出航した。




上空から見る火星はほんの数か月前の地球のように赤い。真っ赤だった地球が元の青さを取り戻すことができたのは勇気ある女性のおかげ…自分の命を顧みず戦闘がある事もわかっていたはずなのに戦う装備を持たない宇宙船で飛んできた女王…

ユキはもし自分だったら命を懸けて地球に向かう勇気なんてなかったかも、と思う。それ故もし、サーシァが生きていたら敵わないかもしれない、と思ってしまうのだった。


藤堂はいつもと様子が違うユキにどう声を掛けたらいいかわからなかった。初めての火星で緊張してるのだろうと思っていたがなにか思いつめる様な表情をするときがあるのに気付いていた。
作品名:流れ星 4 作家名:kei