氷花の指輪
それから私たちは、雪が止み、遠くの山から朝日が覗くまで話をした。
どうしようもなく過ぎて行った、今までのことを。
どうしようもなく迫りくる、これからのことを。
そして、二人が同じように願った。
もっとずっとこうしていたいと。
生きていたい、生きていてほしいと。
彼のそばにありたい、彼女のものでありたいと。
その思いを言葉にする。
その思いで自分たちを包む。
「では、ニコラス。呪いを。
一緒に唱えましょう。あなたと私の望みを。」
額を寄せて、指輪に触れて、二人で愛しい呪いの呪文を唱える。
二人の声は、雪に溶けて……。
白く消えていく月光と眩しく輝く朝日に解けて……。