うたをうたう 1
雨と血が混ざり合って刀身を伝う。
血の赤は流されつくすことなく、男が刀を振るうたびに更にその色を増してゆく。
返り血が、黒の服に撥ねる。呼吸が、剣先から断ち切られる。
俺は 、 生きてる
がくんと足を取られる、剣先が耳を掠める、そのまま前に体重を預けて振り向きざまに斬りつける。
相手の身体が揺らいで、ばしゃんと水溜りから血がはねてYシャツに染み付く。
左手で自分の体重を支え、足を相手の鳩尾に入れて、それをバランスに立ち上がる。
俺は 、 生きてる
「死ねええええええええええっ!!!!!」
ミツバ
世界が止まる呼吸を一度、それでも最後までこの手は刀を握りこの身体は血を浴びこの身体は 呼吸をしこの身体は鼓動を続け
この心は 君を想う
「ただ、そんだけだ」
ミツバ
ああ 何度でも叫ぶよ 君の名前を届くまで