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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 20

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 しかし、舐め回す事により、例の極端な辛味と甘味が襲いかかり、舌に痺れすら感じた。
「ゴクッ! う、くっ、ハアハア……」
 メアリィはどうにか、口の中にあるものを戻さずに飲み込んだ。
「ごちそうさま、でし、た……」
 メアリィはそのまま地面に倒れてしまった。
「メアリィ! 大丈夫か!?」
 倒れたままピクピクしているメアリィの背に、ジェラルドが手を当てた。
「おいおい……、元気になるどころか、とんでもなくダメージを受けてんじゃねえか……」
 メアリィはしばらく復活しそうになかった。
「大丈夫よ、今に元気に満ち溢れて立ち上がるから」
 ヒナは言うが、メアリィに変化はない。
「どこがだよ!? 全然起きる気配が……」
 ねえじゃねえか、そう言いかけてジェラルドの言葉は止まった。
 逆にダメージを受けて気絶してしまったかと思われたメアリィが、ゆっくりと起きあがったからである。
「メア、リィ……?」
 メアリィは起きあがると同時に、ハモが先ほどやったように、エナジーの波動を放った。再生を司る水のエナジーは、波動を受けた者に、僅かながら体力回復の効果を与える。
「何でしょう、これは……、力が溢れる……!」
 メアリィの表情は清々しいものになっていた。見るからに元気そのもので、瞳は輝き、ハモがそうだったように、肌に艶が表れている。
 多少の時間差があったが、メアリィは見事なまでに、溢れ出んばかりの体力を手に入れたのだ。
「ほらね、もの凄いパワーでしょう?」
 ヒナは嬉しそうに笑っていた。
「あの激マズ玉、マジだったのか……」
 今もなお、力が抑えきれないのか、エナジーを全身に纏うメアリィを見て、ジェラルドは驚いていた。
「激マズ玉とは失礼ね。いや、まあでも気持ちは分からなくはないけどね……」
 代々伝わる丸薬に、不名誉な名前を付けられながらも、味を考えればヒナも苦笑するしかなかった。
「まあ、これで分かったでしょ? さあ、今度は捨てないでよ? 作るの本当に苦労したんだから……」
 ヒナはジェラルドに、再び超兵糧丸を二つ渡した。
 ジェラルドは、その効果の真実性を、二度も目の前にしてもまだ、手のひらの上の黒い粒に抵抗を示していた。
「これを食えば、最強……。これを食えれば、最強……」
 ジェラルドは自己暗示をかけるが、なかなか口に運ぶ勇気が出てこない。それほどまでに先ほどの衝撃は大きいのである。
「姉さんを元気にしてくれたものなら……!」
 イワンは、前の二人と同じ轍は踏むまいと、一気に口にせず、また絶対に噛まないよう、飲み込まんとしていた。
「ぐうっ!」
 それでも、口腔、並びに鼻腔を通っていく、生臭いような、青臭いような匂いはどうしようもなかった。
 故に、イワンは鼻をつまみ、息を止めて匂いを感じないようにして飲み込んだ。
 一つ飲んで、もう一つ、というところで、イワンは二の足を踏んでしまう。
「イワン、大丈夫よ、飲んでしまえば」
「そうですわ、絶対にかじらなければ、私のようにはなりませんわ。……私はもう遠慮いたしますが」
 先に超兵糧丸を飲み、とてつもなく元気になった二人はもう、他人事のような応援をしてくる。
「くっ、ボクも……、ボクも強くなりたい……!」
 イワンは丸薬の効能である、増強効果を欲する気持ちを、心に強く持ち、ついに二つ目の超兵糧丸を飲んだ。
「んぐっ! こ、これで……!」
 丸薬を飲んで数秒後、イワンに力が満ち溢れる。
「こ、これが超兵糧丸の効果ですか!? すごい、すごすぎる……!」
 イワンも先の二人同様、体の奥が熱いほどの力を手に入れた。
 エナジーも放ってみた。エナジーもこれまで以上に威力が上がっている。
「イワンも力を強めたか……、くそっ! オレも負けてられるか!」
 先ほどはあまりの不味さに吹き出したが、今度は口腔を漂う悪臭に耐え、ジェラルドは超兵糧丸を飲んだ。
「ぐう……、こ、これで……!」
 瞬間、ジェラルドに力が湧き上がる。
「最強だぁぁぁ!」
 ジェラルドは溢れる力をエナジーに変え、両手に炎を上げて吠えた。
 次々と仲間が力を強めていくのを後目に、ガルシアとピカードはまだためらっていた。
 丸薬の効果を疑っているわけではないが、鼻に近づけるだけで鼻腔を貫く異臭にはやはり、口にするのにかなりの勇気が要った。
「やはり、食べねばならんか……?」
「効能は確かなようですが、如何せん、香りが……」
「大丈夫、苦しいのは一瞬よ。まあ、あたしはちょっと慣れてるんだけど」
 慣れるほど食べたらしいヒナに見つめられ、ガルシアとピカードはいよいよ、食べざるを得なくなってしまった。
「ヒナさんが僕らの為に苦労して作ってくれたんです。ガルシア、もう覚悟を決めましょう……!」
「あ、ああ……、そうだな……。よし、ピカード、いちにのさんで飲み込むぞ!」
「はい、では、いちにの……!」
 さん、と二人タイミング良く超兵糧丸を飲む。そして不味さに喘いだ。
「うう……、予想以上の、不味さだ……!」
「気絶しそう、です……」
 しかし次の瞬間、例外なく二人にも超兵糧丸の絶大なる効果が現れた。
「うーん……」
 全員食べ終わったかと思いきや、ロビンだけがまだ、黒い粒を手のひらに転がしていた。
 手のひらにある超兵糧丸は一つである。つまり一つはもう食べ終わっていた。
「あらロビン、まだ食べてなかったの?」
「あ、ヒナさん……」
「まあ、無理もないわね。でも大丈夫よ、飲み込んでしまえばつらくないわ。さあ、後一つ、頑張って!」
「いや、何だかみんな不味そうにしてるんで言い出しづらかったんですけど……」
 ロビンにしては珍しく、歯切れの悪い言葉である。
 ヒナ、その他仲間達の視線を一点に受けながら、ロビンは最後の一つを頬張った。
「これ、結構いけますよ?」
 ロビンは仲間達がほぼ全員悶絶した丸薬を、まるで飴でも舐めるかのように口中で転がしていた。
「ええぇぇぇ!?」
 ロビンの様子を見る全員が、口をそろえて驚きの声を上げる。
「おま、お前!? そんなペロペロ舐めてたら……!?」
 舌が痺れるほどの辛さと甘さが襲いかかる。それを一瞬想像しただけで、ジェラルドは黙ってしまった。
「うーん、何だろうこの甘辛さ。あっ、そうか、ミートボールのソースの味そっくりなんだ! よく分かんなくて、なんかもやもやしてたんだよなー」
 ロビンはこの極端な甘辛さの超兵糧丸に、似ている料理を思いつき、一人納得していた。
 かと思うと、ごりごり音を立てて丸薬を噛み始める。
「ちょっと、ロビン! 今噛みましたよね!? 噛んだら……」
 どうなるか、超兵糧丸をうっかりかじってしまい、中から溢れてきたドロドロした液体のせいで、窒息しかけたメアリィはまたあの感触を思い出し、気分が悪くなってしまった。
「噛んだらトロトロなんて、なかなか憎い出来だよなぁ。このキリッとする香り、何かのハーブ? 甘辛い表面にぴったりだね」
 ロビンは満足げな顔で超兵糧丸の食感を味わい、飲み込んだ。
「そういえばヒナさん、お代わりもあるって言ってましたよね? お代わりください」
「お、お代わり……?」