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幾度でも、君とならば恋をしよう

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「………シャカ?」
「タダレた、モーソウも、タイガイに、したまえ。サガ」

 サガの法衣の裾の上にちんまりと頬杖をつきながらの愛らしい姿でシャカが居たのだ。

「ああ、シャカ―――マイ・エンジェル……!」

 がばりとシャカを抱きすくめる。うんうん、そうそう、このゴツゴツした岩っぽい感じこそシャカ……なわけがないっ!物凄い違和感にサガが慌てて抱きすくめたはずのシャカを見ると……地蔵?

「―――甘いわっ!この糞ったれ変態兄貴が!」
「っ!?カノン!!」

 ひょいとシャカを片手で抱きながら、同じ顔をしたカノンをサガは見上げた。もうこれ以上にないほど軽蔑の眼差しである。

「なぁ~にが、マイ・エンジェルだ!鳥肌立つだろうが、気色の悪いっ!」
「貴様、返せ。私のシャカを」
「誰が渡すか、バカたれ。これ以上同じ顔で気持ち悪いことされてたまるか。シャカも何考えているんだ……身の危険を感じないのか?っつーか、ちゃんと普通に小宇宙機能しているんじゃないか。すっかり騙された……気付けば目の前に座ってるのが、地蔵ってあんまりだろうが」

 どうやら、カノンの目をくらますため、身代りに地蔵を置いてきたらしいシャカ。たしか、私の時は弥勒菩薩だったな……とサガは引き攣った笑いを浮かべた。仏像をそんな用途に使っても良いのだろうか?と他人事ながら心配する。

「イガイだった、バレるのがはやくて、ショウジキ、オドロいている」
「おまえねぇ……」

 こつんとシャカの額をカノンが小突けば、「イタイ」と小さな手で額を押さえ、ナデナデするシャカ。一々、動作が愛らしすぎる……とほんわぁ~と溶けかけるサガだが。メラメラと小宇宙ではない別のモノが燃え上がり始める。

「非常に不愉快だ。離せ、シャカを」

 メラメラからゴゴゴゴッと変化していくサガをカノンは厭そうに顔を歪める。

「厭だね。欲しけりゃ力づくで来いよ」

 ふふんとシャカを胸の前で抱きながら、少々あくどい方法とは思いつつも、まさかシャカを抱えているのに本気で技を仕掛けてくるはずはないだろうと高を括っていたカノンだが。

「アマイな、カノン」
「へ?」
「ならば……くらえ!ギャラクシアン・エクスプロージョン!!」
「マジか!?」
「カーン!」

 ドォオンと爆音が轟く。容赦ないサガの技をくらってカノンは吹き飛ばされたが、ちゃっかりシャカは自分だけ防御壁を張って攻撃を交わしていた。恨みがましそうに「薄情者めっ!」とカノンに毒づかれても、ツンとすまし顔で受け止める有様だ。

「形勢逆転だな、カノン」

 ほわほわと空中浮遊中のシャカをしっかと捕まえたサガは満足げにふっくら頬をスリスリしたあと、悪魔の微笑を浮かべた。

「これで手加減することなく叩ける、な」
「嘘つけ、なにが手加減だ!そんなもん、まったくしてなかったろうが!」
「そんなことはない、な?シャカ」
「……カノンにドウイ」

 ちろりとシャカはサガを上目使いで見た。うわべだけは満面の笑み。それを剥ぎ取ればとても面倒な状態にあるのだということは過去何度となく経験していたので、ある意味この状態でいることは不幸中の幸いかもしれないとシャカは思っていた。

「ほら、みろ。シャカにまで見放されているじゃないか」
「うるさい、おまえは黙っていろ」
「誰が黙るか、バーカ」
「誰が莫迦だ、莫迦はおまえだろう」

 ああ、また始まった。最強兄弟のお下劣極まりない最低兄弟喧嘩が……と両手で耳を塞ぐシャカである。そんなシャカににっこりと一度笑んだあと、サガはシャカを机の上にトンと下ろし、カノンに掴みかかって行った。むろん、カノンも大人しくいいようにされてはいなくて、しっかり胸倉を掴み、お互い同じ顔を間近に引き寄せながら、ひとしきり罵り合っていた。いい加減、そろそろ決着つくだろうか?という頃になって、ようやく女神宮からアテナがお出ましになられた。

「あら、カノン……シャカも宮から出てきたのですか?」

 アテナに一応、こくりとシャカは頷いたが、カノンもサガもアテナをガン無視して相変わらず罵詈雑言の嵐である。当然、プライドの高いアテナがそんな暴挙を許すはずもなく、である。

「―――あなたたち……いい加減にしなさーーーい!」
「うわぁぁぁ」

 巻き起こる旋風に呑み込まれ、沙羅双樹の花が強引に散らされたかのようなヴィジョンがうっすら視えたような気がした三人であった。