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幾度でも、君とならば恋をしよう

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 イライラ。モヤモヤ。悶々……ありとあらゆる負のオーラを周囲に巻き散らかし、執務室は窒息しそうな状態で日に日に訪れる者たちが、皆一様に怯み、息を呑む、といった状況も数日前までの話。
 あれからもう、二週間になろうとしている今現在はそんなアンガ―モードすら通り越して、腑抜けと化したサガは書類を端に寄せて常の状態では絶対にみられない姿―――スライムのようにどろどろのグダグダとなって、机にべったりと張り付いていたのだった。

「―――限界だ」

 これはもう中毒だといいきれる。禁断症状が出ているのだから。それもかなりの重度だなとよくわからない自己診断をサガはしながら、さて中毒者らしくふさわしい行動でもしようかと不穏な考えにとらわれる。
 お飾りのようなアテナの結界などその気になればいつでも破れる。大人しくしていたのはシャカが早々に元に戻るだろうと踏んでいたからだ。わざわざアテナのプライドを傷つける様な阿呆な真似はせずとも速やかに異常事態は正常化すると構えていたのだが。二週間も過ぎればさすがに異常事態を通り越して、非常事態ではないかとサガの忍耐も限界に至ったわけである。
 美人は三日で飽きると誰が言ったかは知らないが、四六時中、三百六十五日眺め倒したって飽きるどころか、ますます眺め続けていたいと思うぐらい、ずっとシャカのそばにいたいし、いて欲しい。
 こんなに執着するとはサガ自身思いも寄らなかったことだ。シャカと想いを遂げてからますますひどくなる一方で、シャカの赦しがなければ、それこそ束縛嫉妬族の代表にでもなれるぐらいだと真剣に思える。
 別段、シャカを疑うわけでもないし、ましてや自分以外にシャカほどの男を惚れさせることができる者もいなければ、自分ほどシャカを思える者もいないという自負があるから、自信がないためにくる束縛ではない。ただ、現在の状況でもっとも赦し難いのはシャカのそばにいるのがカノンだということだ。
 シャカはたぶん……大丈夫だろう。だが、カノンは怪しい。同じ遺伝子を持つ者だというのが何よりの証拠。不埒な想いをシャカに抱かないとは限らないのに、なぜアテナを含め、他の皆は簡単にアレを信じるのか。あんな愛らしい姿になったシャカを撫で繰り回したいと思わないわけがないのだ。柔らかな金色の髪を指に絡め、ふっくらとした頬は肌理細やかで吸い付くようにしっとりと潤い、ぷるると張る唇は桃色に濡れて……。

「―――いかん。急がねば!シャカの貞操の……いや!処女喪失の危機が迫っている!!」

 ガタンと勢いよく立ち上がり、果てしない妄想に蒼褪めながらサガは駆け出そうとしたのだが。

「!?」

 裾を強く引っ張られて前のめりに跪き、危うく机の端で顎を強打しそうになったサガは四つん這いになりながら恐る恐る後ろを振り返る。悪鬼と化したアテナがいるような気がしたからなのだが、意外にもそこにいたのはアテナではなく、ありえない人物であったため、サガは目を瞠った。