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幾度でも、君とならば恋をしよう

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「―――私とて役立つこともある」

 やはりまだ納得できなくて、つい、口について出た。しっかりと聞こえたらしいサガは「うん?」と首を傾げた。

「アルデバランたちの仕事とまでは行かなくても、荷物運びは少しくらいなら、やってもかまわぬのに」
「あんな日差しのきつい中に出たら、真っ赤に日焼けするから駄目だ」
「では、ムウたちとともに食事を……」
「皆の味覚を破壊しては聖域の名が地に落ちる」

 至極真面目に回答するサガに若干の殺意さえ芽生える。何もそこまで言いきらなくても良いではないか?確かに味音痴で、方向音痴かもしれないけれども―と、ちょっぴり口を尖らせた。

「君は時々ひどいことをさらりと言ってのけるな?」
「ああ……いや、そうではなくて。すまない、そんなつもりは毛頭なかったのだが。機嫌を損ねるな、シャカ。おまえにぴったりの、そして私がぜひとも、おまえにやって貰いたいことで、シャカにしか出来ないことを今から頼もうと思っていたのだから」
「私にしか出来ないこと?」
「そうだ」

 ニコニコとこれ以上ないくらいの屈託ない満面の笑みは、あまり彼のことをよく知らない者であれば、天使の笑顔とでも評するのであろう。だが、残念なことに私はこの笑顔の裏側をよく知っていた。というよりも、何度も騙されて、とんでもない目に遭わされてきたのだ。
 ちょっと他人には言えない、ゴニョゴニョなことで、実際、情けないことに、何度か泣かされもしたのだから。

「……いやだ」
「まだ、何も言ってないが?」

 すでに腰が引けていたが、逃すまいと先手を取ったサガにがっちりと腰をホールドされる。

「絶対に断る!!」

 サガの希望することなど、きっと、ろくなものではない。特に私絡みのものは、と警告音が頭の中でわんわん鳴り響く。

「シャカは役に立ちたいのだろう?」

 悪魔の微笑だ、と認識したのも束の間、ふわりと身体が浮き上がり、私はサガに俵抱きされた。

「絶対にイヤだ―っ!」

 私の絶叫が轟き、闘技場に居合わせた皆の視線が集まっていた。一様に驚いたような眼差しを向けていたのは私が俵抱きされていたからなのか、それともサガがスキップしていたからなのかは定かではない。