アジャニの炎
逞しい肉体。右手に、肉厚の刃を有する槍を持ち、長く伸ばした黒髪が、焦げ臭い風に揺れていた。
サルカン・ヴォル。
ドラゴンを崇拝するシャーマン。
文明の欺瞞に嫌気を覚えた人間。
獰猛にして無慈悲なドラゴンが支配する次元、ジャンドにてかつて出会いしもの。
プレインズウォーカーとして覚醒したばかりのアジャニを救い、プレインズウォーカーとしての簡単な指南をしてくれたもの。
アジャニは、その戦士の姿を見つめる。
サルカンは、岩肌の頂上から、遠く彼方を見据えていた。
次の戦いを求めるかのように。
怒りに満ちた猛獣は、鋭き眼光で、目の前の敵を威圧する。
しかし、この獰猛な男の金色の眼もまた、それに似た獰猛な気性を秘めていた。
あらゆる生命に眠る、怒りの炎を体現するかのように。
「戦のために生まれしもの。支配のために生まれしもの」
サルカンが口を切った。
「オレはそのどちらでもなかった」
彼は、アジャニを見下ろした。
「君はどうだ? キャットマン」