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敵中横断二九六千光年2 ゴルディオンの結び目

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十万単位。百万単位。そんなものでは足りないのだ。塩にまみれた地に緑を戻すのは、人がやらねばならぬのだから。何十年もかけて取り組まなくてはならないのだから。その仕事を託すのは、未来の者になるのだから。

コスモクリーナーは放射能を除去するだけ。鳥や魚や草花を地上に戻せなければ、やはりすべて滅びるだろう。人だけほんの少しばかり救けたところでなんになる。

確かに〈ヤマト〉は戦うための船ではない。波動砲が使えぬならば冥王星は迂回して、イスカンダルから一日でも早く戻るように努める――それが元々の計画であり、億の子を救う道なのだ、と島は言い続けてきた。ガミラスや冥王星の問題は〈ヤマト〉本来の任務ではない。他の者が別に考えればいいことだと。

しかし、沖田の言う通りだった。地球の政治家や官僚は、エリートだけが逃げようとか、子を産む女を選別しようとか、そんなことばかりすぐ考える。やれば結果がどうなるか、それで人類の存続が成るか、ちゃんと考えてなどいない。

すべてがその場しのぎなのだ。今日の発表にしてみても、テロに屈さぬ姿勢を見せぬためが理由でもあるのだろう。けれども先を見越したうえで、あれをやったわけではない。どうせ太平洋戦争当時の日本軍大本営と同じだ。〈ヤマト〉が玉砕した後で、どいつもこいつも言うことになる、『いやいやワタシは反対したんですけどね』などと――。

エリートなどと言うのはしょせんそういうものだ。そうだ。沖田の言う通りだった。最初から、道はただのひとつしかない。

この〈ヤマト〉一隻で、波動砲を使わずに、冥王星のガミラス基地を見つけ出して殲滅する。それが唯一の道ならば、無茶も無謀もありはしない。そこに進むしかないのだ。

「か、艦長のおっしゃることはわかりますが……」島は言った。「しかし、どうすると言うんです。〈スタンレー〉に一隻で行って、〈ヤマト〉が勝てると思うんですか?」

「ふむ。そうだな」

沖田は言った。

「今のままでは勝てんな」