ガンダム 月の翅
メイ、レト、アラウダの3人は奇妙な物体を見つけていた。草原のような場所の土の塔の中のさらに下にあった。その空間はドーム上で空中にあらゆる映像が、そして壁にはプラネタリウムのように星空が映し出されていた。部屋の中心に人ひとりが入れる程の透明な卵型のそれがあった。
「濁ってて、ていうか光ってて何もわかりませんね」
「もしかしたらここが操舵室‥‥なわけないか」
「つめたぁい」2人が部屋を探しまわる中アラウダは卵に張り付いていた。
「アラウダ、その中何か見えるか?」
「ふぁい?」目を凝らせばぼんやりと何かがあるように見えたがあまりにも不明瞭であった。
「なにもみえませぇん」そう言うとまた頬を張り付けた。
「それにしてもこの映像は‥‥」「メイさん!」
声がした方を見るとレトが恐ろしい物を見た顔で手を振っていた。ただ事じゃないと駆け寄るとそこには
エブリオ族長ネオ・カンブリアの朽ちた姿があった。
「きゃああぁぁっ!!」
アラウダが悲鳴を上げた。張り付いていた身体は腰を抜かし地べたに女座りをしていた。朽ちた族長の姿を見たばかりのメイとレトにとってアラウダの悲鳴は心臓を貫いた。そしてアラウダが見た物を見たとき、《もうどうにでもなれ》とメイは思った。
濁っていた液体が澄み渡り卵の中身が露になった。そこには透き通るほど白い肌の美しい少年、いや青年が生まれたままの姿で胎児のように眠っていた。中性的な顔立ちのせいか幼さと神秘的な雰囲気を纏っていた。髪の毛、眉毛、まつげ以外の体毛はなかった。
「なんでしょう、これ」「なんでもいいよ、とにかくみんなに知らせる…行くよアラウダ!」
アラウダが我に返り立ち上がると卵の中の青年と目が合った。鼓動が撃たれたように激しくなった。アラウダは目を逸らせず、永い間見つめ合っているのではないか、そう思い始めたとき、自分の身体の変化に気づいた。慌てて両手でそそりたったモノを押さえ、そのまま青年に目を戻すと
『いかないのかい?』
と声が響いた気がした。否、響いた。底がみえない程の深みを持たせた声がアラウダの身体に快感をもたらした。
「……ダ‥‥ウダ、アラウダ!」
はっと気がつき幻想的なエクスタシーはおさまったが、かわりにメイの怒声に対する俗物的興奮が分泌された。