ガンダム 月の翅
クロード、いや、ザクの姿があった。
インダストリアからの使者はクロードが現れたことよりも彼の搭乗する物に息をのんだ。
「おいおまえ!そいつはどうしたんだ!」声が動揺している。
「気になるか?教えてやるからこっち来い」
クロードは敵の胴体に思い切りザクの右腕を突っ込んだ。
「このままザクごと頂く!」
「それで結構」
ザクの体が沈んでいき、右半身が完全に飲み込まれた。クロードの行動の真意がわからない彼らはただ眺めるしかなかった。
フィリアスは後に続こうと参戦しようと搭乗機体を選んでいた。
「クロードさんも無茶をする…地盤が沈下したらどうするつもりだったのか…それにしても2、3発の発破で空が見えるとなるとここはだいぶ上の方のようだ。これにするか」独り言が多い。
「片方だけ立派に巨大な爪、全体的な装甲のつき方を見るとまるで甲殻類、色は青いがシオマネキだな」
シオマネキのコクピットに座るとクロードがザクに乗った時と同様の手順があった。
「これは…操縦方法か。一つはこのままだとして…脳と……立って操縦するのか?どちらにしろ疲れそうだ、このままいこう」クロードと同様のパネルを選ぶとシオマネキが起動した。フィリアスはその鼓動を身体中で感じた。
「はあああぁぁぁぁ…」アドレナリンとリビドーがフィリアスを満たしてゆく。
キュイーン———メインカメラの発光音がなると快楽の津波が押し寄せフィリアスを包み込んだ。
ザクは殆ど飲み込まれていた。
「カント、インダストリアに『標的回収』って送って」ともう一つの球体のパイロットに通信した。
ガシイィン
コクピットでもある球体本体が何かに掴まれた。「それは送っちゃあダメだ」
クロードがお肌のふれあい回線で忠告するとザクの背面スラスター、フットバーニアのタービンの回転速度があがっていきフルスロットルでブーストを噴かせた。
ヒトガタを崩し歪になった化物は全面が大きく膨れ上がった。閃光がほとばしり爆発とともにザクが現れ、マニピュレーターには球体ががっしりと捕らえられていた。
「アラクネじゃパワー不足だったな。じっくり話を聞かせてもらうぞ」この時クロードには小さなひっかかりが、違和感があった。
「させるか!」
もう一体の球体、化物の腕が触手とかしザクに、ザクの抱える球体に迫っていた。