ガンダム 月の翅
「ザクみたいなものをそう呼ぶ。人間は大昔からモビルスーツを使って何度も戦争してきた。地球からの独立戦争だったり、帰還だったり、思想家が人類を革新へ導こうとしたり…そしてその度に現れる白いモビルスーツがいるんだ。名前くらいは聞いたことあると思う。
ガンダムっていう……聞いてる?」
「あぁ、急によく喋るからさ」
マオを思い出し神妙な顔になった。
「………その、マオにあわせてくれないか?」
「マオー、あれ?マオは?」クロードが部屋に戻るとナユタがぽつんとしていた。
「立ってどっか行っちゃった」
クロードがマオを探している間フィリアスがレプリを見張っていた。
「クロードさんを狙ったからにはインダストリアによっぽどの隠し事があるらしいな。君を向こうへ返す気はない。吐いてもらおうか」
レプリは何も言わず無表情を貫いた。しかしその姿はフィリアスにとって微かな癒しとなり更なる好奇心への種となった。
「綺麗な人だ」
見とれていたせいか溜め息とともに言葉がさらりと流れ出た。レプリは目を見開きフィリアスの方を見つめた。
「あ、いや、何でも」
レプリの視線はフィリアスよりも後ろの方を見ており、右から左へと目線が動いた。フィリアスはどことなくもどかしくなった。紛らわすため仕方なくレプリの視線を追うとマオがいた。
「またお前かぁっ!ん?」
マオの様子がおかしいと気づくまで2秒かかった。感情をまたしても邪魔されたせいもあるが普通に見ればなにもおかしくないからだ。ただ歩いているだけなのだ。マオが背筋を伸ばして足で立って歩くなど普通のことではない。
「お、おいっどこ行くんだ!」
「あの子は…?」
「あれがマオだ!」
フィリアスはマオを止めようとしたがマオの姿は勝手に歩くというより何かに導かれているようだったので後をつける事にした。レプリも後に続いた。