ガンダム 月の翅
アラウダは一人あの場所で青年を眺め、未だ卵の中で眠っている青年にみとれていた。「きれい…ガラス細工みたい…」
自然とつぶやくと突然、中の液体が次第に光を帯びてきた。みとれるあまりの幻覚かと思うがそうではない。帯びたと思えば消え、また帯び、蛍の光のように点滅を繰り返し、その度に光が強くなっていた。アラウダは茫然と光の点滅を見ていた。
「うっ…」
目がくらむ程の閃光になり思わず目を覆った。しばらくして光が消え、辺りを見ると卵の中の青年がぼんやりと光を帯び、眼を開けてこちらを見ていた。卵の中の液体はなくなっていた。
卵の全面に穴が空き青年が生まれたままの姿で露になった。青年はアラウダをしばらく観察すると微笑みを浮かべ
「私はシクス・アベニール」
と言った。