ガンダム 月の翅
「危ねぇ!」
シドは右方向から来る敵機に気づきレフトアームのドリルを射出した。ドリルにはワイヤーがついており、切断さえされなければ無制限で射出が可能である。ドリルが敵機に突き刺さり、高圧の電柱が流れていった。電流を喰らった敵機体は麻痺し、一瞬の隙をつくった。シドはそこに勝機を見出した。「ペイジ!右を!」
ペイジ機から放たれた閃光は敵機体を貫き、爆煙が吹いた。
「ま、また・・・貴様等ぁッ!!!」
ヒノモトはブレッツェルのスラスターを一気に限界まで噴かせアラクーダに真正面から突撃を仕掛けた。仲間を蒸発させた主砲がいつまた粒子を吹くやも知れぬ
そこへ一寸の躊躇も無しに迫る姿はカミカゼの如く
「正面から来る!チャージは!?」「していますが間に合いませぇん!」
「シド!ペイジさん!アラクーダ正面を!」「それどころじゃない!」シドとペイジは一機相手に一苦労であり、クロードの命令を聞く余裕なぞ無かった。
リムが策を思いついた。
「いつまでもつかわかりませんが・・・Iフィールド・バリヤァーッ!!!」
アラクーダの全体をバリアーが覆った。端から見ればオーラのようなものがアラクーダを包んでいた。
「仲間割れか……あそこか!」
リュウはレイ達がいるであろう洞窟の入り口を見つけた。
ヴォン
ザクのモノアイが洞窟内を照らした。
「リュウ?リュウなの?」
レイは通信機越しに話しかけた。
「あぁ、私だ」
通信機から発する声は間違いなくリュウのものだった。
「ここには足場が無い、ハッチを開くから飛び込んでくれ」
リュウはザクのコックピットを洞窟入り口に寄せ、ハッチを開いた。
「リュウ!」レイが真っ先に飛び込んだ。
パンタはコックピットを見渡す。
「来てくれたのはありがたいんだけどよぉ・・・入れんのか?」
「そうだな…よし、もう一人だけ入ってくれ、あとでまた来る」
「後でって、どういうこと!?」
「敵が仲間割れをしたようで…同士討ちを待ってもいいがうまくやれば戦力を増やせる」
「インダストリアが話を聞くとでも?」「奪うのさ、照明弾あるか?」
「ん?」
ヒノモトが山陰に発光体を見た。「そこのレクリア!山陰に動きがあった、処理に向かえ!」