ガンダム 月の翅
「何発撃てる!!」ペイジはクロードに吠えた。
「一発だ!」「承知!!」
ペイジとシドは既にヒトガタへと変形した3機のインディファインギアの核に狙いを定め、シド機は両アームのドリルを、ペイジ機は下半身の先端から半粒子状のワイヤーを放った。それぞれがギアに突き刺さるとシドはドリルワイヤーを巻き取り、ギアまでの距離を半分にまで縮め、2つのギアを主砲前に放り投げ、ペイジはギアの周りを出力全開で旋回し数秒間ギアの動きを封じた。接近、接触するとワイヤーの切断と同時に機体を半回転させ突撃をかまし主砲前にギアを放った。
「今だ!!」「放てぇっ!!」
アラクーダの主砲が炸裂した。
アラクーダから放たれた粒子は3機のギアを飲み込み蒸発させ、彼方へと消えた。残すは2機のモビルスーツとなった。
「アラクネさん方、甲板へ戻ってきてください」クロードは二人に言うと、ふぅと一息ついた。
「まだ終わってないですよ」リムが言った。
クロードが改めて気を引き締め前方スクリーンを見ると、画面下から巨大な一つの眼が現れた。ザクだ。
「貴様等に告ぐ、この船は包囲している。直ちに投降し、こいつを明け渡してもらう」
冷淡な男の声だった。
「………えっと…誰?」
クロードの問いかけは場の緊張感を一気に崩すものだったがザクのパイロットには通じない。
「私達が誰だか…直接身体に叩き込んでやる!」
ザクが思い切りビームハンマーを振り下ろした。
「バリヤー最大出力!全速後進!!」
アラクーダのバリヤーは一瞬で消失した。エネルギーが持続する分には不十分ではあったがそれのせいではない。ハンマーがバリヤーを翳め、さらに上下両方向からの攻撃が重なったのだ。
「クロードさんッ!上にも!」言いながらシドが上空にうっすらと機影を確認しドリルを放った。
「下にもいるぞ!」下からの衝撃を感じ取ったペイジは下にいるはずの敵に向け、粒子砲を構えた。
「急速旋回!アラクネは発煙筒準備!」
「はっ発煙筒!?」
二人はクロードの意図が読み取れなかった。
「ザクが襲ってきますよぉっ!!」
旋回したアラクーダはザクに追われる形になった。
「いいか、このまま迂回しながらこのポイントに行き着くように進路を取るんだ、なるべく遠回りで、とにかく奴らと距離をとれ」「は、はい!」
リムは戸惑いながらもクロードの言う通りに舵を取り、アラクーダは何とかザクを突き放し、大きく旋回した。