ガンダム 月の翅
スリチュアンの深層でアベニールは瞑想(端から見てそのように見える)をしていた。
《やっと合流できたみたいだね、けどこれは…》
つんつん
マオだ、マオが微動だにしないアベニールの身体をつついた。
ぺしぺしばしばしぎゅうぎゅうぐいぐい
さらに頬をはたいてつまんで引っぱった。
「マオ!こらっ!」
ナユタがマオの手を掴んでぐいっと引っ張りアベニールから離した。
「ダメじゃないか邪魔しちゃ」「あれなに?」「あれじゃなくてアベニールさん!」
「大丈夫だよナユタくん。この子は僕が呼んだんだ」
瞑想を終えたアベニールがマオの頭を撫でた。
「君は賢いね、いい子だ」
アベニールはマオの目を見つめ柔らかな笑みを浮かべた。
とうとう両者が生身の対面を果たした、のだが…
「インダストリアじゃ…ない?」
「ああ」
「じゃ、あなた達は何なんです?」
「そっちこそ何だ?」
「僕たちは…エブリオです。詳しくはあとで話しますが、とにかく僕たちもインダストリアではありません!むしろ敵です!!」リムは熱を帯びていた。
「…そうかい、悪かったな。俺等はブレインポリス、インダストリアに対するレジスタンスと言えばいいかな」
パンタは冷静だった。というよりも相手がインダストリアでない事がわかり安堵していた。
「レジスタンスか…他の奴らは?」ペイジだ。
「あの山の洞窟ん中だ」
そう言うとパンタはモビルスーツ越しの山を指した。
「あそこは…あのポイントの場所じゃぁ…」
「ポイント?」リムのつぶやきをリュウは聞き逃さなかった。
「ポイントというより探し物と言えばいいでしょうか…それがあそこにあるんです」
「それは何だ?何故場所までわかるんだ?」
リュウの問いにリムはここまでの道程をなるたけややこしくせずに話した。
「なるほど…そのエンジンがあそこにあるってことか。で、今の話から推測すればそのエンジンは、トシかザッパがもっている事になる。な」リュウの視線はパンタ、レイに向けられていた。
「あぁ、そんでもってそいつはザッパだ」
「えっ?なんで?」レイは何故パンタがそう決めたのかわからなかった。
「俺等がこうしているのはザッパありきだろ?今回もザッパが言い出した。3年前もな…」
「とりあえずあそこに2人いるんだな。他は?」
途端パンタの口は堅く閉じられ、リュウの目が開き、レイの目にはうっすらと涙が溜っていた。
「すまなかった」ペイジは謝罪した。